イスラム入門書でおすすめの本は?
初心者でも無理なく理解できる本は?
そんな疑問に答えます。
この記事を書いている私は、『イスラム流 幸せな生き方』というイスラム入門書を書いています。この本は台湾でも翻訳されています。
2010年にイスラムに入信する以前から、この本を書くにあたり、そして今まで日本で出版されているイスラム関連の本は全て読みました。
なお、この記事では新しい本は紹介しません。
初心者におすすめな本を考えていたら、「長年、読み継がれている本ばかり」になりました。
どうぞご了承ください。
目次
イスラムの基本がわかる本【2冊】
『イスラーム文化 その根底にあるもの』
日本のイスラム研究の第一人者・井筒俊彦氏による第一級の入門書です。イスラムを知ろうと思ったら、まずこの本から入るのが最良です。
経団連の方への講演をまとめたもので、やさしい語り口調で書かれ、イスラムを全く知らない人でもスムーズに入っていけます。
イスラムの根底にある思想が書かれ、「イスラムとはどんなものか」を知るには最適な本です。
1991年に書かれた本ですが、その内容は全く色あせていません。
★井筒俊彦氏は日本で最初の『コーラン』の原典訳を刊行したイスラーム学者、言語学者、東洋思想研究者。
(*コーランについては、「コーランとは?日本人が知らない真実」をお読みください。)
『日本人のためのイスラム言論』
ソビエト連邦の崩壊を10年前に予言した社会科学者・小室直樹氏による本。
イスラム学者でないからこそ、客観的な目でイスラムを理解・評価しています。
「イスラムとは何か?」「コーランとは何か?」などの基本的な内容に加え、イスラム教をキリスト教、仏教などと対比させてわかりやすく解説。
「イスラム教は男女平等を説いた宗教」
「イスラム教は欲望を禁止しない」
‥日本人にありがちなイスラムに対する偏見を見事なまでに崩してくれる本です。
イスラムの信仰内容がわかる本【4冊】
『イスラームとは何か』
イスラム学の大家で多数の著書がある小杉泰氏による入門書。
平易で読みやすく、新書とは思えないほど濃密な内容まで学べる圧倒的な良書です。
歴史、教義、コーラン、ハディース、スンニ派とシーア派、スーフィズム、現代イスラム世界の問題など広い項目をカバーしながらも深い内容となっています。
実は私は何かわからないことがあるたびに本書を開きます。
出版は1994年と古いのですが、内容は全く色あせていません。
『イスラーム文化』が基本思想を知る入門書なら、こちらは教義や歴史を知ることができる最良の入門書です。
『イスラームを読む クルアーンと生きるムスリムたち』
上記と同じ小杉泰氏の本。こちらは40年間イスラム世界を訪れてきた経験を交えながら、より具体的にイスラムの各要素を解説する本。
『イスラームとは何か?』に比べて、よりエッセイに近い記述となっています。
その内容は「コーラン」「モスク」から始まり、「子づくり力」「乞う者の権利」「男女の結びつき」など他書にはない内容がふんだんに盛り込まれ、イスラム社会の暮らしに興味がある人に非常に有益な内容となっています。
『イスラームの日常世界』
この本は長年サウジアラビアのベドウィンと暮らした女性民族学者の手による本。
私はボロボロになるまで読みました。
男女隔離が徹底したイスラム社会では、女性の世界は女性でなければ見ることができません。
この本はイスラム女性とその暮らしについて知るには最適の書です。
「イスラム世界では家計はすべて男性の役目。働いている女性も家にお金を入れる必要がありません」とのこと。
そのためイスラム社会では「女性の方がお金持ち」だそうです。
『イスラームとコーラン』
イスラムの本質を知るという点では「イスラーム文化」と共通しているものの、こちらはより信仰内容が詳しく書かれています。
内容は大きく3点です。
・「イスラームとは何か」
・「コーランとは何か」
・「コーランのメインテーマ
(「唯一なる神について」「最後の審判」「神への感謝」「日々行うべきこと」など)
コーランからの引用も豊富で、優れたコーラン入門書となっています。
『イスラーム文化』を読んだ後で読むと、より深くイスラムとコーランを理解できます。
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