イスラムの結婚式:特徴や段階は?

エジプトの結婚式でステージの上の花嫁と親戚家族・友人たち。エジプトの結婚式は踊りがメインで、しばしば小さな女の子も一緒に踊る。
イスラムの結婚式についてまとめました。
結婚式の特徴・流れ・イスラム社会の各国の結婚式の様子などをご紹介します。
イスラム圏の結婚式の流れ
契約式→披露宴

結婚契約書にサインをする花嫁。
イスラム教の結婚(ニカー/ Nikah)は、まず契約で、結婚にあたって契約書を作成します。(←イスラム教の結婚ルールとは?)
契約書の作成→披披露宴が結婚式の流れです。
日本人の場合、「ニカー」を行う前に、まずイスラム教徒になる必要があるため、シャハーダ(信仰告白)→ニカー→披露宴(マストではありません)となります。同じ日にモスクでシャハーダをした後、ニカーを行うことが多いようです。
契約書の作成にあたっては、イスラム法に通じた学者や、家族など複数の証人が立ち会い、花嫁花婿が著名をします。
これを特別に「婚約式(結婚契約式)」として、披露宴と別個で行うこともあれば、結婚式の中で一緒に行うこともあります。
①結婚契約式を行う(エジプトなど中東諸国)
・エジプトの結婚式②結婚式(披露宴)の中で一緒に契約の儀式を行う(インドネシアやパキスタンなど)
・インドネシアの結婚式
・パキスタンの結婚式
①「結婚契約式」は、通常、家族や親類だけのこじんまりとした式で、友人や知人が呼ばれるのは、披露宴(パーティ)の方です。
ヘナの儀式
イスラム世界では、結婚式(披露宴)の前に、「ヘナの儀式」を行うのが普通です。(参考:ヘナとは?)
これは東はバングラデシュから西はモロッコまで共通しています。(ヘナはインドあたりが発祥なのではないかと思っています。)
染める部分は手だけだったり、手と足の裏、手と足の爪先だったりと、地域や家庭によっても違います。
またデザインも花や草木、人形など、国や地域、家庭によって様々。
エジプトでは最近まで新郎の右手人差し指にヘナを施すこともあったそうです。
床入りの時、その指で新婦の破瓜をするからですが、最近ではこの習慣も廃れてきつつあるようです。
披露宴(結婚パーティの特徴)
披露宴はとても盛大に行われます。最近日本では式を挙げずに籍だけ入れる、または親族だけのこじんまりした結婚式も増えつつありますが、イスラム圏ではそれはありません。
招待客も多く、飛び入り参加もOKだったりします。
結婚式の場所は?
庶民の場合は、新郎や新婦の家や、その前の路地で行うことが多いです。
インドネシアやエジプト、チュニジア、モロッコなどがそうです。(←エジプトの結婚式の特徴は?)
2人の結婚を周囲の人々に知らせる意味があるからです。
イスラムでは結婚していない男女の関係はご法度。そのため、盛大に披露宴を行い、周囲に結婚を知らしめ「2人の関係が姦通ではない」ことをアピールするのです。
バングラデシュやパキスタンになると招待客が膨大な数になるため、公民館のような場所を借りたりします。
(富裕層はバンケットホールのような場所です)
*参考:パキスタンの結婚式ーメヘンディ・シャディ・ワリマを詳しくご紹介。
男女別
インドネシアやバングラデシュは男女一緒ですが、アラブの結婚式ははほとんどが男女別です。
面白いのは、女性のパーティは歌あり踊りありと大変賑やかなのに、男性の方はひっそりしていることです。
結婚式は音楽とダンスが中心

エジプトの結婚式。
国によって違いはありますが、中東やアラブの結婚式は歌、音楽、ダンス中心です。
エジプトではしばしばベリーダンサーが登場。場を盛りあげます。
アラブでは驚くべきことに、女性たち誰もがベリーダンサー顔負けの踊りの腕前なのです。
イスラム教ではダンスや音楽は禁止されている?
これについては考え方は様々ですが、実際には音楽やダンスは生活に深く根付いています。
イスラムで音楽が否定されているわけではないとする根拠には、次のハディースによります。
「アーイシャによると、彼女が或る花嫁をアンサールの男のもとへ導きいれたとき、預言者は「アーイシャよ、アンサールの人達は楽しみ(結婚の祝いのとき、タンバリンを叩いたり、歌ったりすること)が好きなのに、お前は楽しまないのか」と言った。」
(アーイシャは預言者ムハンマドの複数の妻のうち、最も愛された妻で、預言者について数多くのハディースを伝えています。)
音楽については法学者によっても意見が分かれますが、男女が入り乱れることがなく、下品なものでなければ許容されているという考えが一般的です。
時間は?
インドネシアなどでは昼間のパーティが多いですが、他は夜が多いです。
花嫁の服装は?
新郎新婦は「イスラミック・ウェディングドレス」というべきものが多いです。
色は白で、肌を見せないドレスです。
招待客に参加する際の服装
肌の露出を避けるのが最低限のマナーです。
その国の民族衣装などでも良いかもしれません。
現地の身近な友人などに聞いてみましょう。
【参考図書】
20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。恋愛、結婚、歌と踊り、デート。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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