2006-08-06

微笑ましかったおばあちゃんの写真鑑賞

今、新宿のコニカミノルタプラザで写真展「Becoming the Legend」-砂漠の荒野に生きる-を開催中です。

写真展の場所は、それほど広くはありません。
写真をさっと見るだけなら、10分もあれば十分です。

しかし中にはずいぶん長時間、会場にいらっしゃり、熱心に見てくださる方もいて恐縮します。

今日は午前中にいらしたおばあちゃん。
手押し車を押しながら、一枚一枚とてもゆっくり見て下さり、ゆうに1時間くらい、いらっしゃいました。

「どうもありがとうございました」とお礼を言うと、
「まだまだ見きれないから、お昼食べてから、また来るよ」

(ええっ!?)

1時間に本当におばあちゃんは現れました。
午前と同じく、ご主人と思われるおじいちゃんと一緒です。

午前中、おじいちゃんは、外の長いすで待っていました。

午後は、おばあちゃんがおじいちゃんを会場に引っ張り込み、写真を前に解説。

「ラクダが走ってるんだって、ほら、おじいちゃん」

おじいちゃんは途中で疲れてしまったのか、しばらくしたら外に出て、また長いすで休んでいました。

おばあちゃんは、他の会場とも行き来しながら2時間くらい、いらっしゃいました。

「わたしゃね、年とってるから、見るのに時間がかかるんだよ」

その間、おじいちゃんは、長いすでじっとおばあちゃんを見つめながら、待っていました。

おばあちゃんの手押し車にちっちゃなタンバリンがくくりつけてありました。
「それ、何に使うんですか?」ときくと、
「おじいちゃんが、最近ぼけてきたから、横断歩道を渡るのに危ないから、ふたりで渡るときは、これをたたいて大きな音を出すの」

なんだかとても良い風景を見させていただきました。

〜写真展あらまし〜

クダ7頭を連れてひとりで遊牧生活を送る女性と暮らしながら、3年間撮り続けた記録。

エジプトの東方砂漠に暮らす遊牧民のホシュマン族は、97年以来続く旱魃で遊牧が困難になり、その多くが砂漠の中の定住地で観光客相手の仕事をして暮らすようになった。今でも遊牧生活を営んでいるのはわずか数家族にすぎず、このまま旱魃が続けば、数十年のうちに砂漠に遊牧民はいなくなってしまうだろうと言われている。

サイーダ(57歳)は、町や定住地に暮らす家族の誘いを断り、ひとりで遊牧生活を続ける。燃料は枯木や家畜の糞。水は泉から汲み、夜は月明かりでパンを焼く。必要最低限のもので満ち足りた気持ちで暮らし、自然と密接に関わりながら、人知を越えた存在を素朴に信じて力強く生きる姿に惹かれ、何度も彼女のもとへ足を運んだ。

 

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