イスラム教徒はなぜ自殺しないのか?

イスラム教とはなぜ自殺しないのか?

「なぜ日本人は簡単に自殺するんですか?お金や生活費に困ってないのに」

「これだけ経済が進んでいるのに、なんで年間3万人以上自殺するの?」

イスラム教徒によく聞かれることです。

イスラム社会は一般的に自殺が少ないと言われます。

それはなぜでしょうか?

その理由を知るために、友人のパキスタン人に「なぜパキスタンでは自殺者が少ないのか?」と聞いたら、こういう返事が返ってきました。

イスラム教徒が自殺しない理由

これをわかりやすく解説します。

コーランで自殺を禁じる

コーランでは自殺を禁じています。

「誰ひとり、定めの時が来て、アッラーのお許しを戴いてでなければ死ぬわけにはいかぬ。」

(3章145節)

命は神が与えてくれた最大の恵み。それを自ら絶つのは許されないのです。

イスラムでは人がいつ生まれ、いつ死ぬかは神が決めること。

それを自ら絶ってしまうことは、神への背信行為とされます。

「自分の命は自分のもの。どうしようと勝手」ではないのです。

自殺も他殺も重大な罪です。来世で火地に入れられ、永遠に焼かれ続けます。

イスラム教の聖典コーランには、天国と地獄の情景が実にリアルに描写されています。

地獄で永遠に火で焼かれ続ける。

それを幼い頃から読んでいるイスラム教徒たちにとって、決して他人事ではありません。

(参考:イスラムの天国と地獄とは?

日本人から見たら「地獄なんてバカバカしい」「非科学的だ」と思われるでしょう。

しかし自殺をくいとめる抑止力として決して小さくありません。

「自殺はいけない」
「人を殺してはいけない」

誰でも頭ではわかっていても、その理由を論理的に説明することは難しい。

理由を論理的に説明できないが、人として絶対に許されないことがあります

口で「やるな」と言っても難しい。

だから絶大なる神の命令として「殺すな」としたのです。

(参考:イスラムで禁止されていることは?

自分の失敗を責めない

「自分の過ちについて必要以上に自分を責めない」

これも自殺が少ない原因の1つです。

「努力してダメだったら、神がそう望んだんだからだ」と神のせいにできるのです。

「人間は弱いものであり、神に全面的に従って生きる」。

これがイスラムの基本です。(参考:神にすべてをゆだねる「天命」とは?

物事の結果は、最終的には神が決めること。

努力が不要という意味ではなく、「人間の能力は有限だから努力しても実現できないこともある」という意味です。

望ましくない結果の時も「神が望んだのだから、しかたがない」と考えるのです。

これによって自分を必要以上に責めることから免れています。

弱い人へのいたわり

イスラムでは弱者救済が重要な柱。社会に助け合いのメカニズムが働いています。

誰かが病気になって治療費が足りない場合、近所の人がお金を出し合って助けたりもします。

信者には貧しい人への施しの義務があります。

施される側は「施されて申し訳ない」と卑屈に思わず、堂々としています。

なぜなら相手に「施し」という「善行」を行うチャンスを与えた側であり、天国へ入る手助けをしたことになるからです。

そこで貧しい人の方が威張っているという逆転現象が起きたりもします。

そもそも貧者や社会的弱者になったのは神のせいであって、自分の責任ではないと考えます。

(参考:ザカートとサダカ イスラム教の喜捨と助け合い精神)

家族の絆

イスラム教では「家族」に重きを置いています。

イスラムでは結婚を奨励していますが、それも家族を重視するためです。

総じて家族の絆が強いと言えます。

知り合いのバングラデシュ人は言います。

「バングラデシュは日本よりずっと貧しいのに自殺がとても少ないです。それは家族や親戚の関係が親密だからです」。

家族や親戚の誰かが生活に困れば、皆で助ける。

社会保障は十分とは言えないが、親族の助け合いがそれを補っています。

(参考:イスラムにおける「家族」の重要性

「死後は天国へ行ける」安心感

生前に善行を重ねれば死後に天国へ行けるのがイスラムの教えです。

来世は永遠です。天国に入れば、ずっと楽しい生活が送れます。

日本人はみんな「死んだらどうなるのか?」と漠然とした不安を抱えています。

イスラム教徒には「天国へ行ける」というゆるぎない安心感がある。

「天国があるなんて非科学的さ」と言われれば、それまでです。

でも「来世は天国へ行って永遠に楽しく暮らすことができる」と信じて生きるのと、「死んだらどうなるかわからない」と不安を抱きながら生きるのと、どちらが幸せでしょうか?

(参考:イスラムの天国と地獄とは?

神が見守ってくれる心の安らぎ

イスラム教徒はなぜ自殺しないのか?

砂漠で日没時の礼拝をする遊牧民女性サイーダ

私は2003年からエジプトの砂漠で一人で暮らす遊牧民女性を取材しています。

砂漠にはサソリも毒ヘビもいます。噛まれたら死ぬこともある。

しかし彼女は言います。

「私には神様がついてるから、大丈夫」

イランで子供がいない老夫婦の家に招かれたことがあります。

「将来は不安じゃないですか?」ときくと、「神がついているから大丈夫」と語っていました。

 

神がいるかいないか、科学的に証明するのは不可能です。

しかしそれなら「私には神様がついている」と信じ、安らかに生きる方が得ではないでしょうか?

 

宗教は人がつくったものかもしれない。

しかしそれは人が心安らかに生きるための一種の知恵でもあります。

まとめ

「自殺はいけない」。

私たちは誰でも頭ではわかっています。

でもなぜ?と聞かれて、うまく説明することができるでしょうか?

それは説明するまでもなく、当たり前のことだからです。

当たり前であっても、人間は弱いから、できないこともある。

だからイスラムでは神の命令と位置付けた。

それは卓見だったと思います。

 

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