ウドゥーとグスル|イスラムの浄めの方法

インドネシアの小学校の礼拝の時間に、浄めを行う女子生徒たち。
イスラム教の女性は生理中は礼拝できないって本当ですか?
礼拝前に手足を洗っていますが、義務なのでしょうか?
ムスリムは日本人より清潔な気がしますが、どうでしょうか?
そんな疑問にお答えします。
イスラム教徒は世界で一番清潔な人たちです。
宗教で清潔さが義務付けられているからです。
ここではイスラムにおける清潔さや浄めの種類ウドゥーとグスル、行うべき時や方法などについて、わかりやすく紹介します。
イスラム教における浄めとは?
イスラム教は清潔さを大切にしています。
聖典コーランには「おまえたちが汚れの状態にあれば身を浄めよ」(5:6)とあり、身を浄めることが信者の義務です。
ハディースにも「浄めは信仰の半分」とあります。
「汚れ」の状態の時は、礼拝したり、モスクに入ったり、コーランに触れたりできません。
所定の浄めを行ってからでないと許されません。
浄めは2種類:ウドゥーとグスル
汚れには2種類あり、それぞれ浄める方法が決まっています。
・小汚(大小便、分泌物、おなら)←「ウドゥーwudu」によって浄める
・大汚(性交、射精、生理、出産、死体に触れた後)←「グスルghusl」によって浄める。
イスラム教徒たちが、日常どんなふうに浄めを行っているか、エジプトでの体験をご紹介します。
ある日、シャディアと一緒にテレビを見ていると、彼女は言った。
「フジヨ、そろそろイスラム教徒になる気になった? 今日は礼拝と浄めの手順を教えてあげるわ。生理じゃないわよね?」
私はその時、たまたま生理中だった。
「じゃ、無理だわ。生理中はコーランを開いてはいけないし、礼拝もしちゃいけない。生理の血はきれいじゃないから。そんな体で礼拝できないわ。終わったら、生理の間着ていた服は全部洗って、体中をきれいにするの。血の臭いがすっかり消えるようにね」
子どもに言い聞かせる母親のような口ぶりだ。私の服に鼻を近づけて臭いを嗅ぐ真似をする。
「この臭い、覚えておくからね。今度フジヨが来る時は、エリアル(エジプト製の洗剤)の匂いがしなきゃ、ダメよ」
(「女ノマド、一人砂漠に生きる」)
生理中の女性は不浄?
生理中の女性はコーランやモスクに入るのが禁止ですが、不浄なのでしょうか?
これは女性が汚いのではなく、外に出た血液が不浄とされるからです。
上の文章の続きをご紹介します。
「どうして血が汚いの?」
「体の中にある時は汚くないけど、外に出たら汚いの。アッラーは、そういう血が好きじゃないのよ」
怪訝な顔つきをしている私を見て、彼女は言った。
「フジヨ、今度近くのシャイフ(イスラムの導師)と話をしに行きましょ。フジヨの疑問をすべて解決してくれるから」
(シャイフとはモスクの礼拝導師、イスラム教に詳しい人のことです)
「シャイフ、なぜ女性は、生理中に礼拝してはいけないのでしょう? 生理中の女性の体は汚いのですか?」
「腹痛があるし、疲れているからです。正常な状態でない。女性の体を気遣う教えです」
「でも生理の血は汚いのでしょうか?」
「良くない成分も含まれているから、外に出されるのです。でも体の中を流れている血液は汚くはありません」
「結婚したら、女性は体中の毛を剃りますね。これはイスラムの教えですか?」
「違います。でも毛を剃った方が美しいし、香りも良くなる。美しくきれいになりたいと思う女性はやります。ただハディースには、陰部と腋毛は剃るべきだと書いてあります。ここに毛があると雑菌が入りやすく、良くない香りが生まれやすくなります」
(「女ノマド、一人砂漠に生きる」)
イスラム教徒は男女とも陰部の毛を剃りますが、それも清潔さを保つため。
このように、イスラムでは清潔さを重視しているのです。
ウドゥーの手順
1日5回の礼拝の前には必ず浄めであるウドゥーを行います。
モスクには必ず水場があり、モスクで礼拝する際はそこで「ウドゥー」を行います。
「ウドー」の手順:
最初にウドゥーの意思表明をし、ビスミッラーと唱えます。その後、下の順に浄めます。
①両手を3回洗う。
②口を3回すすぐ。
③鼻に3回水を吸い、吐き出す。
④両手で顔を3回洗う。
⑤両手を肘まで3回洗う。(右→左の順)
⑥濡れた両手で頭を前後にぬぐう。
⑦耳の中、耳たぶと耳の裏をぬぐう。
⑧両足をくるぶしまで3回ぬぐう。(右→左の順)。
礼拝前におならをしたり、トイレに行ったりしたら無効になります。
またやり直しです。
浄めも礼拝も、途中で中断したら1からやり直しです。
特別な祭りの礼拝などでないかぎり、浄めと礼拝はセットで20分ほどです。
グスルの手順
こちらがグスルの手順です。
①ビスミッラーと唱える。
②グスルを意図する。
③両手を3回洗う。
④陰部とその周辺を洗い、汚れを落とす。
⑤ウドゥーをする。
⑥両手をみずにつけ頭髪をすいて濡らす。
⑦頭を、耳を含め3回、両手に水をすくって洗う。
⑧体の右半分を上から下に水を流し、左も同様にする。
(参考:「岩波イスラーム辞典」)
このようにグスルには定まった手順がありますが、全身浴やシャワーを浴びるだけでも良いとする法学派もあります。
イスラム教の浄め(ウドゥーとグスル)に興味がある方の参考になれば幸いです。
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