平等主義・ 聖職者がいない <イスラムはどんな宗教?>
イスラムはどんな宗教なのか?その特色はいくつかありますが、そのうちの1つ「平等主義」をご紹介します。
①全ての物が平等
イスラムの特色の1つは「平等主義」です。これは「全てのものに同じ価値があり、平等である」ということ。人間だけでなく植物、動物、木など全てです。
なぜならイスラム教の神(アッラー)は唯一で、世界の全てものの創造主です。
つまり世の全ての物は、一つの神から生まれたもの。だからこの世のものは全て等位で平等です。
「地上の生きとし生けるものも、双翼で飛ぶ鳥も、あなたがたのように共同体の同類でないものはない」(6章38節)
信者間の平等
人間は人種や民族の違いを超えて平等だとされます。
「われらは一人の男と一人の女からあなた方を創り、さまざまな種族と部族に分けました。それはあなた方が、互いに知り合いになるためです。」(49章13節)
もし上下があるとしたら、信仰心の度合いだけです。
インドでイスラムが広まったのも、この平等思想が関係しているはずです。カースト制度で、身分による差別が厳しいインドの人々にとって、イスラム教に改宗すれば、そのような身分制度から解放されるからです。
男女の平等
全ての人が平等であるから男女も平等です。
「男も女も分けへだてはしない。もともとお互い同士じゃ」(3章195節)
コーランには一方の性が他方より優っているとは、どこにも書かれていません。
(参考:イスラム教における男女の関係は?男女差別?コーランをもとに解説します。)
聖職者はいない
イスラムでは人はすべて等しく平等ですから、キリスト教や仏教でいう聖職者はいません。
キリスト教の場合、キリストは神の子、仏教でブッダは悟った人で、ともに「特別な人」とされます。
イスラムには、神の代理として人間の罪に赦しを与えるような聖職者は存在しません。預言者ムハンマドも私たちと同じ「ただの一般人」。神の言葉をあずかった人間にすぎません。
わざわざコーランの中でも、神がムハンマドを「無知なる者ムハンマド」とか、「文字を知らない預言者」と呼んでいます。つまり特別な能力があるわけでなく、「ただの人間だ」と言いたかったのです。
神と人が直接対峙する
聖職者がいないイスラムでは、信者と神の間に仲介者がいません。そのため神と人間の関係は限りなく近い。
「神はあなたの頸動脈より近くにいる」とコーランにあります。
そして「アッラーは全てお見通し」とある。社長がすぐ身近にいるようなもので、なかなか大変です。
イスラム教徒が隠れて酒を飲んでも、神には見られています。
イスラム教徒が恐れるのは警察ではなく、神なのです。
【参考図書】
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるイスラム入門書。世界でなぜイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。
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