六信五行とは?【イスラムの最重要な義務】

礼拝するイスラム教徒女性たち

イスラムにおける六信五行とは?

六信と五行のそれぞれの内容とは?

こんな疑問にわかりやすく答えます。 

この記事を書いている私は、結婚でなく勉強して2009年イスラム教に入信。

イスラム入門書「イスラム流 幸せな生き方」など多数の本を出版しています。

イスラム教徒が1日5回礼拝すること、ラマダン月に断食することは日本でもよく知られていますが、これらも「六信五行」で定められた義務です。

イスラム教の「六信五行」をわかりやすく紹介します。

「六信五行」の意味は?

コーランとは何か?

エジプトのモスクでコーランを誦む女性。コーランは声に出して誦むのが正しいとされる。この女性も小声で熱心にコーランを誦んでいた。

六信五行とは「6つの信じるべきこと」と「5つの行うべきこと」。

イスラム教徒の最も大切な義務です。

具体的には、次のことを指します。

「六信」‥ムスリムがその存在を信じるべき6つの事柄

(①神 ②天使 ③啓典 ④預言者 ⑤来世 ⑥天命)

「五行」‥ムスリムが行うべき5つの行い

(①信仰告白 ②礼拝 ③喜捨 ④断食 ⑤巡礼)

 

このように、コーランには宗教的な事だけでなく、「生きるルール」も書かれています。

(参考:「イスラムはどんな宗教?」)

その「生きるルール」で最も重要なのが「六信五行」です。

「六信」の内容

イスラムの聖典コーラン

イスラム教の聖典コーラン。アラビア語で書かれている。コーランには信者が守るべき神の命令なども記されている。

①「神」

イスラムでは「神」の存在を信じることになっています。

(イスラムの神をアッラーと言いますが、これは「神」を意味するアラビア語です。)

その「神」についての大原則は、「唯一」だということ。

「汝らの神は唯一なる神。そのほかに神は絶対にない。」

(『コーラン』2章158節)

日本では「よろずの神」と言ったりしますが、イスラムではありえません。

「神は唯一」という点ではキリスト教もユダヤ教も同様で、これらを「一神教」といいます。

(参考:イスラムの神アッラーとは?

 

②「天使」

天使は神アッラーの命令を忠実に実行するために働く存在です。神と人間との連絡係のような役割を担っています。

代表的なのは、コーランを預言者ムハンマドにもたらした「天使ジブリール」です。

他にも、人間の毎日の行動を毎日チェックする天使もいます。

誰でも右肩には善行を記録する天使が、左肩には悪行を記録する天使がいます。

この記録された善行と悪行が、終末の日に神の前で審判にかけられ、善行の方が多ければ天国へ行けることになっています。

③「啓典」

啓典とは神の言葉を集めた書物のこと。神の言葉を「啓示」といいます。

イスラムでは代表的なものが「コーラン」(正確にはクルアーン)です。

この他イスラムでは、ユダヤ教の「旧約聖書」、キリスト教の「新約聖書」も同じ神から下された啓典として認めています。

ただそれらの啓典は、「人間が神の言葉を正しく理解せず歪曲してしまった」と考え、コーランこそが「神が与えた最後で最高の言葉である」とされています。

(参考;「コーランとは?日本人が知らない真実」

④「預言者」

預言者は神の言葉(啓示)をあずかり、他の人々に伝える人のこと。

(「言者」ではありません)

イスラムでは預言者はムハンマドですが、ユダヤ教のモーゼやキリスト教のイエスも預言者として認めています。

コーランでは原初の人間アダムをはじめ25人の預言者が紹介されています。

それらのうち最後で最も偉大な預言者がムハンマドです。

(参考:預言者ムハンマドとは?

⑤「来世」

来世とは死後の世界のことです。

イスラムでは、「現世は仮の世界、来世こそ本当の人生」です。

来世にあるのは天国と地獄。

上記の最後の審判で生前の善行が多い人は天国へ、悪行が多い人は地獄へ行きます。

そこから先が「永遠の生」です。

つまり天国へ行った人は永遠に天国に住み続け、地獄へ行った人は永遠に地獄で生き続けなければならない。

日頃あまり礼拝しない人やお酒をたしなむ方も、天国の存在は堅く信じています。

(参考:イスラムの来世:天国と地獄とは?

⑥「定命」

天命とは「この世の物事すべては、神アッラーの意思によって定められている」という意味です。

神アッラーは全知全能であり、その全知全能の神がこの世のすべての物事を決めると考える。

これがイスラムの基本です。

未来も神が決めること。

「人間がいつ死ぬかも、神によって決められている」とイスラム教徒たちは考えます。

インシャーアッラー」という言葉があります。

これは「神が望むなら」という意味で、イスラム教徒が未来のことを語る時、必ず「インシャーアッラー」を付け加えます。

人間が未来を決めるなど、おこがましいと考えるからです。

ただし人間の努力が無駄とは考えません。

「やることはやる、そのあとは神にまかせる」というスタンスです。

(参考:イスラムにおける「天命」とは?

「五行」の内容 

イスラム教の礼拝

エジプトのモスクで礼拝を行う女性たち。足が悪く座って礼拝を行うことができない人は、椅子に座ったまま行うことが許されている。

「六信」で神アッラーや預言者の存在を信じるべきと書きましたが、信者は信じるだけでは不十分。

行動が伴わなければ、本当の信仰とは言えません。

その行動規範で最も基本になるのが「五行」です。

①「信仰告白」

信仰告白とは「アッラー以外に神はなく、ムハンマドは神の使徒なり」とアラビア語で宣言すること。

「アッラー以外に神はない」は、「神は唯一」という意味。先に出てきましたね。

イスラム教徒たちは、この言葉を礼拝のたびに唱えます。

イスラムに入信するには、この言葉を2人の男性の証人の前で唱えます。

イスラム圏の多くの地域では、生まれたばかりの赤ん坊の耳元で、親がこの言葉を唱えることになっています。

②「礼拝」

1日に5回、メッカの方向に向かって礼拝すること。

夜明け、正午、午後、日没、夜の5回です。

礼拝は必ずしもモスクで行う必要はなく、清潔な場所ならどこで行っても良いことになっています。

モスク以外での礼拝が、価値が下がるわけではありません。

礼拝中に唱える言葉(アラビア語)や行う動作は、世界中のムスリムで共通です。

(参考:イスラム教徒の礼拝。その時間は?方法は?場所に決まりはある?

③「喜捨」

自分の財産の一部を貧しい人に分け与えること。

財産とは、1年以上所有している現金、農作物や家畜などを指します。

現金の場合、全体の2.5パーセントが喜捨の対象です。

受け取る人は、貧者や困窮者、ザカート管理者、戦士、旅行者などです。

「(集まった)喜捨の用途は、まず貧者に困窮者、それを徴収して廻る人、心を協調させた人、奴隷の見受け、負債で困っている人、それにアッラーの道(回教の伝播活動)、旅人」

(『コーラン』9章60節)

義務の喜捨を「ザカート」、自発的に喜捨することを「サダカ」といいます。

喜捨した人は善行をしたことになり、それだけ天国に近くことになります。

(参考:イスラムの喜捨ザカートとサダカとは何か?

④「断食」

断食とはラマダン月(イスラム暦の9番目の月)の間、飲食を含むあらゆる欲望を断つことです。

「ラマダン」は断食と勘違いされますが、「イスラム暦9月」のことです。

1ヶ月にわたる断食はさぞかしつらいと思われますが、これは日中だけ。

そして病人、妊娠中の人、旅人、戦闘中の戦士などは免除されています。

(参考:ラマダンとは何か?その方法は?ラマダンについて徹底解説

⑤「巡礼」

巡礼とは一生に一度、イスラムの最大の聖地メッカに巡礼すること。

五行のうち巡礼だけは、経済的・体力的に可能な人だけが行けば良いことになっています。

巡礼には義務の巡礼(ハッジ)とそれ以外の巡礼(ウムラ)があり、ここでの「五行」の巡礼は、義務の巡礼である「ハッジ」を指します。

(参考:イスラム教のメッカ巡礼ハッジとウムラとは?

 

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