ヒジャブ、ブルカ、二カブ、アバヤ、チャドルとは?‥‥イスラム女性の服装を解説
ヒジャブ、ブルカ、二カブ、チャドル‥イスラム女性の服装は様々です。それらはどんなものでしょう?つけ方には決まりはあるのでしょうか?詳しくご紹介します。
イスラム女性の服装の種類と名前
①「ヒジャブ」:一般的に「ヴェール」「スカーフ」と言われるもの。
②「ブルカ」 :顔や体を含め全身を覆いかくすもの。
③「ニカブ」 :目だけ出して顔を隠すもの。
④「アバヤ」 :黒いコート(長衣)。
⑤「チャドル」:大きな1枚布で全身を覆うもの。
①〜⑤それぞれについて、詳しく説明します。
①ヒジャブ(ヒジャーブ)hijab
「ヒジャブ(ヒジャーブ)」は女性の隠す布として最も代表的なもので、一般的に「ヴェール」「スカーフ」と言われるものです。頭髪を首までしっかり隠すもので、顔は隠しません。(「隠す」を意味するアラビア語の「ハジャバ」からきています。)
本来は頭髪のスカーフに限ったものではありませんが、今は主に髪を隠すスカーフを指す際に使われています。
②ブルカburqa

オマーンの女性がつけるブルカ。オマーンの女性たちは普段これを身につけないが、男性が大勢集まる市場などでは、身につけるのが習慣となっている。
「ブルカ」は元々はアラビア半島で使われていた顔マスクで、鼻や口を隠すものです。
今はそこから転じて、アフガニスタンなどで女性の体をすっぽり覆い隠す服を指すことが多くなっています。

パキスタン・カラチのブルカ姿の女性。ただし保守的な女性のみ。パキスタン女性の多くは「サルワール・カミーズ」という民族衣装を着ている。
見た目はてるてる坊主に近く、目の部分だけメッシュ状になっていて、そこから外が見えるようになっています。
③ニカブniqab
「ニカブ(二カーブ)」は、目だけ出して顔を隠す布です。
サウジアラビア女性などが身につけていますが、他のアラブ・イスラム圏(エジプトやモロッコ、インド、インドネシアなど)などでも見られ、主に保守的な層の女性に好まれています。
④「アバヤ」abaya
アバヤ(アバーヤ)は黒いガウン(長衣)のこと。主にサウジアラビアなど湾岸諸国の女性が身につけていますが、他のアラブ・イスラム圏でも着用されています。
丈はくるぶしまであり、これと黒いヒジャブを身につけるのが一般的です。
アバヤはさっと羽織るだけで良いし、特に黒のアバヤは女性の姿をシックかつエレガントに見せてくれるため、重宝します。私も持っています。
⑤「チャドル」chador
「チャドル」は主にイラン女性が羽織る衣服で、大きな1枚の布で全身を覆うもの。アバヤと一見似ていますが、アバヤはコート、チャドルは1枚の布です。
布を体に巻いているので、手で持っていないとずり落ちてしまいます。色は黒だけでなく花柄模様などもあります。
「何を着るか?」に決まりはある?

モロッコの女性たち。女性たちが着ているのはジェラバという民族衣装。
以上の服装のうち、女性がどれを身につけるかは基本的に女性個人の自由です。そのため同じ国・町でも女性たちの服装は多様です。上の写真のようにジェラバという民族衣装の女性のほかに、ズボンをはいた女性もいます。
ヒジャブ着用のルールとは?
巻き方の決まりは?
代表的な隠す布「ヒジャブ」。付け方は基本的には自由です。ただ髪を隠すのが目的なので、髪がはみ出さないよう顔周りをぴったり布で包み込むのが正しい付け方です。
額から髪がはみ出すのを防ぐため、内側に「インナー・ヒジャブ」をつけることもあります(写真の黒の布)。インナー・ヒジャブの色は黒か白が多いです。
このように、ただぐるりとラフに巻くだけでもOK。イスラムの戒律がゆるい国では、こんなラフなヒジャブ姿の女性が多いです。
色に決まりはある?

エジプトの女性。ヒジャブとシャツを同系色にまとめている。
上のエジプト女性、なんとヒジャブとバッグ、服を同系色でまとめています。このようにヒジャブの色や形は実に様々です。エジプト女性はアラブのファッションリーダーとも言われるだけあって、身につけるヒジャブは、とてもカラフル。
ヒジャブの色は国によっても「定番」があり、シリアは「白」が多いです。
イスラム女性の服装にご興味ある方の参考になれば嬉しいです。
【参考図書】
20年間の取材によるイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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