バングラデシュの結婚式:ガエ・ホルード

イスラム

イスラムにおける夫婦の役割分担。家計は基本、夫の負担。それは女性差別?

生活に密着した宗教であるイスラムは、夫婦関係も明確に定めています。

夫婦それぞれに権利と義務があり、役割分担があるということ。

今回はその役割分担についてご紹介します。

夫婦の役割分担

イスラムが定める夫婦の役割分担は、「夫が稼ぎ、妻は家庭を守る」ということです。

役割を分担するのは、「男女は平等だが違うもの。その違いに応じた役割がある」と考えるからです。

「男は女の擁護者(家長)である。それはアッラーが、一方を他よりも強くなされ、かれらが自分の財産から(扶養するため)、経費を出すためである
それで貞節な女は従順に、アッラーの守護の下に(夫の)不在中を守る。
あなたがたが、不忠実、不行跡のある女たちには諭し、それでもだめならこれを臥所におきざりにし、それでも効き目がなければこれを打て。」(「コーラン」4:34)

もちろん女性が働くのは禁じられておらず、経済事情から働いている妻はたくさんいて、家計に貢献しています。そういう家では妻が言いたいことを言えるので、かえって仲が良いそうです。

ただ原則、家計は夫の負担。女性が収入があっても、家にお金を入れる義務はなく、収入が夫より上でも同様です。

「生活費は、すべて男性の義務とされているから、仕事をもっている女性はもちろんのこと、一般に女性の方が金持ちだともいわれる。あとにのべる女性銀行には、女性たちが財産をもちこみ、「これは、家族のだれにも内緒にしておいてね」という人が多いと、女性支店長が語っていた。これらを資本にして、男性をエイジェントにたて、大がかりなビジネスをしている女性も、サウディアラビアをはじめ、あちこちに見られる。」

(『イスラームの日常世界』)

「女性も働いて家計に貢献すべき」と考える人にとっては、男女不平等(女性差別)に映るかもしれません。

イスラムでは男女の差異をなくし、何もかも同じにしようという発想はないのです。

男女の違いを認め、結婚では男女が補完し合って暮らすのが理想と考えます。

ただし女性に働くなと言っているわけではありませんし、「働いても働かなくても自由、収入は家に入れなくていい」というのは、どちらかといえば女性優遇策です。

何より働きたくない女性には良い口実になります。
稼いでいないことに引け目を感じる必要がありません。

「誰のおかげで食べてると思ってるんだ!」などと言われたりはしない。養われるのは神が認めた当然の権利です。

「女性の遺産相続分が男性の半分」と定められているのも、男性が家計を負担するからです。

男は女の二倍相続するということをみとめたかわりに、家族の経済生活は男がうけもつこととされ、これもイスラームにおいて法律上の義務としてとりきめられた。
家族の生活を保障できなければ、多額の費用がかかるメッカへの巡礼も禁止されている。
1962年にエジプトには、すでに女性大臣が誕生しているが、彼女は、「夫の収入より、自分の方が多いけれども、家計はすべて夫がまかないます。それは、イスラムにおける男の義務ですから」と話していた。」

(『イスラームの日常世界』)

リーダーシップは男が

どんな集団もリーダーがいないと、まとまりがつかなくなります。これは家族も同じ。

そこでイスラムでは男性を家長としたわけです。

それは単に男が力が強いから。体力がある方が家計を賄い、家長を担うことにした。

日本でも夫のことを「主人」といいますよね?

主人はめんどうなことをやらなければなりません。

マンションの理事会に出たり、時には新聞の勧誘を追い払ったり。

これは単なる役割分担で、夫婦の優劣を示すわけでもありません。

よく男尊女卑と批判される「男たちは彼女らより一段上である」(2:228)もそうです。(『岩波イスラーム辞典』)

金を出す点では上だが、人間的な上下ではない。

ということをわきまえつつ、「いつも稼いできてくれてありがとう!」と持ち「上」げておくのは、夫婦円満の秘訣でもあるでしょう。

妻は夫の言いなりなのか?

とはいうものの、「それで貞節な女は従順に、アッラーの守護の下に(夫の)不在中を守る」とあるので、夫の言うことには何でも従わなければならないのか?と思われるでしょう。

もちろんそんなことはありません。

「夫婦で話し合った上で最終決定は夫にゆだねる」ということ。

夫の方も「金を出すんだから、俺の言うことは何でも聞け」なんて、ありえません。

実際、家では奥さんの方が強い。子供の教育や結婚に関しては、妻が圧倒的に主導権を握っている。

ただし「夫の言うことにはなるべく従う」という妻は多いです。それが夫婦円満の秘訣だから。

重大なことでなければ、そしてそれがイスラムの教えに反するようなことでなければ、ハイハイと夫の言うことを聞いておいた方が、うまくコトが運びます。(日本でも同じですよね?)

また最近の研究者は、この「従順」は神に対する態度であって、夫に対する態度ではないとも言っています。

大事なのは、何でも言うことを聞きたくなるような尊敬できる伴侶を選ぶ、ということでしょう。

夫は妻に暴力をふるってもいい?

そして「あなたがたが、不忠実、不行跡のある女たちには諭し、それでもだめならこれを臥所におきざりにし、それでも効き目がなければこれを打て。」です。

夫は妻に暴力を振るっていいの?やっぱりイスラムは女性差別!という意見もあるでしょう。

最後の文言は、「打て」「叩け」と訳されることもありますが、意味は「あくまで訓戒。身体的苦痛を味わせることではない」(「聖クルアーン日亜対訳注解」)。

多くの学者が、この指示は象徴的なもので、妻への暴力を認めるものではないとしています。

それにいきなり「打て」と言っているわけではありません。

まず諭し、それで聞かなければ寝室を別にし、それでもきかなければ‥とステップがあります。

たいていの妻は諭された時点で、「ハイハイ」と言うことを聞くでしょう。

とにかく、「妻によくしてあげるように」が宗教の教えです。

「夫婦はできるだけ仲良く添い遂げるのが第一」(4:19)

「あなた方のうち最良の者は家族(妻)に最良の者です。」(アッティルミズィーのハディース)

最も良き人とは、自分の家族、自分の妻に対して良い人。

どんなに外ヅラがよくても、妻に横柄な男性は天国にいけないのです。

まとめ

不完全な男女が、互いに補完しあう形でパートナーとなり、ともに支え合って生きていく。

これがイスラムが考えるイスラムの夫婦観・結婚観です。

そうではなく「男も完全、女も完全。自立した人間同士がパートナーになるのが理想的」と思う人もいるでしょう。

完璧なもの同士の結婚は、二人三脚みたいなものかもしれません。

二人三脚はどうしても歩きにくい。「一人の方がいいや」ということになる。

イスラムの結婚は片足同士の男女が一緒になって歩くようなもの。「こうやった方が歩きやすいね」とニコニコしながら、

お互いに感謝しつつ、仲良く歩き続けることになるでしょう。

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