イスラムで男女の服装ルールが違う理由
イスラム女性はヒジャブやニカブなどの布で髪やボディラインを隠しています。なぜ女性ばかり隠すことを要求されるのでしょうか?それは男女差別ではないですか?
そんな疑問に答えます。
男女とも服装ルールがある
イスラムというと女性の服装ばかり注目されますが、男性にも服装規定があります。「おへそから膝まで隠す」です。
それ以外は出しても良いのですが、実際にはほとんどの男性が肌を隠しています。
アラブ男性の民族衣装は、長袖でくるぶしまでのロングのワンピース。半ズボンで町を歩いている男性は、ほとんど見かけません。男女とも肌を見せるのは好ましくないこととされています。
なぜ隠す?慎みを重んじる文化
肌を見せないのは、中東やアラブは慎みや羞恥心を尊ぶ文化だからですです。
公衆浴場では、同性同士であっても陰部は見せず、下着をつけて入ります。
また現地の気候の関係もあります。
中東の日差しは強烈です。肌を見せないのは肌を守る意味もある。
このように肌の露出は男女とも控えめ。女性だけが隠すことを強制されているわけでもないのです。
男女で隠す場所が違うわけ
ただし隠すべき場所は、男女とも違いがあります。上に書いたとおり男性は「おへそから膝まで」・女性は「顔と手以外」。
男女で違いがあるのは身体の構造が違うからです。
水着ゾーンで考えてみると分かりやすいと思います。
(出典:とにかく明るい性教育)
水着ゾーンは「他人に見せても触らせてもいけない、自分だけの大切な場所」。セクシャルな部分です。
それは男女で違います。体の構造が違うから。これを見て「女子だけが胸を隠すのは女性差別だ!」とはならないでしょう。
イスラムでは髪はセクシャルな部分
イスラム女性が髪も隠すのか?それがイスラム文化ではセクシャルな部分とされるからです。日本では女性は髪を隠す習慣がありませんが、これは宗教的・文化的違いです。
髪を隠さない日本人から見れば「やらされている感」があります。しかし本人にとっては、生まれてからの習慣ともいえる自然なこと。「不自由」という感覚はありません。
肌を見せられなくてつまらない?
「それはわかるけど、でもおしゃれできなくてかわいそう」「時にはミニスカートを履いて町を歩いたり、ボディコンシャスな服を楽しみたいのでは?」
イスラム女性もおしゃれは大好きです。でもそれを見せて楽しむ相手は夫だけです。
美しさは自分を大切にしてくれる人だけに見せるのです。美しさは尊いものなのです。(←「女性は宝石 イスラム教の女性が肌や髪を隠す理由」)
不特定多数の男性に見せて楽しむ、という発想はありません。それは女性としての品格を落とす行為です。
女性の品格は日本も同じ
「女性としての品格」は、日本にも共通する部分があるのではないでしょうか。たとえば初めて結婚相手の男性の両親に挨拶に伺う時。タンクトップにミニスカートという格好で行きますか?
少なくとも膝下丈の派手すぎない色のワンピース、などの服装を選ぶのではないでしょうか。
日本とイスラム女性の服装を同列に語ることはできませんが、「品格や慎みを重んじる」「相手をリスペクトする」発想は同じです。
20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。