イラン家庭料理ナスのトマト煮&ポテトのおこげ?『イランの家めし、いただきます!』③
『イランの家めし、いただきます!』②警察がヒッチハイクした家族の家へ のつづきです。
********
アザデのお母さんの家に泊まった翌日、アザデがお母さんをランチに招待するのに合わせて私もお呼ばれし、そのままアザデの家に泊まることになっていた。
昨日車を運転していたレザと奥さん、お母さんと私の4人でアザデの家へ。

途中でたちよった八百屋には、柿も売られていた。
途中、八百屋に立ち寄る。ぶどう、かき、りんご、バナナ、白菜やキャベツなど、日本でおなじみの野菜や果物が並ぶ。白菜は日本のものに比べて、ややこぶりだ。大きな西洋カボチャもある。日本では野菜や果物は袋づめされたものを買うが、ここでは量り売りだ。チャドル姿の女性が、バナナをいくつかもいで秤に乗せている。
お母さんがしなびれた野菜をどっさりと買いこんでいる。不思議に思ったら、アザデの家で飼っているニワトリに与えるものだった。
.jpeg)
アザデの家のゆったりとしたリビング。床にはイラン産の絨毯がひかれている。
「待ってたわよ」
タンクトップにホットパンツ姿のアザデが出迎えてくれた。
まさに「豪邸」だった。リビングは3つ。そのすべてが落ち着いた淡い茶色の内装で統一されている。リビングに隣接するキッチンは白と黒の空間。これもゆうに畳八畳はある。
夫婦の寝室は濃いピンク、娘の部屋はショッキングピンクと、にくい色使いだ。娘の部屋の屋根つきのベッドの天井からは、ぬいぐるみがたわわにぶらさがっている。2階はご主人の書斎。隣にはジャグジー風呂があるバスルームが。広い屋上もあり、夏はよくここで涼むそうだ。全ての部屋に絨毯がしかれている。階段にもだ。この家全体でざっと30枚は絨毯がある。いったい洗濯はどうしているのだろうと、気になってしまう。
.jpeg)
お嬢さんの部屋。右にあるピンクの小さな机がかわいい。
「イラン人って、みんなこんなに広い家に住んでるの!?」
驚いてたずねると、
「ヤズドの平均よりは広い方ね。おかげで貯金がすっからかんよ」
貯金だけでは足りず、ローンも組んだ。5年ローンで、残りは2年。
ともかく夫婦とも30代前半だが、その年でこんな豪邸に住めるとは。しかも場所はヤズドの中心部から車でわずか7、8分。日本のサラリーマンが30年ローンで郊外の一戸建てを買うのに比べたら、ずいぶん恵まれている。ちなみに彼女の月給は5万円ほど。イランでは平均的な額だ。
ご主人は絨毯ショップを経営している。知り合ったきっかけは、病院の同僚の女性の弟だった。
プロポーズの言葉は「自分は今はあまりお金がないけど、絨毯の商売をするために頑張っている。今にきっと成功してみせる。
「私はその時26才で、ある程度いろんな男の人を見てきたから、彼が口先だけの人かどうかわかったわ」
この家を見れば、彼の根性がホンモノだったことが十分にわかろうというものだ。
.jpeg)
アザデの家のキッチン。手前のカウンターで簡単な朝食をとる。
さて、アザデのランチである。まずはチキンのトマト煮込み。
フライパンに油をしかず、じかにタマネギ、ニンニクを置き、その上にチキンをのせる。塩、コショウ、ターメリックなどで味付け。そしてチキンに加えるトマトソースを作る。材料はトマトの缶詰、瓶入りの市販のレモンジュース、酢。これらをよくかきまぜる。このトマトソースをチキンにかけたら、弱火で2時間煮込む。
イラン人はとにかく煮込むのが好きだ。驚いたのは、翌朝彼女がアーブグーシュト(肉とじゃがいものトマト煮込み)を火にかけ、そのまま仕事にでかけてしまったこと。夕方帰ってくるまでそのままだ。
「だいじょうぶなの?」ときくと、私が驚いていることに逆に驚いている様子だった。「ガス代がたいへん」というのは日本人の杞憂。資源大国イランでは、そんなことはどこ吹く風みたいだ。
.jpeg)
フライパンでナスを直焼する。油などは使わない。
次はナス料理。これは庭で育てているナスを使う。
皮をむいたナスを油をしいたフライパンの上で加熱。同時にトマトソースを作る。タマネギを油でいため、缶詰のトマトペースト、塩、胡椒を加える。ナスがやわらかくなったら、このトマトソースの中へ。
それからごはん。ところでイランの料理で最も大事なものは「おこげ」だ。ごはんにもパスタにも必ずおこげを作る。おこげの材料はジャガイモが多い。アザデはフライドポテト状に切ったジャガイモを鍋の底にしいた。キューリを使うこともあるという。「でもジャガイモが一番おいしいわ」。
盛り付ける時は鍋を逆さにし、おこげが上にくるようにする。そこへサフランや「ゼッリーシュ」という真っ赤な果物の実で飾りつける。
それからキュウリ入ヨーグルトソースの「マストキア」。ミキサーでキュウリとタマネギを細かくし、ヨーグルトに入れる。これに乾燥ミント、バラの花びらなどもいれる。
バラを食用にするとは驚いた。ニンニクをすって入れたり、ニンニクパウダーを入れることもあるという。
.jpeg)
アザデの家の昼食。
ご主人が仕事から帰ってきて、皆でそろってランチ。とりわけナス料理が絶品だった。ナスはやっぱり油と相性がいい。私はそれまでナスがあまり好きではなかったが、帰国してから頻繁にナス料理を作るようになった。それくらいインパクトがあったのである。
【アザデさんの家の「なすトマト煮込み」:レシピ】
1 ナスの皮をむく。油をしいたフライパンの上に置いて加熱。2 トマトソースを作る。タマネギを油でいため、缶詰のトマトペーストを入れ、塩、胡椒を加える。3 ナスがやわらかくなったら、トマトソースに入れて煮込む。味を見ながら塩加減を調整。
この続きは、ヤズドの甘味名物と女性タクシー運転手*『イランの家めし、いただきます!』④
*『イランの家めし、いただきます!』ノンフィクション写真作家として活躍する著者が、アポなしでイランの一般家庭を泊まり歩いた20日間の旅行記。言葉が通じなくても快く迎え入れてくれる、おせっかいであたたかな人々との出会いと、それぞれの家でご馳走になった“家めし”をめぐる食紀行。食を通してイランのライフスタイルが見えてくる!




-420x280.jpeg)


-1-420x280.jpeg)


