仕事より家族。イスラム教徒が人生で大切にしていること②

イスラムでは家族に大きな価値を置いています

そのためコーランでは結婚を奨励し、婚外交渉を禁止、両親を大切にすることを義務付け、子殺しを禁止しています。

(参考:イスラムにおける「家族」の重要性<イスラム基礎知識>

イスラムの家族

エジプトのお父さんもやっぱり肩車するんですね。

イスラム圏に行って現地の人と仲良くなると、必ず家族の写真を見せてくれます。
財布の中に必ず家族の写真が入っているのです。

そして「あなたのお母さんとお父さんの写真見せて」とよく言われる。
「持っていない」というと、「えー!」と驚きます。

家族と離れて一人で海外にいるというのに、写真も持ってないとは! 寂しくて頭がおかしくならないのだろうか? そう思うようです。 

興味は「結婚」

初対面でいきなり「結婚しているか?」と聞かれることは少なくありません。

「なんでそんなプライベートなことを」と日本人なら思いますが、向こうでは「あいさつ」みたいなもの。

日本の「何の仕事をしていますか?」みたいなものです。

つまり、仕事より結婚の有無の方に興味があり、結婚しているか・いないか?は相手を判断する大切な基準なのです。

もし独身で現地に住んでいたら、周囲の人が頼みもしないのに次々に縁談を持ってきます。

いい年になったら結婚するのは当たり前。独身者は生きづらい社会です。独身者用のアパートのようなものほとんどありません。

結婚は非常に重要なので、結婚式は人生の一大事。

バングラデシュやパキスタンでは3日間、チュニジアなどでは1週間行うこともあります。

イスラムの結婚式

バングラデシュの結婚式で、中央の新婦を囲むファミリー。

結婚式はスピーチなどはなく、ひたすらガンガン踊りまくる。おめでたい場だからです。

どうして子供がいないの?

「結婚している」と答えると、すかさず「子供は?」と聞かれます。

「いない」と言えば、日本ではそれまでですが、イスラム圏の場合、そうはいきません。

「夫は欲しくないのか?」「何か子供ができないことしているの?」「医者にいったのか?」‥‥次々に質問が飛んできます。

結婚したら子供を産むのが当たり前。結婚しているのに子供がいないなど、考えられない。
だからつい「どうして?」と聞いてしまうのです。

イスラムの家族

パキスタンのお父さんグループ。

昔はイスラム圏も子沢山でしたが、今はどこでも教育費が高騰し、子供の数を制限する家庭も少なくありません。

イランやエジプトでも2、3人が主流です。その方が良い教育ができると考えられています。

それでも子供がいないという夫婦は例外的です。

結婚して子供を産む。それが人生の幸せと信じて疑わない。

「結婚だけが人生じゃない」「子供がいない幸せもある」などと言っても説得力はありません。

老人ホームは少ない

イスラム圏どこでも、老人ホームの話はあまり聞きません。

あるのかもしれませんが、日本のように一般的ではありません。

年老いた両親をホームに入れるという発想や習慣がないのです。

イスラムの老人

オマーンのおじいちゃんたちは、見るからに幸せそうな人が多い。

「親にやさしく」はコーランのいたるところに書かれています。

「両親に孝行しなさい。もし両親か、またそのどちらかが老齢に達しても、彼らに「ちぇっ」とか荒い言葉を使わず、親切な言葉で話しなさい。そして敬愛の情を込め、両親に対し謙虚に翼を低く垂れ(優しくし)」(17章23節)。

両親が年をとっても最後まで一緒に暮らすのは、当たり前です。

寝たきりになった両親を、家のいちばん良い場所、たいていはリビングに寝かせます。

休日も旅行も家族と

日本では結婚して家を出ると、家族や親戚と会うのはお盆とお正月くらい。そんな人少なくないのではないでしょうか?

向こうでは、はなれて暮らしていても、毎週末ごとに家族や親戚を訪ねあいます。

近くに住んでいれば毎日。電話は毎日する。

休日は家族と過ごすもの。旅行も家族といっしょ。

一人旅という習慣はありません。

あるパキスタン女性に、「イスラム女性は一人で海外に行けないし、つまらなくないの?」と質問したら、「一人で旅行したら、楽しみが半分になる」と言われました。

家族が喜びの源泉

彼らに「人生で何が一番楽しいか?」ときくと、「結婚すること、子供が生まれることさ」といいます。

イスラムの家族

パキスタンのお父さん。男の表情がすっごく楽しそう。

「子どもは良いもんさ。すべての幸せは子供たちが運んでくる。仕事のため、お金のためだけに生きてはいけない。一人がパンを持ってくる、一人がメロンを持ってくる、一人がバターを持ってくる。一人が‥‥」とある人は言います。
 

すべての人生の喜びは家族から生まれる」。これが彼らの考え方です。

たくさんの子供・孫に恵まれ、死ぬまでたくさんの家族に囲まれてにぎやかに過ごす。
これこそイスラム教徒にとっての幸せなのです。

 
まとめ

エジプト、モロッコ、シリア・・・イスラムの国は、総じて日本より貧しい国が少なくありません。

でも、そんな国を旅していて思うのは、日本人よりずっと楽しそうに生きているということです。

なぜなら家族の絆がしっかりあるから。

もちろん日本にも楽しみはあります。映画をはじめ各種娯楽、世界中の料理が楽しめるグルメ、女性一人旅……。

でも、どこかで私たちは物足りなさを感じている人が多いのではないでしょうか? 

その楽しみの多くは娯楽と名を変えた「消費」です。

家族と心置きなく時間を過ごす。これが人間の根本的な生の喜びのような気がします。

イスラム圏の人々が日本ほど豊かでなくても楽しそうに見えるのは、家族という安らぎと幸せの源泉をしっかりと持っているからではないかと思います。

晩婚化・少子化が進む日本。戦後、経済効率を中心に戦後生きてきた私たちは、どこかに人生の根元的な喜びを忘れ去ってしまったのではないかしら?

イスラムの家族

チュニジアのお父さん。息子が可愛くてたまらない様子。

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