2019-06-01

【まとめ】イスラム教が女性差別でない10の理由

 

イランの田植え イラン女性 田植えするイラン女性

イスラム教の女性はベールをかぶらされていますが、それは女性差別ではないですか?
イスラム教は女性の地位が低いようですが、なぜイスラム教徒であることをやめないのでしょう?
自由に恋愛もできず、とても不幸そうに思えます。

そんな疑問に答えます。

この記事を書いている私は、20年以上イスラム圏を取材し、イスラム教の入門書『イスラム流幸せな生き方』など多数の本を出版しています。

イスラム教が必ずしも女性差別とは言えない理由を10ご紹介します。

①女性は宝石

イスラム女性は肌や髪を隠さなければならず、かなり不自由そうです。

これは女性の美しさを尊いものと考えるからです。イスラムには「女性は宝石」という言葉があります。「女性は生まれながらに高貴で美しい存在だ」という意味です。

・男女は違うもの・互いに惹かれ合うもの

・特に男性は女性の美しさに弱いもの

これがイスラム教の基本的な男女観です。そこで男性を刺激して無用なトラブルを起こさないよう、女性は「美しい部分を隠すべき」とします。では女性たちは、いやいや肌や髪を隠しているのでしょうか?

→「女性は宝石」イスラム教女性が髪や肌を隠す本当の理由

②たった1人のために着飾る自由

外では隠す義務がありますが、家の中では何を着るのも自由です。タンクトップ、胸の谷間が見える服装なども当たり前。

イスラム教の女性にとって、おしゃれは家の中でするもの。自分を愛し、自分を大事にしてくれる「だんな様」のためにするものです

ベッドの中ではセクシー・ランジェリーと決まっています。夜こそ色っぽい格好で着飾り、夫のために尽くすのです。

(参考:黒いアバーヤの下の派手な世界)

③「処女だから恥ずかしい」の悩みがない

「この歳まで処女なんて恥ずかしくて言い出せない」「経験がないまま20歳になってしまって焦りを感じています」などという若い女性にありがちな悩みは、イスラム女性にはほぼありません。処女こそ価値があるからです。

「ここでは男は結婚しないと、女性の手すら握れないのよ。女性はすごく高いものだから。なのに、結婚も約束していない男に体を許すの? しかもタダで。売春婦だってお金もらうのに」

それはイスラム圏に限った話でしょうか?

処女は恥ずかしい?男性が結婚相手に処女を望む理由

④「婚活疲れ」という言葉はない

「イスラム女性は男性と自由にお付き合いできないんでしょ?」「いつも黒づくめの服で、どうやって結婚相手を探すの?」と思われるかもしれません。

「異性と自由に付き合えない」「いつも黒づくめ」だから、スムーズに結婚できるとも言えます。

交際の自由が制限されているため、少しでも良い縁があると「これが最後かもしれない」という意識が働くからです。縁のあった相手を大事にし、スムーズに結婚へといたるわけです。

男性は女性を見る時、「この人は結婚相手に良いかどうか」という目で見ています。だから結婚までの話が早い。

異性との付き合いが多いと、ついつい前の人と比べてしまいます。そして「もっといい人がいるに違いない」などと思い、せっかくのチャンスを逃してしまったりします。

イスラム圏の結婚の多くは見合いです。時にはろくに口をきいたこともない相手と結婚することもあります。

じっくり付き合ってから結婚した方がいいんじゃないの? お見合いって愛のない結婚でしょ?そう思う方は、こちらをお読みください。

イスラム社会に「婚活疲れ」という言葉はない

⑤「夫が生活費をくれない」悩みがない

イスラムでは結婚制度は女性に有利になっています。女性保護がイスラム教の柱。そこで結婚前に離婚時の慰謝料を決め、結婚後の生活費は夫の負担です。

結婚時に離婚した場合の慰謝料を決める。日本人なら、「縁起でもない」「あからさまにお金のことを話題にするなんて‥‥」と思うでしょう。しかし離婚して元夫が慰謝料をくれないケースは少なくありません。そのために事前に取り決めておくのです。

結婚後の生活費は夫の負担。もちろん女性も働いていますし、家計を助けるケースもあります。ただ基本、女性は家にお金を入れる義務はありません。夫より妻の方が収入が上でも、です。多くのイスラム圏の国々で、男性は結婚前に「家」を用意することになっています。賃貸ではなく持ち家が良しとされています。

(詳細:夫が生活費をくれないという悩みはない )

⑥ベッドでは妻を満足させるのが夫の義務

イスラムでは男女の性を非常に大事なことであり、夫婦間だけで楽しむように決めています。婚前交渉が禁止されているのは、このためです。

女性の性欲を認め、女性が満足するよう夫に求めています。第2の聖典「ハディース」には、こう書いてあります。

「妻とすぐ交合しようとするのではない。あなたと同様に、彼女も性的に興奮するまで待つのである。」

その代わり、妻も夫の要求を拒むことはできません。

詳細:イスラムのセックスや性生活のルール。体位に決まりはある?禁止事項は?

⑦仕事と家事が両立しやすい

イスラム社会では、女性が日没を過ぎてオフィスにいるということは、ほとんどありません。そのため家事と仕事の両立が容易です。

またイスラム社会は大家族の場合が多く、子供の世話を家族に頼むこともできます。そのため子を持ってバリバリ働く女性は少なくありません。

→:女性の深夜残業やお茶汲みはない <イスラム女性は幸せ?(7)> 

⑧男女隔離で女性が活躍

イスラム社会では「男女隔離」がルールです。結婚式や学校(高校まで)は男女別、バスの中も男女で分かれています。

男女隔離のために女性の職場が広がる側面もあります。男性は女性の肌を見ない方が良いとされるため、女医が求められます。産婦人科などは特にです。

イラン、湾岸諸国などでは女性タクシー運転手もよく見かけます。タクシーはある意味「密室」。女性運転手の方が安心と考える女性も多いからです。

詳細:男女隔離のおかげでイスラム女性の活躍の場が広がる<イスラム女性は幸せ?(8)> 

⑨「専業主婦で肩身が狭い」がない

「いい大人が、他人に養ってもらって良いのだろうか?」「家にいると、社会から取り残されてしまうのでは?」そんな日本にありがちな専業主婦の悩みは、イスラム圏の女性はそれがありません。

「男が稼げ」が神の命令であり、女が家庭を守ることに確固とした価値が認められているからです。

詳細:「専業主婦は肩身が狭い」は【幻想】

⑩選択肢が少ない幸福

イスラム社会では、結婚は推奨行為(→イスラム教の結婚ルールとは?)。独身を貫いて生きるのは、かなり勇気が必要で、独身を謳歌するという考えもありません。これは女性ばかりでなく、男性もです。

日本にはDIKSという言葉もありましたが、夫婦だけの生活を楽しむという発想もありません。子を持って一人前。子供を産めない女性は、かなり肩身が狭い思いをします。

「生き方の自由」「生きる選択肢」については、日本や欧米に比べ、かなり制限されているといえるでしょう。そのために不自由を感じている女性もいます。

ただ「生き方の選択肢が多いこと」が果たして幸せにつながるのか?も一考の余地があるといえるでしょう。

詳細:女性の幸せと生きる選択肢

 

さいごに

「イスラムは女性差別の宗教」という先入観に対して、「必ずしもそうではない」事例をご紹介しました。

「だからイスラム教の女性の方が日本や欧米より幸せ」というわけでは、もちろんありません。イスラム社会は広大で多様です。女性の生き方は様々です。宗教というより社会制度の中で、外出もままならないような生活をしている女性もいます。

イスラム社会にもDVや生活費を入れない夫もいます。(その場合、イスラム社会の方が、離婚はしやすいです。離婚に対して「バツイチ」など暗いイメージがないこと、離婚時の慰謝料が決められていること。などからです。実際、離婚はかなり多いです)

イスラム教・イスラム社会では「結婚してこそ幸せ」「子を持ってこそ幸せ」という価値観ですが、そうではない社会もあるでしょう。どの社会の価値観が正しいOR間違っているわけではありません。日本的価値観からすれば、「結婚してこそ幸せ」という考え方は不自由だと思われるかもしれません。

しかし少なくとも、多くのイスラム教徒の人々は「結婚してこそ幸せ」の価値観の中、結婚して子を持ち、家族と楽しむ幸せを謳歌しています。

 

イスラム女性について知りたい方の参考になりましたら幸いです。

 

【参考図書】

「イスラーム ヴェールの向こう」

イスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。

イスラム女性を知るおすすめ入門書【厳選5冊】

イスラム女性のすべてがわかる!【記事一覧】

 

 

★【イスラム流幸せな生き方』
なぜ世界でイスラム教徒が増え続けているのか?その魅力を中学生でもわかるように易しく書いた本。イスラム女性の幸せについても解説しています。この一冊でイスラムのイメージが変わります!

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