イスラム女性を知るおすすめの入門書【厳選5冊】
イスラムは女性差別の宗教。そう思っている方も少なくないに違いありません。
ベールを被り家の中に閉じ込められている。いつも黒い服を着て、おしゃれできない。男性と自由にお付き合いできない、かわいそう‥‥。「イスラム女性」と聞いて、そんなことをイメージする方は多いでしょう。
実際はどうなのでしょうか?
その答えは、ここでご紹介する本の中にあります。いずれもイスラム社会に暮らす女性自身、あるいは現地に長年住み、現地社会に溶け込んだ日本人女性が書いたものです。実体験から、イスラム女性たちの現実の姿をありありと描写しています。
「イスラームの日常世界」
長年サウジアラビアの遊牧民と生活をともにした女性研究者の本。
サウジアラビアほか世界各国でのフィールドワークで出会った女性たちの姿が生き生きと描かれています。
宦官(去勢された男子)が登場する女性だけの結婚式、わい談にキャーキャーと喜ぶ女性たち。
イスラムでは男女隔離が基本ですが、「女性だけだからこそ、男性の目を気にすることなく、のびのびと過ごすことができ、美人か否かによらず実力だけで判断される」という著者の主張も、実体験をともなっているだけに説得力があります。
イスラム女性についての偏見を鮮やかに覆してくれる本です。
「イスラームにおける女性とジェンダー」
エジプトの女性学者による、イスラム女性についての古典的名著です。
この本で繰り返し述べられているのは、イスラムとは「解釈学」であるということ。
つまりコーランの規定をどう解釈するか、です。
イスラムの国には女性を差別する制度もありますが、これはそもそものイスラムの教えではなく、コーランを女性差別的に解釈した結果だといいます。
制度を作るのは多くは男性。だからイスラムの教えを男性の良いように解釈し、男性に有利に制度をつくってきたと。
女性隔離、ヴェール‥女性差別と思われがちなこれらの制度の成り立ちを、歴史をひもときながら、わかりやすく解説する本です。
「イスラームと女性」
イスラムというと遠い世界のことに思われがちですが、日本にもイスラム教徒は多く暮らしています。
主に日本で改宗した女性たちです。
この本の本書の前半は、そのような日本に暮らすイスラム女性たちについて書かれています。
日本でどのようにイスラムの教えを実践していくか、家庭を築き、子供を教育しているか。
同じ境遇にある人は非常に参考になるはずです。
イスラムは女性差別なのか? なぜヴェールをかぶるのか?顔を隠さなければならないのか?これらをクルアーンの基本に立ち返って解説した貴重な本です。
「イスラーム復興とジェンダー」
日本人女性がエジプトに住み込み、現地の女性やウラマー(イスラム学者)への濃密なインタビューを重ねることで記した本。
イスラム教徒は日々の生活でコーランやハディースの教えを手本にし、そこに書かれていないことはウラマーに相談します。
中には周囲に人に相談できない性、恋愛などについての悩みも多く寄せられます。
「好きな人がいます。彼は別の人と婚約しています。どうしたらいいでしょうか?」
「もう少しで結婚しますが、セックスの時痛いって聞きました。不安で落ち着きません」
赤裸々ともいえる女性とウラマーとの会話から、現代のイスラム圏の性と性生活が垣間見れる稀有な名著です。
「イスラームとヴェールー現代イランに生きる女たち」
現代イラン社会を専門とする著者の本。
イランの革命前・革命後を比較しながら、女性の暮らしや社会的地位、家族関係、ヴェールの着用など服装の変化などを詳しく紹介しています。
革命後のイスラム政権で、法律面で女性の権利がかなり制限されたことがわかります。
イラン女性は差別されているのか?
なぜイラン女性はスカーフから大胆に髪を出しているのか?
イランを超え、イスラム世界全体のヒジャーブについても平易に解説されています。
【参考図書】
20年間の取材によるイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるイスラム入門書。世界でなぜイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。