2022-01-29

マフルとは?*日本女性とイスラム男性との国際結婚

 

エジプトの結婚式

エジプトの婚約式で、花婿から贈り物の貴金属を付けてもらう花嫁。エジプトの結婚では男性から女性に貴金属品を贈るのが慣し。

イスラムの結婚は「契約」として扱われ、契約成立には男性から女性に「マフル」を支払うことが必要です(*イスラムの結婚ルール)。

日本人がムスリムと国際結婚する場合、マフルは必要でしょうか?その額は?

マフルとは?

マフル(マハル=婚資)とは男性から女性に払う婚資のこと。イスラムの結婚は契約で、マフルの支払いが契約成立の条件です。契約書にもマフルの額を記載する欄があります。

マフルは妻の個人財産

妻に贈られたマフルは、彼女の個人財産になります。妻はマフルを家に入れる必要がなく、夫と死別した時もマフルは夫の遺産とは別扱いになります。

マフルは前払いと後払いが

マフルの支払い方法は、分割(前払い・後払い)で支払われることが多いです。前払いは結婚する時、後払いは離婚や夫の死亡時に払います。

後払いのマフルとは?

後払いのマフルは、離婚した際の女性の生活保障です(夫から離婚を言い出した場合)。「離婚時のお金を決めるなんて縁起でもない」と日本人なら考えがちですが、イスラムでは「結婚は人が行うもの。間違いもありうる」と考えるのです。イスラムでは人は弱いもの・間違いを起こすものと考えます

離婚後の女性の生活保障ですから、イスラム圏の娘の親にとって、マフルの駆け引きは重要です。実際、後払いは前払いよりかなり高目に設定され、夫から簡単に離婚を言い出せないシステムになっています。

(*イスラムの離婚*2回目・3回目の離婚は何が違う?

マフルの額

シャリーア(イスラム法)では基本的に、マフルの額は妻の社会的身分と夫の経済力に見合ったもの、とされています。新婦が良い家柄、高学歴などなら高くなります。容姿端麗なら、もっと高額に。

近年、イスラム世界全体で前払いのマフルの額が高騰し、結婚できない若者が増え、深刻な社会問題になっています。そのため現金でなく、人柄や信仰心の度合いをマフルとすべき、という議論も生まれています。

イスラム法でもマフルは必ずしも金銭の必要はなく、物品、不動産で支払うことも可です。「1年間妻にコーランを教える」なども認めらるそうです。最近のエジプトでは、先払いのマフルはなく、後払いの額だけを契約書の記載するケースも多いそう。

(*ラマダン前は結婚ラッシュ!*エジプト結婚事情

離婚時のマフル

離婚したら、妻がもらったマフルはどうなるのでしょうか。

・夫の意向で離婚した場合
妻に離婚される正当な理由がなく、夫から離婚を請求する場合、妻はマフルを保持できます。(コーラン4:20)

・妻の意向で離婚した場合
ハディースによれば、「妻は夫にマフルを返済するように」と、預言者ムハンマドが助言したと伝えられています。

床入り前に離婚したら?

夫が妻にマフルの半額を返済するのが決まりです。

「あなたがたが彼女らと離別する場合、まだ彼女らに触れてはいないが、すでにマフルを決めていたときは、約定した額の半分を与えなさい。」(コーラン2:237)

国別:マフルの額や支払い方法

マフルの額や支払い方法は、国により大きく異なります。

インドネシア

マフルは極めて小額で、金銭よりコーランや礼拝用のマットなど宗教的な物品がマフルとして贈られるケースが多いそうです。

パキスタン・バングラデシュ・インド

パキスタンのインドに近い2州(パンジャブ州、シンド州)は、インドと同様、女性側がダウリーを持参する慣習が見られるとのこと。マフルはあっても、極めて小額だといいます。(ダウリーはジャヘーズと言われ、花嫁側から花婿側に贈与される現金や家財道具のこと)。

パンジャーブ州のある村では、契約書に記載される前払いのマフルは、微々たる額(日本円にして5千円程度)、後払いのマフルを記載していたのは、20%の契約書のみだったそうです。
パキスタンにおける結婚慣習(アジ研ワールドトレンド№162

インド人ムスリム曰く「インドのムスリムの家で男の子がとくに喜ばれるのは、マフルを用意しなくていいから」だそうです。

イラン

イランではマフルのことを「メフリエ」と言います。メフリエは前払いと後払いに分けられます。後払いは結婚してから離婚までに払うことになっていて、これが女性の離婚後の生活保障となります。
(「イスラームとジェンダー」)

アラブ諸国

アラブ諸国では通常、マフルは前払いも後払いも高額で、これが結婚難の原因にもなっています。

エジプトでは、前と後の合計額は年収の3~5倍が普通。結婚費用をためるのに何年もかかり、副業したり産油国へ出稼ぎに行く男性も少なくありません。そのため最近では、先払いのマフルはなく、後払いの額だけを契約書の記載するケースもあります。

日本女性が現地男性と結婚するケースもありますが、中にはマフルが高くて自国の女性と結婚できないから、(マフルの制度を知らない)外国人女性を結婚相手に選ぶ、というケースもあるそう。幼い子どもをかかえ、僅かな金額だけもらって離婚されてしまい、なんとかしてほしいと日本大使館に駆け込むケースもあるとか。

日本人がムスリムと結婚する場合のマフル

上記のとおり、ムスリムとの結婚成立にはマフルが必要です。ただそれを何にするか(金銭か物品か)?額はどうするか?などは一概には言えない問題です。高く設定すればいい、というものでもないでしょう。後払いのマフルを決めるのが、日本では現実的でないこともあります。

アラブ女性と結婚した私の知人が、後払いのマフルについて近くのモスクのイマーム(導師)に聞いたところ「それは良くないこと(離婚)を連想させるから、決める必要がない」と言われたそうです。

とはいっても、アラブ圏の男性と結婚して現地に暮らす場合、もしもの場合に備えて、何らかのマフルを取り決めておくのが良い場合もあるでしょう。

もちろん信頼できる相手と結婚するのが第一。これ以上の離婚保障はないと思います。

ムスリムとの結婚について知りたい方の参考になれば嬉しいです。

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