婚前交渉禁止のイスラムは「禁欲的」な宗教なのか?

イスラムの結婚式

エジプトの結婚式。エジプトでは新婦の家の前の路地で結婚式を行うことが多い。これには2人の結婚を周囲に知らしめ、姦通の関係でないことを周知してもらう意味合いがある。

イスラムでは婚外の男女関係は厳しく禁じられています。

女性は外出時に肌の露出をひかえることになっています。

ラマダン。一ヶ月の間、日中は飲み食いできません‥‥。

これだけ聞くと、

「イスラムはなんて禁欲的な宗教なんだろう」。
こう思われる方も多いことでしょう。

果たしてそうでしょうか?

各種の予測によれば、イスラム人口は増え続けていて、2050年には世界の3人に1人はイスラム教徒になるそうです

人に苦行や禁欲を強いるばかりの宗教なら、これだけ信者が増えるでしょうか?

禁欲ばかりしていて、子どもがどんどん増えるでしょうか?

実はイスラムは、人々の欲望を大いに認める、人にやさしい宗教なのです。

そこにイスラム教徒が増え続ける理由があります。

イスラムは性に厳格?

イスラムの結婚式

エジプトの結婚式で民族舞踊を踊るダンサー。お腹が出ているのは妊婦をモチーフにしているため。「新婦が早く赤ちゃんに恵まれるように」という意図が込められている。

婚外交渉を厳しく禁じるイスラムは、性に厳格であり、禁欲的なイメージがあります。

たしかに一面ではそう言えるでしょう。

しかし「厳格」「禁欲」ばかりではない一面もあります。

夫婦の性を奨励

イスラムでは夫婦の性生活は善行とされています。

 
『夫婦が情愛を交わせば、報償としてアッラーのお恵みが与えられる。禁じられた性にうつつを抜かしていれば罰せられるように』

(『ムスリムのハディース』)*「ハディース」とは預言者ムハンマドの言行録。イスラム教徒は、ムハンマドの言行を手本としています。

「善行」とは宗教上の良い行いのことです。

宗教で夫婦に積極的に交わるよう勧めているのです。

宗教で「性」について扱うこれがイスラムの最大の特徴です。

「禁欲を尊んだ初期キリスト教の父祖たちとちがって、(預言者)ムハンマドはセックスが人生最大の喜びのひとつで、結婚は男女を不審心な交から守ってくれると考えた

そこで、彼は信者に結婚をすすめた。
彼はこう宣言した。そこで、イスラム社会では、禁欲はないことになった。

(『愛はなぜ終わるのか』)

なぜイスラムでは婚外交渉を禁じたのか?

夫婦という「安定した関係」の中で性を楽しむべきと考えるからです。一夜限りの男女の関係でなく。

なぜなら「性」を大切なものと考えるからです。

夫婦生活を盛り上げるアイテム

イスラムの女性下着

下着ショップのショーウィンドーを見入る夫婦

イスラム圏の町中を歩いて驚くのは、女性下着店が当たり前のようにあることです。

ショーウィンドーには日本人なら正視をはばかられるような食品が堂々と売られています。しかも目抜き通りに。

これらの下着は、結婚したマダムのものです。

夫婦の夜を楽しむために、セクシー下着は欠かせぬもの。

夫婦のセックスは「善行」ですので、この手の下着も宗教的に全く問題はなく、むしろ大いに奨励されるべきものなのです。

(参考:イスラム女性が黒いアバヤの中に着ているものは?

初夜のベッドに花を飾る

イスラムの結婚式の初夜

チュニジアの結婚式における初夜のベッド。姉たちが結婚する妹のために、初夜のために飾り立てる。

宗教で奨励された神聖なものであり、イスラム社会では性に対して「恥ずかしい」、「汚らわしい」などの考えはありません。

神聖なもの」「素晴らしいもの」なのです。

そのため結婚式の初夜には、夫婦のベッドを花などで飾りたてます

これはインドネシアやマレーシアなどアジア圏でも同様です。

初夜は初めて2人が結ばれる神聖な夜だからです。

寝室の「お披露目」は、結婚式だけに限りません。

ふだんでもイスラム圏の家に招待されると、美しく飾り立てられた寝室を自慢げに見せられます。

ベッドが花柄のベッドカバーで美しく飾り立てられていたり。

寝室は家の中でも一段と「力」が入っている場所です。

このようにイスラム圏では日本と性の考え方が対照的です。

日本は婚前交渉は自由、性風俗産業が盛んで、一見「性にオープン」なように見えますが、反面「性=汚らわしいもの」というネガティブな考えがあります。

イスラム圏にはこういう考えはありません。

性はあくまで「素晴らしいもの」「神聖なもの」なのです。

女性の服装

イスラム女性の服装

エジプト・カイロの中心部にあるブティックで、女性用のドレスを眺める夫婦。イスラム女性は外では地味な格好でも、家の中では華やかなドレス姿で過ごす。

では女性が肌や髪を隠すことについては、どうでしょう?

中にはニカブやブルカで顔まで隠している女性さえいる。

たしかに女性の自由を制限しているように見えます。「禁欲的」と言えなくもありません。

しかし女性たちは家の中では、タンクトップや短パンなど私たちと同じか、それ以上に派手な服装をしています。

「おしゃれをする場所がちがう」だけなのです。(参考:イスラム女性が黒いアバヤの中に着ているものは?

美しさは夫だけに見せる

イスラムでは、女性の美しさは夫など「大切な人」だけに見せるものです

(→「女性は宝石」。イスラム女性がヒジャーブで髪や肌を隠す本当の理由

自分を愛し、大切にしてくれる人だけのために着飾る。

見ず知らずの男の目を楽しませるものではありません。

肌を隠すメリット

肌の露出を控えることで、痴漢にあう確率も減ります。

社会生活では、女性は外見で判断されずに実力で勝負することができる。

男性にジロジロ見られる煩わしさが減り、のびのび暮らすことができます。

外では黒づくめ。

でも家の中では愛する人のために思う存分に着飾る。

これこそが真の意味でのおしゃれではないでしょうか。

ラマダンは苦行?

ラマダン

ラマダンでは毎日家族親戚が集まって断食明けの食事を食べる。食卓には普段よりも御馳走が並ぶ。ラマダンはイスラム教徒にとってお祭りに等しいとも言える。

ではラマダンはどうでしょう?

一ヶ月も断食する。日中だけとはいえ、これはかなりの苦行です。

しかし日没後は、毎日宴会です。食卓には普段より豪華な食事が並びます。

昼間断食しているから、夜は豪勢なものを食べたいというのは当然の心理。

そのためラマダン中はかえって太ってしまう人が多いのです。

断食した後だからこそ、食事の美味しさが何倍にも増すのです。

天国では処女が待っている

イスラムでは、人は死後天国か地獄に行くことになっています。

その天国と地獄の描写がコーランにありありと描かれており、天国はまさに官能の世界です。

 『一段高い臥だいがあって(そこで天上の処女妻たちと歓をまじえる)。

我ら(アッラー)が特に新しく創っておいたもの、この女たちは(地上の女のように両親から生まれたものでなく、この目的のために特別に新しく創った女である)。

特に作った処女ばかり愛情こまやかに、年齢も頃合い

『コーラン』(下)56章34~37節)

 

しかもコーランには、同じような内容が表現を変えて何度も出てくるのです。

「美酒」が飲み放題、「天国の処女」と好きなだけ交われる‥‥。

天国に行けば美女が待っているのだから、生きている間はちょっとは節制しなさいと、

「馬の鼻先に人参をぶらさげる」みたいなものでしょうか。

 

イスラム的禁欲と「快楽」

イスラムは禁欲的な宗教?

イスラム社会の人々は踊るのが大好き。結婚式は歌と踊りがメインで、この時は男性だけでなく女性も入れ替わり立ち替わり得意なダンスを披露する。

つまりオンとオフ。これが「イスラム流人生の楽しみ方」と言えます。

オンがあるからオフが楽しめる。

ウィークデーに仕事を頑張るからこそ、週末のレジャーが楽しくなる。

もし毎日が日曜日だったら、どうでしょう? レジャーも飽き飽きしてしまうのではないでしょうか。

 

一定の節制があってこそ、快楽が増すのです。

ラマダン。一定期間食を断つことで、食事の美味しさが一段と増す

セックス。「やりたいけど、できない」という期間があるからこそ、いざ夫婦になった時の喜びが倍増する。

欲望を心から楽しむためには、一定の節制が必要です。

ようは人生のスパイスです。

節制は人を美しくもします。

いくら服装が自由でも、パンツが見えるようなミニスカートの女性は美しいでしょうか?

肌の露出をひかえめにすることで、女性らしい慎みや美しさが生まれるのではないでしょうか。

一見禁欲的に見えるイスラムのルールと節制。

それが人生を賢く味う秘訣なのです。

 

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★イスラムの「性」や「結婚」についてイスラム流幸せな生き方』で詳しく紹介しました。ぜひお手にとっていただけると嬉しいです。

★本文中のコーランは、こちらから引用しました。コーランは神アッラーの言葉を集めたもの。その言葉は本文中にあるとおり、本当に味わいぶかい。そしてユーモアにあふれています。

 

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