シャバナ・ジラニさん(36歳)。写真中央
パキスタン南部の都市カラチでの警察の一等司令官です。
初の女性一等司令官
カラチがあるシンド州には、計15人の一等司令官がいます。
女性は私一人。初めての女性の一等司令官です。
16人の部下がいます。カラチ全体で、女性警察官は千人ほどです。
カラチ大学経済学部を96年に卒業しました。
警察官になったのは、幼い頃から社会問題に興味があったからです。社会のために役立つ仕事がしたいと思っていました。
母親は医者で、私にちゃんとした職業に就いてもらいたいと思っていました。
今のポストにつけたのは、日ごろから正直であることに努めたからでしょうか。
女性の地位については、教育が一番大事だと思います。
教育があれば、どう自分の権利を行使してよいのかわかる。
泥棒と対面し捕まりそうに
ふだん9時に出勤します。
仕事はマネジメント業務が主で、昨晩自分が留守の間に起きた事件などをチェックしたり、ミーティングに出たり。
何かあるとすぐに現場へ行きます。1日に40件くらい電話があります。
泥棒が家に入ってきたとか、近くに死体があるとか。
泥棒と対面して捕まりそうになったりしたことが何度もあります。
一番危なかったのは、ある村で、誘拐された女性を救いに行ったときです。
その女性と結婚させようとした男性の家族が、女性側に結婚を断られたため女性を誘拐したのです。
女性を救うために私のチームが現場に向かいましたが、撃ち合いになりました。
部下も何人か男の家族にとらえらた。
そこで追加要員を要請。あの時は本当に怖かったです。
カラチでは銃や麻薬、爆弾の所持が多いため、一日に1~2回スポットチェックを行う。
結婚と家庭生活
結婚は18歳の時。相手はいとこですが、互いに好意をもっていました。
双子を授かり、今12歳です。
この国では、女性は出産したら3~4ヶ月の産休があります。
夫は私の仕事にとても理解があり、私が働く姿を見るのを楽しんでいてくれています。
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