一般にはなじみがないものの、ムスリムやイスラムに関心ある人がよく口にする言葉に「マフラム」(محرم)があります。
「女性はマフラム以外の男性とは旅行しちゃだめ」とか。
「マフラム」はイスラムの男女関係を知る上で、とても重要な概念です。
男女隔離(性別で空間が分けられること)も女性のヒジャーブ(スカーフ・ヴェール)着用も、相手が「マフラムかどうか」で異なるからです。
マフラムとは?
マフラムとは母や兄など「近い血族」のことです。
・男性から見た女性のマフラム=母、姉妹、娘、叔母・伯母、姪など
・女性から見た男性のマフラム=父、兄弟、息子、叔父・伯父など
マフラムとは結婚できない
イスラムで結婚できない相手は、マフラム、そして「同じ女性の乳を吸った相手」です。
男性が結婚できない相手:
①マフラム
②乳母、乳姉妹などの乳親族(乳母と、同じ乳母の乳で育った姉妹)
③妻の姉妹・母など
②アラブなどでは、母親がお乳を与えられない時、乳母をつけることがあります。
そして同じ乳母に育てられた者同士は、同じ母から生まれた者と同様の関係とみなされ、結婚が禁じられるのです。
たとえばA男とB子がいて、2人ともA男の母の乳で育った場合、結婚できません。長じて恋愛関係になってとしても。
これ以外の近親(たとえば第一いとこなど)とは結婚が可能です。
いとこ同士の結婚は今も行われており、特にアラブでは「男性&父方の叔父の娘」が昔から理想的な組み合わせとされてきました。
マフラム相手なら男女隔離・ヒジャーブは不要
男女隔離もヒジャーブ着用も、「マフラムでない相手がいる時だけ」です。
家で家族だけで過ごしている時や、女性しかいない場では髪を隠す必要がありません。
ただしそこにマフラム以外の異性が来たら、ヒジャーブをかぶります。
(厳しい家庭や地域なら、女性は別室に隠れたりすることも)
外はマフラムでない男性がいるので、ヒジャーブをかぶり、男女を隔離します。
つまり男女隔離・ヒジャーブ着用は機械的なものではなく、「相手がマフラムかどうか」で変わってくるのです。
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