イスラムの国といえば、女性は肌を見せない。イランなどでは多くの女性がチャドルという黒いマントのようなものを羽織っている。どこでも体の線が見えないゆったりした服装が主流だ。一方で、イスラムの国でよくあるのが、セクシー下着ショップ。ショーウィンドーにピンクのシースルーのベビードールやフリルレースの真っ赤なパンティ、ヒョウ柄ビキニや黒のガーターベルト四点セット……などが、堂々と飾られ、老若男女が見入っている。
実はこの手の下着は結婚した女性のためのもの。「結婚したらセックスを楽しめ」がイスラムの教えだ。夫婦間のセックスは人生最大の喜び、信仰の一部とまでされている。イスラムというと、女性は肌を見せない。婚前交渉タブー、これをもって禁欲的と思われるかもしれないが、実は大違いだ。
二人の夜を楽しむのに欠かせないのがセクシー下着だ。イスラムの国ではどこでも、セクシー下着は結婚する女性のマストアイテムとなっている。
”勝負下着“とは、日本では主に結婚前のお付き合いで身につけるもので、結婚は、どちらかといえば色気より実用優先。だがイスラムでは反対だ。結婚後が「勝負」。結婚がきまった花嫁はセクシー下着をどっさり買いあさる。「男が好きだから」だ。寝るときはセクシーなネグリジェ。パジャマなどはありえない。「日本では女性は寝るときパジャマを着る」と言ったら、イスラム女性は目を丸くしておどろく。さらに夜には、バッチリ化粧をするという主婦も多い。女性の美しさは夫にだけ見せるもの。日本女性のおしゃれが不特定多数に向けた「分散型」なのに対し、イスラム女性は夫への「一極集中」だ。
イスラムの国では見合い結婚が多く、結婚までろくに会ったこともない夫婦もいる。でも結婚後はラブラブというカップが多い。その秘密は家での妻の「一極集中」と、セクシーランジェリーの真剣勝負にあるのである。しかも、外では夫が目にするのは黒いマント姿の女性ばかり。これでは、平凡な妻も美しく見えるというものだ。これが日本と大きく違う点だ。日本では今や婚前セックスは当たり前。結婚したら逆に減少傾向すら見られたりする。イスラムの国でそれはない。結婚まで禁欲だ。晴れて結婚したらセックスレスになっている場合じゃない。そしてすぐに子どもがでる。こういうカルチャーの違いを感じられるのがイスラムの国の旅の楽しみだ。