2024-01-17

大学生からの質問*エスノグラファーとしての人生

常見藤代プロフィール

砂漠を移動しながら暮らす遊牧民女性たちと。

大学生の方からこんな質問をいただきました。ありがとうございました。

藤代さん、こんにちは。
大学生の者です。
イスラム教の幸福について興味があり、藤代さんの本を読ませていただきました。
これからの人生について考えているのですが、藤代さんのような人生、エスノグラファーとしての人生がとても羨ましく思いました。エスノグラファーとしての決意や実際そのような人生を送っていてポジティブな面やネガティブな面があれば、教えていただきたいです。

エスノグラファーとしての決意

私が仕事としている「イスラム・エスノグラファー」とは、イスラム圏の人々の生活を伝えることです。

エスノグラファーとしての決意ですが、「決意」という大それたものはありませんでした。好きなことをやっていたら自然にそういう道に流れ着いた、というな感じでしょうか。

決意がなくて、そんな危ない場所に行けるのか?と思われるかもしれませんが、
私にとっては、単に好きなことをやっているだけなのです。

なぜ「イスラム圏」なのか?取材のテーマを探して世界一周をした時、イスラム圏の人々の温かさに触れ、この「現実」を伝えたいと思ったのです。(→私がイスラム圏を取材する理由

それまでイスラム圏の国々といえば、とても怖い場所だと想像していました。戦争ばかりしていて、人々も苦しい生活をしているだろうと。そうイメージする方が今も大半だと思います。

実際には全く違っていました。人々は温かく親切で、イスラム社会は貧しい人にも手助けするやさしい社会です。
その現実を伝えたいと思ったのです。

こう書くと決意のように聞こえそうですが、私も人生に悩み、やりたいことがわからないでいる時に、やっと自分が興味が持てそうな対象を探し出せた、という感じだったのです。

人の暮らしを伝える

イスラム圏の現実を伝えるには、一番良いのは「人の暮らし」を伝えることだと思いました。

戦争や事件はテレビなどの報道でも知ることができますが、人の暮らしは、なかなか大手のメディアでは伝えられません。

また1つの国は、多くの家族・家庭が集まってできたものです。ですから家族や家庭での生活を伝えることが、その国の現実を伝えることになると思ったのです。

あとは私がニュースや事件より、人の暮らしに興味があるというのもあります。とはいっても最初から人の暮らしに興味があったわけではありません。

大学時代にインドネシア放浪をし、人々の家に呼ばれているうちに、「家の中を見るのは楽しいな」「人の暮らしを知るのは楽しいな」と思うようになったのです。

エスノグラファーとしてのポジティブ面とネガティブ面

エスノグラファーとしてのポジティブな面ですが、単純に楽しいことです。
私は今は海外を旅すること・人の暮らしを見せていただくことが楽しいので、この仕事は苦になりません。

今も好きなことだけやっていて、決意をして頑張っているという意識はありません。
私はわがままな人間なので、決意しなければ続かないようなことは、たぶんやっていないと思います。

ネガティブな面はあまりありませんが、家を留守にするので、家族に迷惑をかけているなと思うことですね。
日本でできる仕事ならよかったですけどね。

人生や仕事について

これからの人生について、職業を何にしようかなど、悩まれているようですね。

私は今でこそ海外によく行きますが、大学時代は特に旅が好きだったわけではありません。
一番最初の海外旅行はアメリカへのツアーでしたが、大学の時のバイト先の友人に誘われて行ったまでです。それまで国内も一人で旅行したことがありませんでした。

その後も同じ友人とニュージーランドに行きました。
結果として、海外に行くことに抵抗がなくなり、大学時代に1人でインドネシアを放浪しました。

会社員になって、いくつかの国を旅して、ついに会社を辞めて世界一周の旅に出たのです。

もともと写真も興味ありませんでした。初めての一人旅の時にカメラを持って行って、記念写真程度のものを撮っているうちに、だんだんと撮るのが楽しくなっていったという感じです。

だから今はそれほど興味がなくても、誰かに誘われたり、ちょっと気持ちがひかれるものがあったら、行動してみることです。
そうしているうちに、好きなことが見つかるかもしれません。

一度は会社員になってみても良いでしょう。そのうちに何か他のことがやりたくなるかもしれません。

ただ頭で考えていても、わからないものです。
行動あるのみ、ですよ。

取り止めもない話で恐縮ですが、また何かあれば、ご連絡ください。

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