三朝温泉の自炊湯治宿「油屋」*鳥取県
旅で泊まるなら自炊できる湯治宿と決めています。源泉掛け流しのお湯にゆったりとつかりながら、暮らすように旅することができますので。
というわけで、鳥取県の三朝温泉、油屋に宿泊しました。
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世界一の放射能泉と名高い三朝温泉。放射線の何が良いのかというと、弱い放射線にふれることで体の細胞が活性化し、免疫力や自然治癒力が高まるのだとか。
温泉につかって三度朝を迎えると元気になる。それが三朝温泉の由来なのだそうです。
温泉街には観光案内所もあり、地図がいただけます。日本の中にはかなり寂しい温泉街もあるのですが、ここは廃業になっている旅館なども少なく、栄えている様子。山陰地方では名高い温泉なのでしょう。
三朝温泉の油屋
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油屋は部屋に台所のある自炊湯治宿。宿泊したのは離れにある「萩(はぎ)」のお部屋。一泊5千円です。
宿の始まりは江戸の後期らしいと宿の方のお話。建物のつくりも風情があります。写真上の左手は中庭。庭にはなんと川も流れています。縁側の外にはサンダルもおいてあり、庭を散策できるようになっている。ご病気をお持ちの方など、心からリラックスできることでしょう。
「うちは常連さんが多いですね。だいたい1週間とか滞在していきます。病気持っておられる方とか、少しのんびりしたい方とか。大阪の方から避暑で来られる方もいますね。山に囲まれていて風が涼しいので」とおかみさん。
「食事制限ある人は、他の旅館は難しかったりしますからねえ。天ぷらとか刺し身とかたくさん出されますし」
私は食事制限はございませんが、旅館の食事というと、どうして天ぷらとかお鍋、お刺身ばかりなのでしょう。もう少し家庭料理っぽいものが食べたいのですが。というわけで旅館はどうしても敬遠してしまうのです。
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宿の台所(上)。
「お料理なさる?」と言われ、しますというと食器一式を台車にのせて運んできてくださいました。蚊取り線香も。部屋にはエアコン、テレビ、冷蔵庫などがそろっています。
炊飯器は1日100円です。この炊飯器、下方の真ん中あたりにスイッチが1つあり、このスイッチを下ろせば炊飯、炊けたらかちっとスイッチが上がるという、昔ながらの極めてシンプルなもの。
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浴室は2箇所あり、温度が微妙に違います。熱い方が私にはちょうどよかったです。夏場はちょうどよいですが、冬は少し寒いかもしれません。
お風呂の底には大きな石が敷き詰められ、底からぼこぼこ湯が湧き出ています。その音はなんだか人が話しているようでもあります。お風呂がある部屋はわりとうす暗いのですが、このうす暗さがたまりません。気持ちが落ち着きます。
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脱衣場もなんともレトロな様子。こういう雰囲気が大好きです。
宿は「3泊から」と銘打っていますが、2泊でも泊まれます。
「お湯もその人によって合う合わないがありますからね、だから最低3泊泊まって、じっくりお湯に入ってどうかなというのを見てもらいたいと思って、3泊というのをお願いしてるんです。1泊2泊だと、ちょっとお湯に入って「ああいいなあ」と思ってしまいがちなので」
ときわめておおらかなおかみさん。
「こういう、うちみたいな宿は山梨のますとみ温泉にもあるゆうてまりたねえ、大阪の方が。病気持っておられる方は、色々全国調べていってらっしゃいますからね」
「コロナのときは3人ほど、1ヶ月間滞在してましたね。外出できないとかで心配で。その頃この辺はまだ患者が少ない頃だったので」
「ぷちショップ」で夕食の買い出し
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「食材を買うところありますか?」ときくと、「ぷちショップっていうのがありますよ。橋を渡って、〇〇の旅館のとなりです」
「ここにはなんでもあります」とおかみさんの言葉に期待していったものの、都会のスーパーに慣れている身にとっては、申し訳ないのですがコンビニに毛が生えたような品揃えではありました。
でもなんとか夕食といえるようなものを用意。サバ缶、米、梅干し、納豆、味噌汁のもと、もずく三杯酢など。手に入るものだけで我慢するというのも、なかなか良いものです。
そしてその日の夜は、宿の本棚からお借りした「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事』『健康常識はウソだらけ』などを読ませていただきます。ああ健康三昧。
『健康常識はウソだらけ』によれば、健康に寝るには肉、卵、魚など何でも食べるのが良いそうです。そして運動。きつい運動ではなく、チンタラ運動がいいとか。
『世界一シンプルで〜』によれば、健康に良いと複数の信頼できる研究で報告されている食品とは、「野菜・果物」「魚」「オリーブオイル」「ナッツ」だそう。
温泉にひたれる上に、さらに健康情報も仕入れることができる。ああなんて良い宿なのでしょう。
鳥のさえずりを聞きながら、縁側で朝ごはん
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チンタラ運動が良いとのことなので、さっそく翌日は川沿いを散歩。まだ朝7時前というのに、かなりたくさんの方が散歩されていました。
そして朝ごはんは、ごはん、味噌汁、もずく、納豆の朝食。
(これに生卵があれば言うことなしだったなあ)
実は、昨日買い物したぷちショップで卵が売られていましたが、6個入りが売り切れで、10個入りしかなかったのです。ここでは2泊の予定ですし、車ではないので、10個も買っても食べきれません。
10個は少々高いなあ。と買わなかったのだ。ケチったことに後悔。
セミの鳴き声、鳥のさえずりを聞きながら、縁側で朝ごはん。ほんと、この宿は最高です。
しかも洗濯機までありまして、洗濯して中庭の物干し竿に干させていただきました。
レンタル自転車で買い物
観光案内所で自転車をお借りし、昨日のぷちショップとは別のスーパーに買い物に出かけました。
スーパー三朝。ここはドライフルーツが豊富でした。
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さらに倉吉方面へ自転車を走らせると、「旬鮮プラザよってみたい菜」があり、野菜や海藻、卵などを購入。スーパー「マルイ」で唐揚げやお刺身を買いました。
それにしても暑い。「自転車じゃなくバスにすればよかったかな」と少し後悔したのでした。上の写真はそれらの食材をもとに作った夕食です。
三徳山でヒッチハイク
観光案内所に自転車を返しにいったついでに、置かれていたパンフレットなどを見ていると、気になる寺の写真がありました。崖のくぼみに建てられた寺三徳山(みとくさん)です。
「日本で一番危険な寺と言われてるんですよ」と案内所のお姉さんが得意げに語ります。崖のくぼみに建てられている。どうやって建てられたのかは誰にもわからないという。一節によれば、組み立てたものを「投げ入れた」とか。
山を登るには、靴のテストがあるという。普通の靴ではだめで、登山靴のようなものでないとだめだという。草履を貸してくれることもあるそうだ。草履だと危なそうな気がするが、逆にすべらないという。
「登らなくても、車道から見れるところがあるんですよ。そこまではバスで行けます。ほら、ちょうどここの目の前のバス停です」
バスで15分くらいだという。ちょうどタイミングよく17時発のバスがあり、それに飛び乗りました。
そこまではいいものの、帰りが何時のバスか確かめずに来てしまったことに気づく
(きっと最終は夜8時くらいだろう)と、たかをくくっていたら、最終目的地に到着して時刻表を見たら、なんと帰りの最終は17時22分が最終。
いま17時14分。なんと、5分しかないではない!これではとうてい無理。
明日、出直そうかな。バスの運転手三、遅れても待っててくれないだろうなあ、
双眼鏡があるという東屋に行ってみる、歩いてバス停から1分ほどだった。が、そこには双眼鏡はありません。見ると「展望所は左手に」の看板が。ああ、これではバスに間に合わない。歩いてかえったら、一体何時間かかるか‥夜道は暗いし。
どうしようかと思っていると、展望所に、手を合わせて祈っている男性の姿が。
そこでとんでもないことを思いついたのです。
(そうだ!あの男性、きっと車で来ているに違いない。手を合わせているくらいだから、悪人ではないだろう。三朝温泉まで送ってもらおうか‥)
思い切って声をかけます。
「あの〜すみません!倉吉方面に行くんですか?三朝温泉まで送ってもらえないでしょうか?バスが行ってしまって、、、」。
いきなり声をかけられて、怪訝そうな顔をしたものの、男性は助手席に乗せてくださいました。
こういうのは、若くない女性だから、できたことでしょうね。うらわかき美女は、決して真似してはいけません。
車中で男性は、いろいろな話をしてくださいました。
「自分が子供のころは、車停めてたところから見えたんですけどね、当時は望遠鏡が有料だったんですよ。いまは木が生い茂ってしまって、さっきの展望台のところにいかないと見れなくなってしまって」
「登る人で、ここ数年、毎年遭難者が出てて、ヘリコプターで運ばれたりするんですよ、
ーこの辺で一番有名な温泉はやっぱり三朝ですか?と私。
「そうですね、泉質といい、一番いいですね。自分も一番肌にあうというか」
「華やかな頃は、バブルの頃は、鳥取県民と同じ位の数が1年間に三朝温泉に訪れたと言われていますが、いまはその4割くらいに減ってしまって」
「三朝は庶民には高くて手がでないですよ」
そうなのか、、、一泊5千円の宿に泊まっていますとは言えませんでした。
「夏は涼しいけど、冬は雪がつもります。三徳山の上まで除雪パイプが通っているんですよ」
鳥取人の人情をひしひしと感じた良い旅でした。

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