イスラム女性は家に閉じこもっている。そんなイメージをお持ちの方もいるかもしれません。
実際には多くの女性が社会で働いています。
そして女性が働く環境は日本より優しいかもしれません。
社会が女性にやさしい
イスラムは女性に厳しいのでは?と思われるかもしれませんが、実際は逆です。「女性だから楽だな」と思うことしばしです。
電車の中で立っていると、すかさず男性が席をゆずってくれます。
「女性はいたわるべきもの」が社会通念だからです。
行列も女性優先です。駅や映画館の切符売り場で長い行列ができていても、女性は一番先頭にずんずんと割り込むことができる。
男性たちは文句を言いません。女性の当然の権利だからです。
外国人女性でも同じ。私も駅で切符を買う時は、長蛇の列にいる男性たちの前にずずっと割り込ませていただきます。
女性の中には、列の前方にいる男性にお金を渡し、切符を買ってもらう人もいます。もちろん2人は赤の他人です。
男性は慣れているので、突然見知らぬ女性にお金を渡されても意味がわかります。(ただし、こういう時は、お釣りがないように渡すのがマナーです)
パキスタンなどでは、バスのチケット売り場に「LADIES」と書かれた女性専用の窓口があります。
女性はそこに並んでも良いし、男女共通の窓口でも買うことができる。男性専用の窓口はありません。
長時間労働がない
女性が日没を過ぎてオフィスにいるということは、まずあまりありません。
夜遅く帰宅した場合、帰り道で痴漢にあうなどの可能性も高くなるからです。
パキスタンなどでは、会社によっては女性の送迎車もあります。もちろんすべての会社ではありませんが。
確実に言えるのは、「長時間労働を苦に女性が自殺する」など、絶対にありえないということです。
日本では夫婦共働きでも、家事はほとんど女性がやるという家も多いでしょう。
日本の働く女性は、世界一睡眠時間が短いそうです。
家族が子どもの世話を
パキスタンなどでは大家族主義で、結婚後は両親と暮らすのが普通です。
子持ちの女性が働く場合、祖父母や兄嫁がめんどうを見てくれます。
家事と仕事の両立は日本より容易でしょう。
お手伝いを雇える
アジアやアラブ圏では、中流家庭にもお手伝いがいます。
お手伝いの給料はそう高くはありません。
一方で、ある女性はこう言います。「メイドも雇えないような給料しかもらっていなかったら、それはメイドとして雇われているのと同じよ」
女子力を要求されない
日本にはお茶汲みというものがあります(今もあるのかはわかりませんが)。
パキスタン女性にお茶汲みのことを話すと、「お茶くみ? 何それ?」と理解してもらえませんでした。
そういういのは全て男性の役目。茶を給仕する専門のスタッフがいます。
これは「女性が不特定多数の男性のところにお茶を持っていくのは良くない」というイスラム的考えがあるからです。
「職場の花」という言葉もありません。女性は夫や家族の男性以外の前では、美しい部分は見せないからです。
女子力を要求されることなく、のびのびしています。
女性の働き方について考えたい方の参考になれば幸いです。
【関連記事】
【参考図書】
20年間の取材によるイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるイスラム入門書。世界でなぜイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。