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イスラム

イスラムは同性愛を禁止している?その理由と同性愛を肯定する考え方

イスラムでは伝統的に同性愛は禁止と解釈されてきました。

一方で近年では「同性愛を否定していない」という解釈も生まれています。

コーラン解釈には幅があり、「7世紀のアラビア半島に現れたコーランの文言を忠実に再現させよう」という考えがある一方、現代的に解釈し直そうという流れもあるからです。

ここでは「同性愛は禁止」と解釈されてきた根拠と、一方で「同性愛を否定していない」という説をご紹介します。

同性愛を禁止とする根拠

「同性愛は禁止」とされてきた根拠は、コーラン中のルートの物語です。

「かれ(ルート)はその民に言いました。あなた方は、このようなわいせつな行為を犯すのですか。あなた方以前、どの民族もおこなったことがないのに。あなた方は欲情のために女性でなくて、男性に向かいます。本当にあなた方は過度な人々です。」(7:81)

ルートはコーランに登場する預言者で、男色(男性が男性を性欲の対象とすること)で知られるソドムとゴモッラの民に遣わせられました。

彼は人々に同性愛をやめるよう警告したが、聞き入れられなかった。そのため彼らの街が滅ぼされてしまった。これがそのストーリーです。

ここから「同性愛が禁止されている」という解釈が生まれました。

ちなみにアラビア語では、男性の同性愛者のことを「ルーティー」(ルートの民のような)と言うそうです。

コーランは同性愛を否定していないという説

一方で「コーランは同性愛を否定していない」という意見もあります。

これについて『リベラルなイスラーム』では、イギリスのムスリム文化批評家ズィアウッディン・サルダールの考えを紹介しています。

サルダールはイスラムや文化論について多くの著作があり、ガーディアンなどの新聞や雑誌に寄稿、BBCなどでも活動しています。

『反米の理由=なぜアメリカは嫌われるのか?』という世界的なベストセラーもあり、これは日本語にも訳されています。

リベラルなイスラーム』では、彼の『クルアーンを読むーイスラームの聖なるテクストの現代的関係性』(2011)をもとに、「コーランは同性愛は否定していない」という彼の意見の根拠を紹介しています。

サルダールのコーラン理解の根底にあるのは、「コーランは全体的に理解することが大切だ」というものです。

同性愛について言えば、1つの章句で同性愛を否定しているように見えても、全体的に見てどうなのか?を検討しなければならないということ。

そして彼はコーランの他の箇所にあるルートの物語を参考に、「彼らは逸脱した性的虐待行為を行ったからアッラーの怒りに触れたのであり、同性愛のためではない」という解釈を導き出しています。

またコーラン中の楽園の描写をとりあげます。

「永遠の少年たちがかれらの間を往来し、あなたがたが彼らを見ると、撒き散らされた真珠かと思う」(76:19)

ここで男性の美が肯定的に描かれていることから、「女性に性的欲求を抱かない(男性に性的魅力を感じる)男性が、否定的に捉えられているわけではない」とします。

さらに「コーランは多様性を認めている」ことも主張。

その根拠となるのは、「各人は自分の仕方によって行動する。だがあなたがたの主は、誰が正しく導かれた者かは、よくご存知」(17:84)の章句です。

この「全ての者」にホモセクシュアルが含まれるだろうと主張し、「ホモセクシュアルが生来のものである場合、アッラーがそれを創造しておきながら認めないはずはない」という見解も示しています。

私個人の意見

私個人の考えでは、サルダールの「コーランを総合的に考える」という姿勢からいえば、「全ての生き物は雄雌につくられた」(36:36)などから、コーランでは異性間で性的関係を結ぶのが自然と主張していると思われます。

イスラムは男女の別を重視する宗教で、男は男らしく、女は女らしく生きるべきと説きます。そのため男が女のような格好をすることは禁じられている。

そして違う男女が一緒になった方がより幸せになれるだろう、と考えるのです。

ただし性的マイノリティを下に見ているわけではない。「全ての人は平等であり、人間の優劣があるとしたら、それは信仰心の強弱のみ」が基本的な考えだからです。

ホモセクシュアリティは嫌悪されてはいるものの社会的には容認されていて、宮廷における宦官の存在や、第三の性は認められています。

パキスタンなどでは今もホモは公然と存在している。『ラホールの踊り子たち』(パキスタン北部の都市ラホールにある遊郭の娼婦たちの話)の著者が調査した赤線でも、娼婦の10%は男性だったそうです。

つまりイスラムの性に対する考え方は、こういうことでしょう。

神は人間を男と女に創った。それは互いに知り合うためであり、愛し合うためであり、互いの至らない部分を補うためである。

だからその贈り物をありがたく受け取りなさい。それに尽きるのではないかと。

それを素直に受け取るのも受け取らないのも本人の自由。その責任は各自が最後の審判で引き受けるだけのこと。私はそう理解しています。

 

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