ヒジャブ、ブルカ、二カブ、チャドル‥イスラム女性が髪や肌を隠す布には色々なものがあります。
それらはどんなもの?
つけ方には決まりはあるの?
詳しくご紹介します。
この記事を書いている私は、20年以上イスラム社会で女性達と生活をともにし、『イスラム流幸せな生き方』などイスラム教をテーマとする本を多数出版しています。
目次
イスラム女性の服装の種類と名前
①「ヒジャブ」:一般的に「ヴェール」「スカーフ」と言われるもの。
②「ブルカ」 :顔や体を含め全身を覆いかくすもの。
③「ニカブ」 :目だけ出して顔を隠すもの。
④「アバヤ」 :黒いコート(長衣)。
⑤「チャドル」:大きな1枚布で全身を覆うもの。
それぞれ何が違うのでしょう?以下が写真と詳しい説明です↓
①「ヒジャブ」
「ヒジャブ(ヒジャーブ)」は女性の隠す布として最も代表的なものです。
一般的に「ヴェール」「スカーフ」と言われるものを指します。
頭髪を首までしっかり隠すもので、顔は隠しません。
(「隠す」を意味するアラビア語の「ハジャバ」からきています。)
隠すものなので、そもそもは頭髪のスカーフに限ったものではありませんが、今は主に髪を隠すスカーフを指す際に使われることが多くなっています。
②「ブルカ」
「ブルカ」は元々はアラビア半島で使われていた顔マスクで、鼻や口を隠すものです。
今はそこから転じて、アフガニスタンなどで女性の体をすっぽり覆い隠す服を指すことが多くなっています。
見た目はてるてる坊主に近く、目の部分だけメッシュ状になっていて、そこから外が見えるようになっています。
③「ニカブ」
「ニカブ(二カーブ)」は、目だけ出して顔を隠す布です。
主にサウジアラビアの女性が身につけていますが、他のエジプトやモロッコなどアラブ圏、インドのイスラム教徒などでも見られます。
ニカブはかなり保守的な考えの女性が着用することが多い傾向があります。
④「アバヤ」
アバヤ(アバーヤ)は黒いガウン(長衣)のこと。
サウジアラビアなど湾岸諸国の女性が身につけています。
これもニカブ同様、他のアラブの国やインドなどでも見られます。
丈はくるぶしまであり、これと黒いヒジャブを身につけるのが一般的です。
アバヤはさっと羽織るだけで着れますし、特に黒のアバヤは女性の姿をシックでエレガントに見せてくれるので重宝します。私も1着持っています。
⑤「チャドル」
「チャドル」は主にイラン女性が羽織る衣服で、大きな1枚の布で全身を覆うものです。
アバヤと似ていますが、アバヤはコートで、チャドルは1枚の布です。
布を体に巻いているので、手で持っていないとずり落ちてしまいます。
色は黒だけでなく、花柄模様などもあります。
「何を身につけるか」に決まりはある?
以上の服装のうち、女性がどれを身につけるかは基本的に女性個人の自由です。
そのため同じ国・町でも女性たちの服装は多様です。

モロッコの町。左の女性はスパッツをはいているのに対して、大きな一枚布で体全体を隠し、顔も目以外は隠している女性も。
同じ町でも、こんなに女性たちの服装は違います。
ヒジャブの着用ルール
巻き方に決まりはある?
代表的な隠す布「ヒジャブ」。付け方に決まりがあるのでしょうか?
基本的には自由です。
ただ髪を隠すのが目的であるため、髪がはみ出さないよう顔周りをぴったり布で包み込むのが正しいとされています。

モロッコの女性。この女性もインナーヒジャブを着けています。
額から髪がはみ出すのを防ぐため、内側に「インナー・ヒジャブ」をつけることもあります。
インナー・ヒジャブの色は黒か白が多いです。

チュニジアの若い女性。
このように、ヒジャーブは、ただぐるりとラフに巻くだけでもOK。
イスラムの戒律がゆるい国では、こんなラフなヒジャブ姿の女性が多いです。
色に決まりはある?
ヒジャブの色や形は実に様々。
アラブのファッションリーダー的存在であるエジプト女性たちのヒジャブは、とてもカラフルです。

エジプトの若い女性たちの間では、ヒジャーブと服の色を合わせるのが定番のおしゃれ
なんとヒジャブと服を同系色にまとめている!
色も国によって「定番」があります。
シリア女性のヒジャブは「白」が多いです。
シリアでは、「ヤンママ」も白のヒジャブです。
イスラム女性の服装にご興味ある方の参考になれば嬉しいです。
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こちらのヒジャブは形がシンプルで、色や柄もバリエーションがあり、値段も手頃です。
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【参考図書】
20年間撮影したイスラム女性達の写真集。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートありの楽しくリアルな日常。
「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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