イスラムの聖地ってどこだろう?
メッカは知ってるけど、他にどこがある?
メッカとカーバ神殿の関係は?
カーバは中が空っぽだって聞いたけど、それはなぜ?
そんな疑問にわかりやすく答えます。
この記事を書いている私は、結婚でなく勉強して2009年イスラム教に入信。
イスラム入門書「イスラム流 幸せな生き方」など多数の本を出版しています。
メッカ巡礼の様子は、こちらをご覧ください。
目次
イスラム教の聖地はどこ?
以下が3大聖地と言われるものです。(スンニー派&シーア派共通)
最大の聖地:メッカ(サウジアラビア)
第2の聖地:メディナ(サウジアラビア)
第3の聖地:エルサレム(イスラエル/パレスチナ)
(地図)
なぜこれらの場所が聖地とされるのか?
共通点は、預言者ムハンマドに関係する場所だということです。
詳しくご紹介します。
①メッカ(正確には「マッカ」)
預言者ムハンマドの生誕地。
町の中心にハラーム・モスク(聖モスク)があり、この中に「カーバ神殿」があります。
イスラム教徒はすべて、このカーバ神殿の方向(メッカの方向と言い換えても可)に向かって礼拝します。
イスラム教徒は一生に一回、メッカに巡礼する義務があります(体力的、経済的に許す場合のみ)。
これはイスラム教徒の代表的な義務「六信五行」の1つです。(参考:六信五行とは?)
カーバ神殿については、下で説明します。
②メディナ(正確には「マディーナ」)
預言者ムハンマドが埋葬されている場所。
ムハンマドがかつて暮らしていた家の横に彼が礼拝していた場所があり、それが今は預言者モスクになっています。
このモスクの一角にムハンマドの墓廟が組み込まれています。
メッカを訪れた巡礼者はメディナも訪れるのが普通です。
③エルサレム
なぜエルサレムが聖地とされたのか?
まず、ムハンマドが当初メッカでなくエルサレムに向かって礼拝していたことがあります。
そして彼が天使ジブリールに連れられてここに旅し、そこから光のはしごに登り、昇天したと伝えられているからです。
メッカ&メディナの略史:
メッカとメディナについて理解するために、簡単な歴史をご紹介します。
ムハンマドがメッカでイスラムを興した当時、メッカにはカーバ神殿を中心に多神教が栄えていました。
ムハンマドは人々の迫害を受けたため、西暦622年に70人余りの信者とメディナに移住。
これがいわゆる「遷都(ヒジュラ)」で、後にこの年がヒジュラ暦(イスラム暦)元年とされました。
ムハンマドはメディナでイスラームを布教。
630年にメッカに侵攻し、メッカの人々はムハンマドに全面降伏しました。
カーバ神殿とは?
カーバ神殿は、メッカのハラームモスクの中心にある石造りの立方体の建物のことです。(「カーバ」とは「立方体」の意味)
イスラム教徒は礼拝時、必ずカーバ神殿の方向に向かって礼拝します。
この方向のことを「キブラ」と言います。
(キブラについては、こちらを参考に:モスクとは?世界の美しいモスクの数々)
「神殿」と言われますが、神を祀った場所ではなく、神体も祭壇もありません。中は空洞です。
カーバはいつできた?なぜ中は空洞なのか?
伝承によれば、人類最初の預言者アダムとその妻がカーバ神殿を築いたとされます。
しかし大洪水で跡形もなく破壊され、その後、神の命を受けた預言者アブラハム(イスラムでは「イブラヒーム」という)が再建しました。
カーバ神殿には、その建設時にイブラヒームが使用した踏み台(「イブラヒームの立処」)が残っていて、ガラスケースの中で保管されています。
*イブラヒームがいつ頃の人かはイスラムでは伝えられていませんが、ユダヤ教徒やキリスト教徒ではないこと、偶像崇拝を嫌い、多神教徒ではなかったことが書かれています。
預言者ムハンマドがイスラムを興した当時、メッカの人々は多神教徒で、カーバ神殿の中には多神教の御神体が祀られていました。
(預言者ムハンマドが青年の時は、カーバは彼の背丈ぐらいの大きさだったそうです。)
ムハンマドがメディナに遷都後、再びメッカに戻った際、人々が全面降伏しました。
そしてカーバ神殿の中にあった多神教のご神体が破棄され、カーバがイスラムの聖地とされました。
コーランの中で、神がカーバ神殿に巡礼することを命じています。
「この聖殿に巡礼することは、人間としてアッラーに対する(神聖な)義務である」(3章97節)
(*コーランについては、「コーランとは?日本人が知らない真実」をお読みください。)
メッカ、メディナはイスラム教徒以外は入ることができませんが、エルサレムは異教徒にも開かれています。
「メッカ」
世界的写真家・野町和嘉氏がサウジアラビアの依頼で取材したメッカ、メディナを紹介する本。ハッジ(メッカ大巡礼)も5回にわたり取材し、その様子を本書で詳しく紹介している。
同内容で、写真集「メッカ巡礼」(集英社)も出版されているが、この新書には写真集に使われた写真が多数含まれているオールカラー版。
イスラム教の聖地について知りたい方の参考になったら嬉しいです。
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