2019-08-23

見合い結婚が恋愛結婚より離婚率が低い理由とは? 【イスラム女性の恋愛・結婚事情】

インドネシアの結婚式

イスラムの結婚は基本的には見合いです。最近は恋愛結婚も増えてはいますが、まだまだ見合いが多い。

「見合いなんて遅れてる」などという意見も日本では聞かれそうですが、イスラム女性自身は見合いを望む人も多いのです。

そして統計によれば、見合い結婚の方が離婚率が低い。

なぜ彼女たちはなぜ見合いを選ぶのか?見合い結婚は愛のない結婚ではないのか?よく知らない相手と結婚してうまくいくのか?見合い結婚の離婚率が低いのはなぜ?

そんな疑問に答えます。

女性が見合いを望む理由

パキスタン・フンザ地方の結婚式に参加した際、同行してくれた現地で長く民族調査をしている日本女性が、ぽろっと呟きました。

「ここの女のひとって、親が決めた相手と淡々と結婚していくのよね。好きになった相手と大恋愛の末に結婚するとかではなく。そういうの、楽しいのかしら?」

フンザの人々はイスマイリ派というシーア派の一派。女性の学歴が高く、大学院まで出ている人も少なくありません。しかし恋愛結婚する男女はほぼ皆無だといいます。

パキスタンでは高学歴でキャリアがある女性たちも見合い結婚を好みます。その理由はこうです。

「恋愛結婚はたまたま知り合った狭い選択肢の中から相手を見つけるけれど、見合いは多くの候補の中から、学歴や家柄などを考慮してベストな相手を見つけられるわ。
それに親が決めてくれた相手と結婚した方が、あとあと家族親戚関係が良好に進むから」

「恋愛の場合、男性が二股をかけていた、妻がいた、男性が心変わりして彼女のもとを去ってしまう、などがありうるでしょう。でも見合いなら、こういうこともないし、相手の家族や家柄がよくわかっていて安心できるわ」

「経験や知識がある両親が決める方が、自分で選ぶより良い相手が見つかる。」

見合いの方が話が早い

見合いは結婚を望む者同士が合うため、互いに気に入れば結婚までは話が早い。その点、恋愛は結婚までに長い時間がかかります。様々な駆け引きなども必要になり、(特に女性は)消耗します。

もちろん恋愛は楽しいです。しかし「結婚」という目的から見た場合、見合いの方が理にかなっているのでは?と思ったりも。

見合いは愛のない結婚?

「でもお見合いって愛情がない結婚ですよね。幸せになれるのでしょうか?」と思われるかもしれません。

イスラム圏では見合い結婚といっても、実際には何度か会うのが普通です。そして相性が合えばたちまち恋におちる。それは恋愛も見合いも同じです。

結婚がうまくいくかどうかも、恋愛・見合いはあまり関係ないでしょう。10年間同棲して結婚し、1年で離婚したカップルを知っています。

一方で出会って1ヶ月でスピード結婚し、今でも仲良く暮らしている夫婦もいます。

無理やり結婚させられる?

パキスタンなどでは、相手の顔も見ずに、親が決めた相手と結婚させられるケースもあると聞きます。しかしこれはイスラムの教えとは関係ありません。単なる現地の慣習です

イスラムでは結婚前に女性の意志を確かめることになっています。

「既婚の女性はその意向を尋ねてからでなければ嫁がせてはならず、また処女はその同意を得てからでなければ嫁がせてはならない」(アル=ブハーリーのハディース)

結婚前によく相手を知る必要があるのでは?

「お付き合して、よく相手のことを知る必要があるのでは?」と思われそうですね。

よく知ったつもりでした結婚が破局に終わることも、現実にはとても多いものです。
「愛」は不確かなもの。「この人しかいない!」そんな気持ちも、いつしか冷めることが多々あります。

恋愛で相手をよく知ったつもりで結婚しても、果たして恋愛中にどこまでシビアに相手を見れるのか?という疑問もあります。付き合っている間は自分の良いところしか見せません。

もちろん恋愛の方が見合いに比べ、「相手を知る量」は多いかもしれません。とはいえ結婚前にたくさん知ったから、その結婚がうまくいくのか?幸せな結婚ができるか?はまた別問題でしょう。

逆に何もかも知ってしまったら、(特に男性は)「この人と結婚したい」「一緒になりたい」という思いは、薄れていくことも多いよう。

「何より男女の接触が制限されることは、ある種の効果を生んでいると思う。つまり、容易に相手に会えないことで、逆に相手への憧れや恋心が募っていくということだ。現にスラマ達は、ろくに話をしないにもかかわらず、確かに恋心を抱き合っていた。(途中略)
サミーラの夫のムハンマドは、こんなふうに言う。
「もし結婚前に一度でもセックスをしたら、それが2回、3回と続いていく。そうしたら、男は結婚しない。結婚は面倒くさいことがたくさんある。マフルを払ったり、カーイマを作ったり、親戚同士の付き合いとか。そういうのは無視して、セックスだけしたいっていう男も、たくさんいるんだ」
付き合う上で、まず婚約をしなければならず、婚約してもなかなか2人だけで会うことができない。これは女性にとって、ある意味悪くない状況と言えるかもしれない。」

(「女ノマド、一人砂漠に生きる」)

見合い結婚の離婚率が低い理由

見合い結婚の方が離婚率が低いというデータがあります。なぜ見合いの方が離婚率が低いのか?

結婚後に愛を育むから

見合いの場合、まず(この人と暮らしていくんだ)という「決意」が先にあり、一緒に暮らしながら愛や情を育む努力をします。

恋愛はまず愛が先にある。愛があるから結婚したので、愛がなくなれば一緒にいる意味を失いがちです。そんな時に、外で「もっと好きになれそうな相手」が見つかると、簡単にそちらに引かれてしまいます。

「恋愛結婚は「いい人がいないか」という思考に基づくものなので、一度家庭に入っても、
「もしかすると、どこかにもっといい人がいるかもしれない」という考えがつきまとうからだそうです。
そして外の世界で「もっといい人」に近い第三者に出会ってしまったとき、抑制がきかなくなるのです。」
(「さよなら、インターネット」)

相手を知る喜びがある

見合いは相手をよく知らない分、生活の中で相手を知る喜びがあります。

「お見合いのように相手の情報が少ない状態で結婚すると、家庭の中に入ってから、もっと相手を知ろうとしたり、長所を発見することに喜びを感じたりと、自然と内向きな姿勢になり、うまくいく可能性も高くなると言っていました。」
(「さよなら、インターネット」)

上司が良い人だと勧めるから信頼して結婚し、暮らしていくうちに「ああ、こんなにいいところがあったんだ~!」とじわじわと幸福感が増してくる。
こんな結婚は、意外に素敵な結婚なのではないか。

「ろくに顔も見ず、よく話もしないで結婚する。それは、現代の日本の感覚からすれば遅れていると思われなくもないだろう。しかし果たしてそうだろうか?
ある女性は、自分の結婚についてこう語った。
「結婚前に夫に会ったことはなかった。でも結婚してずっと一緒に暮らした。子どもをたくさん産んで、年をとって死ぬまで仲良く暮らしたものさ。
でも今じゃ、お互い好きになって結婚することもあるけど、結婚したらすぐに飽きて別の相手と一緒になる。結婚前に相手を知らず、一緒に出かけたりしなけりゃ、ずっと仲良く暮らす。人生、そういうものさ」
その理由と考えられそうな意見を、別の男性は言った。
結婚前に好きになっても、結婚してから、こんなはずじゃなかったって、がっかりすることもある。でも結婚前に相手のことをよく知らなければ、毎日新しい発見で、結婚生活は飽きることがない」
(「女ノマド、一人砂漠に生きる」)

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