カトリックの聖職者の性的虐待が世界的に問題になっていますよね?
バチカンでローマ法王が謝罪してましたけど。
チベット密教や仏教でも聖職者のそういった犯罪はあるようです。
イスラムでは聖職者の性的虐待とかありますか?
こんな質問をいただきましたので、お答えします。
イスラムには聖職者はいない
イスラムでは聖職者の性犯罪はありません。聖職者がいないからです。
(参考:イスラム教の特色①信徒間の平等/ 聖職者がいない)
聖職者的な仕事をする人はいます。モスクで礼拝の導師をしたり(イマーム)や、宗教に詳しい学者(ウラマー)などです。
しかし彼らはあくまで一般人。聖職者のような「特別階級」の人ではありません。
預言者ムハンマドですら「ただの一般人」。尊敬の対象であっても崇拝の対象ではありません。
キリスト教ではイエスに神聖を認めますが、これがイスラム教徒の大きな違いです。
イスラムの性に対する考え方
「性」への考え方が、イスラム教とキリスト教の大きな違いです。
キリスト教は「食欲、金銭欲、性欲をなるべく控えよ」が教えです。カトリックの聖職者は結婚が禁じられています。
聖なる領域を司る聖職者は、俗なセックスや夫婦関係にまみれるべきではない、という考えなのでしょうか。
それでも困らない人が聖職者になるのでしょうが、やはり人間は欲望を持つ存在、時にはムリも生じるでしょう。
イスラムでは人間が本来持つ欲望(食欲、金銭欲、性欲)を否定しません。
コーランには性交について多く記述があります。
(参考:イスラムのセックスや性生活のルール。体位に決まりはある?禁止事項は?)
俗の領域も宗教の領域。性を後ろめたいものとする考えはありません。
ある遊牧民の夫婦と話していたときのことです。
ただし楽しむのは一定のルールのもとで
性欲を満たすことは大いに奨励しますが、ただし夫婦の間だけです。
イスラム教は婚前交渉が禁止されており、性に厳しいイメージがあるかもしれませんが、ルールを設けているだけです。
夫婦外の関係では、望まない妊娠を招いたりと問題が起こるうるからです。
家族に価値を置いているためでもあります。
婚外交渉は、家族の価値を破壊する行為。だから禁止したのです。
まとめ
つまりイスラムの考え方は、「食欲、金銭欲、性欲などの欲望は大いに満たされるべき、ただしそれには一定のルールのもとで」です。
人間は弱い生き物だから、無制限に欲望を満たせるとなると、あちこちの女に手を出したり、酒乱になったり、富の偏在が起こるからです。
そういうわけで、ルールを設けています。
・「金儲けも大いにけっこう。ただし儲けたらそのぶん、少し貧しい人に与えろよ」
・「セックスも大いにやれ、でも夫婦の間だけにしろ」
・「神が与えてくれた食物を大いに楽しみなさい、ただし死肉などは食べるな」
(上記、詳しくは「イスラム教のルールは厳しい?その教えは人にやさしく合理的」をお読みください。)
【参考図書】
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるイスラム入門書。なぜ世界中でイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。