1週間続くチュニジアの結婚式:初夜のクライマックスまでの一部始終をくまなくご紹介!

チュニジアの結婚式

床入りのパーティでヘンナの模様を披露する花嫁。ヘンナはアラブ世界では幸せの象徴。結婚式などで主に描かれる。チュニジアでは、地方によってヘンナのデザインは様々である。

アラブ世界では人生で最もお金をかけて盛大に祝われるのが結婚式。その中でも群を抜いているのがチュニジアです。

チュニジアの結婚式は1週間行われ、その間地方ごとの特色ある豪華な民族衣装を身につけます。

部屋中を詰めつくす大量の持参品、純血証明の朝今回はそんなチュニジアの結婚式の一部始終をご紹介します。

動画でもご覧いただけます。1:50〜7:00がチュニジアの結婚式です。

ハマムで全身を美しく【1日目】

チュニジアの結婚式

友人たちに付き添われてハマムに向かう花嫁

結婚式はまずハマムで身体を洗い清めることからスタートします。

ハマムとはアラブ世界の公衆浴場です。(日本の銭湯との違いは「ハマムで女磨き」をお読みください。)

初めて肌を重ねる旦那様のために、全身を美しく魅力的に仕立て上げるのです。

ヘンナの夜会【1・2日目】

ハマムから帰った夜は、ヘンナの夜会です。

ヘンナ(ヘナ)は植物の葉を乾燥させて粉末状にした天然の染料。

イスラム社会ではヘンナは喜びと幸福の象徴で、結婚式や祭礼の日などに描かれます。

普通は手だけに描きますが、チュニジアの結婚式では手と足の両方に行う。

パーティでは30人ほどの女性たちが車座になり、太鼓に音色に合わせて低い声で朗々と歌う中、新婦の友人たちが新婦の手足にヘンナを施します。

描いた後は、ヘナの色素を肌に定着させるため、花嫁の手足を布でぐるぐる巻きに。

一晩中この状態で眠ります。

贈り物の贈呈とお返し【3日目】

チュニジアの結婚式

花婿側の女性たち30人くらいが、贈り物を持ってやってきます。贈り物は衣類やシーツ、布団などなど。

これらが玄関前に用意されたテーブル上に並べられ、それを囲んで両家の女性たちが踊ります。

そしてメインの贈り物である貴金属品の贈呈が。

チュニジアの結婚式

持参品の「おひろめ」

チュニジアの結婚式

その後、花嫁の家族が用意した持参品のお披露目。

花婿側の女性たちが、部屋中に並べられた品々を吟味します。

アラブの結婚式で驚くのは、持参品の量です。(←「知って驚き!アラブの結婚制度」)

この家でも、食器棚や食器類、シーツや毛布、カーペット、シャンプー、石けん‥畳20畳ほどの部屋を埋めつくし、足の踏み場もありません。

持参品が少ないと、花婿側からブーイングが出るとか。

さて花婿側の評価は?

「ステキだわ」という声もあったものの、「他の家はもっと多かった」、「カーペットが少ない」などの酷評がけっこうあったそうです。

贈り物のお返しはオスバーンのクスクス

オスバーンのクスクス

お返しに花嫁の家から花婿宅へクスクスが届けられます。「オスバーンعصبان」という食べ物がのっています

オスバーンは、羊の胃袋の詰め物の料理です。チュニジアではイードや結婚式などお祝いの時に食されます。

チュニジアのオスバーンはお祝い料理。材料は数種類の野菜(パセリ、コリアンダー、ネギ、ニンニク、フダンソウ)、乾燥ミント、スパイス(チリ、コリアンダー、塩、コショウ、ターメリック)。作り方:野菜を細かく刻み、スパイスを加え、お米とともに…

常見 藤代さんの投稿 2020年8月25日火曜日

<オスバーンの作り方>

材料:数種類の野菜(パセリ、コリアンダー、ネギ、ニンニク、フダンソウ)、乾燥ミント、スパイス(チリ、コリアンダー、塩、コショウ、ターメリック)。

作り方:野菜を細かく刻み、スパイスを加え、お米とともに炒めます。

それを動物の腸皮で包み、銀紙でくるんでトマトと肉のスープに入れてグツグツ煮込みます。

オスバーンのレシピはこちらにも詳しく書かれています。アラビア語ですが。

クスクスを届けたら、家の中庭でダンスパーティ。

このように、常にダンス、ダンス、ダンス……

ただし踊るのはいつも女性だけ。男性はおとなしく見守るばかりです。

新婦宅のパーティ【4日目】・新郎宅のパーティ【5日目】

チュニジアの結婚式

地方の民族衣装に身を包む花嫁と友人たち

ともに男女別々で行われます。パーティのスタートは夜7時、終わりは真夜中です。

女性のパーティには女性の楽団が出演。参加者は楽団の歌と音楽に合わせ、入れ替わり立ち替わり踊ります。

食事はなく、ただひたすら踊りです。

よく体力がもちますねえと、ひたすら感心。

一方で、男性の宴といえば地味なもの。ただお茶を飲んで挨拶するだけです。

床入り【6日目】

いよいよクライマックスに近づいてきました。

朝、花嫁は全身を脱毛します。初めて肌を重ねる旦那様のために、すべすべのすっきりとした肌にするのです。

イスラム女性のアンダーヘア脱毛

そして驚くなかれ、イスラム教徒の脱毛とは、アソコの毛もすべて剃るのです。

「男は毛が嫌いなのよ」と花嫁。

担当は、新婦のお姉さんと友人のお母さんです。

なんと「あの部分」を剃るのも彼女たち。

いくら同性同士といえども、私なら恥ずかしくて、とてもできないなあ‥‥。

新居へ荷物を運びこむ

チュニジアの住宅

脱毛の間、花嫁の家族たちが、新居へ持参品を運び込みます。しめてトラック6台分。

新居はできたてのホヤホヤです。

アラブ社会では、結婚にあたって男性が新居を用意することになっています。

当然大金がかかりますから、お金がなくてなかなか結婚できない男性も少なくありません。

この新居は、結婚式にやっとのことで間に合ったようです。

チュニジアの結婚式

寝室にはキングサイズのダブルベッドがどーんと置かれ、ベッドシーツの上には、キャンディでハート模様が!

その中心には夫婦のイニシャルまで描かれています。

新婦のお姉さんたちがつくったもので、2人の初夜への祝福の気持ちです。

チュニジアの男女もほとんどが処女と童貞で結婚するのです。

しかし性に関しては「うしろめたい」といったイメージはなく、実にあっけらかんと明るくオープンです。 

チュニジアの花嫁

そして驚くのは、新婦はこの時点で、新居をまだ一度も見ていないことです。

持参品が新居に運び込まれている間、花嫁は美容院で身支度。床入りパーティに向けて美しく着飾ります。

身支度が終わる頃、彼女を美容院にピックアップしに行きました。

美容院からの車の中で彼女はしきりに、「シャンプーはどこに入れたの?」、「食器棚はどの部屋に置いたの?」と訊いていました。

床入りパーティ

チュニジアの結婚式

美容院から彼女を乗せた車が到着すると、皆がいっせいに車を取り囲みます。床入りパーティへの突入です。

これは「お披露目式」です。

中庭にしつらえられた台の上に花嫁が立ち、彼女を囲んで女性たちが手拍子を叩きながら歌います。

スタートから15分ほどたった頃、新郎がはにかんだ笑顔でガチガチに緊張しながら登場。壇上に登り、新婦の隣に立ちます。

チュニジアの結婚式

私はこのとき初めて新郎を見ました。それまで式はずっと男女別々だったからです。

その後、一行は夫婦の新居へ移動。中庭で同じことがくり返されます。

やがて歌声と拍手が最高潮に達する頃、新郎新婦は皆に手を振り、寝室へと消えていった。

 

こうして花嫁が自分の両親の家からヘンナを塗って出てゆく。

チュニジアでは、これが彼女が実家から新しい家に移るサインで、結婚して生まれ変わる瞬間です。

純血の証明 【7日目】

チュニジアの結婚式

初夜の翌朝、新郎がお兄さんに付き添われ、新婦の父親に結果報告にやってくる。私が男だったら、非常に緊張する瞬間だ。

アラブ女性は今もほとんどが処女でお嫁に行きますが、これはチュニジアの女性も同様です。

そこでアラブ世界では、初夜の翌朝、血の付いたハンカチを両親などに見せることがあります。

彼女が処女だったという証明です。

「ハンカチに血がつかなければ、すぐに離婚されてしまうわ」と花嫁は不安そうに話していました。

エジプトなどではこの話を聞いたことがありますが、まさかアラブの中でも最も西欧化しているチュニジアでも行われるとは、思っていませんでした。

しかもここは村落部ではなく都市部です。

ちなみにこの習慣はイスラムから来ているというわけではありません。

エジプトのキリスト教徒でも行われます。いわば地中海世界の慣習です。

 

というわけで、この日の朝、新婚の2人から母親のところへ電話が入ることになっていました。「無事おわったよ!」の報告が。

しかし待てども待てども電話がありません。お母さんもお姉さんも、やきもき。

「もしや処女じゃなかったのでは!?」と、いてもたってもいられません。

自家製のオリーブオイルを自家製のパンにたっぷりつけた朝食を食べながら、「まだかまだか」と電話を待ち‥‥ようやくお昼近くに吉報があった時は、家族みんな、ぐったり疲れはてていました。

こういうセクシャルな話題をけっして隠し立てしないのがムスリムの人々なのです。

アラブ女性のしたたかさ

チュニジアの結婚式

彼女たちの式は、床入りの日以外はすべて男女別です。

その間、2人は顔を合わせず、携帯でも話ません。

私なら、きっと結婚前からイチャイチャ長話しそうですが……

花嫁はその点、バッサリ切り捨てます。

「結婚前に連絡とりすぎると新鮮みがなくなるわ。それに彼をさみしがらせれば、結婚してから大事にされるの」

一方で、アラブの花嫁のたしなみである、セクシー下着をそろえることも忘れません

イスラムでは結婚後の性生活を大いに楽しむよう教えます。

そのためになくてはならないのがセクシー下着なのです。

彼女の持参品の部屋にあった大きなスーツケース二つには、はみ出んばかりに真っ赤なスリップ、ブルーのネグリジェ、ピンクのパンティ……セクシーランジェリーがびっしり詰まっていました。

彼女はそれを私に自慢げに見せながら言います。

「チュニジアでは花嫁はみんな結婚の時に12色の下着をそろえるのよ。パンティとブラジャーとスリップをそれぞれね」

 子どもはいつ頃欲しい?という私の質問に「結婚したらすぐよ。花嫁がハッピーなら、すぐ妊娠することになってるの」

その言葉どおり、彼女は一年もたたないうちにかわいい女の子を産みました。

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