モスク(イスラム教の礼拝所)はどんな場所?
中には何があるのか?
異教徒でも見学できる?
国によってモスクのデザインなどに違いがあるのか?
そんな疑問にわかりやすくお答えします。
異教徒でも見学できる?
異教徒であっても見学は可能です。(モロッコはのぞく)
イスラム圏のモスク。左上から時計回りにアブダビ、エジプト、イラン、シリア。異教徒でも見学することができます。 pic.twitter.com/WgaFwDIUpn
— ふじよ (@fujiyotsunemi) June 16, 2020
イスラム圏のモスク。左上から時計回りにアブダビ、エジプト、イラン、シリア。
異教徒でも見学することができます。
モスク内部はどうなっている?
モスクの中は基本的に何もありません。メッカの方向を示す「ミフラーブ」というくぼみがあるだけです。
イスラム教徒はメッカの方向に向かって礼拝する決まりがあるからです。
教会にあるような椅子や聖母マリアの像もありません。イスラム教では偶像崇拝が禁止されているからです。
モスクはアラビア語で「マスジド」といいます。(マスジドの意味は「ひれ伏すところ」)
礼拝中、神をあがめるため床にふれ伏す動作をするからです。
モスクの中にあるもの①「ミフラーブ」
ミフラーブとは、メッカの方向を示す、壁をくりぬいたアーチ型のくぼみです。
メッカの方向は「キブラ」と言い、その方向の壁を「キブラ壁」といいます。
キブラ壁にミフラーブがあります。
信者はいかなる場所でも、キブラに向かって礼拝します。
モスクの中にあるもの②「ミンバル(説教壇)」
ミンバルとは、金曜日の集団礼拝の時に「イマーム(導師)」が話をする演説台です。
(金曜日の昼の礼拝はもっとも重要なものとされ、男性信者はモスクに集まって礼拝する決まりがあります)
説教の内容は、コーランの朗読やイスラムの教えなどについてです。
礼拝の導師「イマーム」とは?
イマームとは、集団礼拝を先導する人のことです。(イスラムについて詳しい人を意味する場合もあります。)
金曜日の集団礼拝は、イマームの呼びかけに従って行います。イマームは礼拝の先導をするだけで、聖職者ではありません。
イスラムには僧侶や牧師のような聖職者はいません。神の前で、全ての人が平等だと考えられているからです。
礼拝時は、皆が一列に並んで礼拝しますが、これも「信者は皆平等」というイスラムの精神の表れです。
礼拝場所は男女別
モスクの中では、礼拝場所は男女別です。
これは礼拝中に男性が女性の姿を見て、礼拝に集中できなくなるのを防ぐためと言われています。
男性が前で、女性がカーテンに仕切られた後ろだったり、1階が男性、2階が女性だったりします。
どちらも男性からは女性は見えません。
ミナレット(モスクの尖塔)とは?
1日5回の礼拝の時間になると、それを知らせる呼びかけ(「アザーン」(下で説明))がモスクから流れます。
このアザーンを流す塔がミナレットです。
呼びかける人を「ムアッジン」といいます。
かつてはムアッジンがミナレットにのぼり、肉声で礼拝の呼びかけをしていました。
今はほとんどのモスクで、録音されたものを拡声器で流しています。
こちらは、アブダビのシェイク・ザイード・グランドモスクのアザーンです。
アザーンとは?
アザーンの文言は、アラビア語で、次のような内容です。
「アッラーは偉大なり」(4回)
「私はアッラーの他に神なしと証言する」(2回)
「私はムハンマドがアッラーの使徒なりと証言する」(2回)
「いざや礼拝に来れ」((2回)
「いざや成功のために来たれ」(2回)
「アッラーは偉大なり」(2回)
「アッラーの他に神なし(1回)
モスクは憩いの場
モスクに入って驚くのは、昼寝したり、食事したりしている人がいることです。
床には絨毯が敷き詰められ、人々はその上に座ってコーランを詠んだり、ナツメヤシを食べたりと思い思いに過ごしています。
イスラムでは瞑想や友人と語らうことも、人間生活における重要なこととされているからです。
またモスクは神聖な場所ではありません。
単に礼拝の場所、「入れ物」です。
聖域とされるのは、メッカ、メディナ、エルサレムの3大聖地のモスクだけです。
モスク見学の注意
神聖な場所ではないものの、モスクは信者にとって特別な場所です。
入口では必ず靴を脱いで入ります。
女性は(外国人であっても)スカーフで髪を隠さなければいけません。
礼拝時間帯は見学を遠慮すべきです。
イスラム世界の美しいモスク
これまでに訪れた美しいモスクの数々をご紹介します。
シェイク・ザイード・グランドモスク:UAE(アラブ首長国連邦)
UAE(アラブ首長国連邦)の初代の大統領シェイク・ザイードの命によって建設されました。
彼は2004年に他界してしまい、モスクの完成を見ることはありませんでした。
ジャムキャラーン・モスク:イラン
ジャムキャラーン・モスクがあるのは、シーア派の聖地ゴム。テヘランから南に約120キロの場所です。
イラン人にとって最も大切なモスクの一つで、連日大勢のイラン人参拝客が訪れます。
イランのモスクは青いタイルに特徴がありますが、緑色のタイルの美しさが印象的です。
イブントールーン・モスク:エジプト
アラブ・イスラム世界の中心・カイロには、数多くのモスクがあります。
私が一番好きなのが「イブン=トゥールーン・モスク」。華やかさはないが、渋い美しさがあります。
ハッサン2世モスク:モロッコ
カサブランカにある「ハッサン2世モスク」はモロッコ最大のモスク。
大西洋をのぞむように建てられています。
モロッコ全土から芸術家や職人1000人を動員して、8年かけてつくられました。
グランドモスク:チュニジア

アフリカのモスクの特徴である四角いミナレットを持つ。中庭には大理石が敷き詰められ、わずかに傾きがある。これは雨水を地下の貯水池に貯めるため。このモスクを建設には、近くにあるローマ遺跡の柱などが使用されました。
ケロアン は北西アフリカの「イスラム発祥の地」とされ、メッカ、メディナ、エルサレムに次ぐ聖地。
旧市街にあるグランドモスクは、マグレブ(北西アフリカ)で最初に建てられたモスクです。
ウマイヤド・モスク:シリア

ダマスカスにあるウマイヤドモスク。夜はライトアップされる
世界遺産に登録されているダマスカスのウマイヤドモスク。
夕方からライトアップされ、人々の憩いの場となっていました。今はどうなっているでしょうか?
まだまだ美しいモスクはたくさんありますが、また別の麾下に。
イスラム圏を旅する楽しみの一つは、美しいモスクを訪れることです。
イスラム世界のモスクに興味のある方には、こちらの本がおすすめです。
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