2020-08-30

イスラムの天国(楽園)と地獄はどんな場所?

イスラム イスラム教の礼拝

エジプト・カイロの金曜礼拝。モスクに入りきれない人が路上で礼拝をしている。

イスラムでは、コーランに書かれた神の命令に従って善行に励めば天国へ、そうでなければ地獄へ行くと信じられています。

ムスリムの中には礼拝しない人も断食しない人もいますが、そんな彼らも来世(天国と地獄)の存在は固く信じている。

それらはどんな場所でしょうか?

来世は永遠

まず大切なことは、イスラムでは来世は永遠だということです。対して私たちが生きている現世は、いつか終わりが来る。その終わりを「終末」と呼びます。

死んだらすぐに天国・地獄へ行くのではなく、終末を迎えたときに審判を受け、天国か地獄へ行きます。

天国には男性には自分だけを見つめる妻が

川が流れる楽園

天国(楽園)のようすはコーランのあちこちに描かれていますが、その半分以上に「川が流れる」と書かれています。イスラムが灼熱の砂漠の地アラビア半島で生まれたということも関係しているのでしょうか。

水の川だけでなく、乳、美酒、蜜の川などもあります。

「澄み切った川、腐ることのないミルクの川、酔うことのない美酒の川、純粋な蜂蜜の川などが流れている。」(47:15)

飲んでも酔わない酒

天国では、現世で禁止されていた酒が飲み放題。しかも現世の酒と違い、絶対に酔わないそうです。

「泉から汲みたての盃が一座に廻り、白く清らに澄んで、飲めばえも言えぬここち良さ。これは(現世の酒とは違って)飲んで頭がふらつくでもなし、酔っ払ったりする心配もない。」(37:39~55)

果物や肉が食べ放題

果物や肉など美味しいものも食べ放題です。コーランには「様々な果物」(36:57)「沢山の果物」(43:73)「あらゆる果実」(47:15)(44:55)「自分たちが欲する果物」(77:42)‥とにかく豊富に用意されている。「ナツメヤシ、ザクロ」(55:68) 「ぶどう」など、その名が列挙された箇所もあります。

果物だけでなく、肉やそのほか望むものが好きなだけ用意されています。

「沢山の果物、うまい飲み物、なんでも望み放題」(38:51)「果物、肉、そのほか望むもの」(52:22) 「あなた方が欲するもの」(41:31)とあるように、とにかく美味しいものが食べ放題です。

ちなみに鳥肉は「種々の鳥の肉」(56:21)とあるように、チキンだけでなく、七面鳥、アヒル、鳩など、今アラブ世界で食べられている肉が様々あるのでしょう。

楽園は男女にある

天国は男女とともに用意されています。

「信心深い者は、男でも女でも、みな楽園に入れていただいて」(4:124)

男性には自分だけを見つめる妻が

男性には「純潔な妻」が用意されているそうです。

「信仰して正しい行いを行う者たち‥‥楽園に入れてやろう。そこには彼らのために、純潔な妻たちがいる。」(4:57)(2:25)

しかも純潔な妻は、「自分の夫だけに視線を定めた」女性だそうです。

「彼らのもとには、(自分の夫だけに)視線を定めた、麗しい眼の女性たちがいる。」(37:48)

他の男性には見向きもしない‥これは彼女が貞淑なだけでなく、夫もまた美しく完全で、彼女の視線をとらえてはなさないからだそうです。

女性に対しては「純潔な夫」が用意されているといった文言はありません。

これについては、預言者ムハンマドの伝承に「天国には、独身者はいない」「女性は (天国において)最後の夫のものとなる」などがあり、女性の誰もが夫(純潔かどうかは別として)を持つことは確かなようです。

地獄は「火獄」

地獄は「火獄」です。グラグラと燃えたぎる火があり、そこに放り込まれます。

「煮えたぎる汁や熱湯、どろどろの膿汁を飲まされたり、余す所なく皮膚を焼き通され」(74:26~29)

焼かれて皮膚がはがれ、再生したら、また焼かれてはがれ‥‥そのくり返し。

あまりの苦しさに死にたいと思っても死ねません。

‥これなら誰でも火獄ではなく楽園へ行きたいと思いますよね。

このようにコーランの描写は思い切りリアルなぶん、人々を善行へと誘うモチベーションになっているのです。

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