2025-02-15

スンバ島ワノカカ地方の伝統村をめぐる

コディ地方の村を訪れた翌日、ワノカカWanokaka地方の伝統村を訪れました。ワノカカ地方はワイカブバッから南に20kmほどの場所。ここも多くの伝統村が点在しています。

ウェルガリ村 Wei Galli

インドネシアスンバ島ワノカカ地方の村

ウェルガリ村の入り口。頭の上に洗濯物をのせて運ぶ女性。近くの川へ洗濯に行った帰り。

最初に到着したのはウェルガリ村。ワイカブバッからワノカカ地方への道は、コディへの道に比べ交通量は多くなく、高原地帯の道を通っていくので、眺めが良いです。

インドネシア・スンバ島

村の中央の先祖の墓。何世代にもわたり伝統的な儀式をおこなうのに使われてきた。

村の人口が200人ほどで、村のほとんどの人々がマラプ信者とのこと。昨日訪れたコディの家より屋根が低い感じがします。この村のように山の上にあるので風が強く、高い屋根は風で飛ばされてしまう危険があるからとのこと。

インドネシア・スンバ島の女性

おばあさんの表情にとてもひきつけられ、何枚も写真を撮ってしまった。

一軒の家の前を通りかかると、家族が縁側で仕事をしていて、素敵なおばあさんがいたので話しかけ、家の中を見せてもらいます。

インドネシア・スンバ島の家の中

男性に見せてもらった家の中。太い柱が中央に4本。コディ地方の村の家と、つくりは基本的に同じ。柱の上の丸い台の上には食料を保存したりする。ネズミに食べられないように、高い場所に置く。これも生活の知恵。

この家には9人がくらしているそうです。中央のいろりを囲むように寝床があり、蚊帳がつるされていました。

スンバ島の家のつくり

家のつくりは、どの伝統村もほぼ同じです。玄関(入り口)は2つあり、一つは「表玄関」。男性のエリアにつながるもので、ここには男性の寝床エリアがあります。男性の寝床といろりは、1mほどの台で仕切られています

もう1つの玄関は炉につながるもので、日本で言えば勝手口?。嫁は表玄関から入ることはできません。娘ならOK。しかし彼女が結婚して他の家に嫁いだら、その家の表玄関から入ってはいけません。

勝手口は外の洗い場につながっています。

インドネシア・スンバ島の家

家の真ん中にあるいろりで料理をする女性。その上には収穫物などが吊るされている。いろりの煙でいぶされることで、保存性を高める効果がある。いろりの向こうが男性の寝床スペース、その右に表表玄関がある。いろりの手前右に裏玄関(勝手口)がある。

いろりの上は高い屋根で、ここに米を保存したりします。先祖の霊が宿る場所でもある。ここには男性しか入ることができません。このように島の慣習やジェンダー的考え方が家のつくりが結びついている。とても興味深いです。

案内してくれた家族の男性は、「ここにはツーリストがくるけど、みんな写真を撮るだけですぐに帰ってしまう。話をしようともしない。まるで動物園の動物になったような気分だよ」。そうなのですね、反省。

でもそうやって、よそ者を受け入れてくれ、話をしたいと思ってくださる方がいるのは、私にとって非常に嬉しいことでした。

プライゴリ村Praigoli

インドネシア・スンバ島の田植え。

途中で出会った田植え風景。ここではまだ手で田植えがおこなわれている。

次に向かったのは、ウェルガリ村から南へ3kmほど下ったプライゴリ村

インドネシア・スンバ島の村

プライゴリ村の入り口。少し山を登った先に村がある。このようにスンバ島の村は基本的に山の上につくられている。

Wei Galliに比べて静かです。

インドネシア・スンバ島の村

プライゴリ村。この村にも中央に大きな墓が置かれている。

村には珍しく売店があり、店主の女性がつくったパンが売られていました。売店の女性がとても快活な方で、話が盛り上がりました。

彼女には娘さんが4人、息子が5人。息子さんが結婚した時に払った「結納金」の話になりました。

スンバ島の結婚*ブリス結納金

インドネシア・スンバ島の女性

ヤシの実の皮を頭にのせて運ぶ女の子。村では年配の女性は民族衣装のサロンを着ているが、それより下の世代は洋服を着ている子が多い。

店主の女性は息子さんたちが結婚した時、お相手の家族に水牛を50頭ずつ支払ったそう。これはスンバ島特有の「ブリス」という結納金です。島では結婚に際し、男性から女性に結納金を払うきまりがあるのです。

金ではなく動物で、馬、水牛、豚、犬などです。村では今でもお金よりもそれ以上に水牛などの動物が重要な意味を持っているのです。動物は1種類だけではなく、複数の種類を用意する必要があります。たぶん一番価値があるのは水牛でしょう。

女性の父親が水牛百頭を要求することもあるとか。そこで当然交渉が生まれます。自分が属する部族や、相手がどんな部族かによっても、ブリスの額は違ってきます。

最低ラインともいうべきものがあり、水牛を15頭。この習慣はスンバ島全土で同じだそうです。ティモの息子さんが結婚した時は、水牛を15頭用意したとのこと。

水牛は1頭15,000,000~30,000,000ルピア(15万円〜30万円くらい)。牛は人から買うか、マーケットで買います。

お金がなくて支払えないという場合もあるものの、それは「借金」として後世の時代まで受け継がれると言います。厳しいですね。それだけブリスは大事なものらしいです。

最近はブリスの高騰で、動物泥棒もあるらしいです。西スンバは貧しいので、中部や東部で動物を盗むとか。

さらにはブリスがいらない他島の女性を花嫁に迎え入れることもあり、島では未婚の女性が増えているといいます。

マラプと慣習

「ブリス」はマラプの教えから来ているわけではなく、法律でもありません。何世代にもわたって受け継がれてきたスンバ島の慣習です。

売店の女性はカトリックだそうですが、家にはマラプの教えである豚の顎の骨が飾られていました。マラプとカトリックが結婚することも多々あり、特に問題はない。

たとえば夫がマラプ信者、妻がクリスチャンで、日曜日に妻だけが教会にいくこともあるという。

「マラぷもカトリックも根っこは同じ」と彼女。「両方とも死んだら天国へ行くし、基本の信仰は同じ」だといいます。

ところで「ブリス」ですが、女性側が受け取るからといって、女性の地位が高いかというと、決してそんなことはありません。その件については別の機会に書くことにします。

インドネシア・スンバ島の村

ヤロワラ村。多くの人がお昼寝中で、ひっそりしていた。先に見たウェルガリ村、プライゴリ村よりも質素な感じ。

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