2022-03-17

イスラムの性を理解するポイント②夫の性交要求権

イスラムの性を理解する重要なポイント①」に続き、②は「夫の性交要求権の強さ」です。性の権利はシャリーア(イスラム法)でしっかり守られていて、とりわけ夫の権利は強固です。

性交は夫の権利

シャリーア上で定められた夫婦の権利と義務です。

夫の義務:婚資の支払い、妻の扶養(妻の待婚期間・離婚後の授乳期間を含む)
夫の権利:妻に対する懲戒権、離婚権、性交要求権、妻が家から出るのを禁じる権利、旅に妻を同伴させる権利、授乳を禁じる権利(シャーフィイー派のみ)、推奨された断食を禁じる権利、別の妻を娶る権利。

妻の義務:性交義務(家事労働や出産は義務とは見なされない)
妻の権利:扶養請求権、一定期間妻のもとで過ごすよう要求する権利。

(『イスラーム復興とジェンダー』より)

性交は夫の権利

性交を要求することは、結婚内における夫の権利です。そのため妻の行動が制限される場合があります

イスラムには信者の義務としてのラマダン月の断食以外に、毎月の3日間の断食などです。夫は自分がやりたい場合、妻がこの「推奨の断食」をするのを禁止することができます。断食中は日中は性交が禁じられています。これが夫の性交要求権を侵害するからです。

そして授乳も禁止できるとされます。授乳中は性交が不可能になるためです。代わりに乳母を探します。この乳母への代金はもちろん夫の負担です。

このように夫の性の権利は強固です。妻は病気や体調がとても悪い場合などは別として、ただ「やりたくない」などと拒否することは基本できません。現地の妻たちも「夫に求めには応じなければいけない」と言います。ただし応じないからといって、直ちに離婚などにつながることはないようですが。

「彼がしたいけど、自分はしたくない時は、どうするの?」
断るのはイスラムで禁じられているのよ。でも、やさしく「今日は疲れているから」って言えば大丈夫」(『女ノマド、一人砂漠に生きる』)

それでも「やりたくない」が続けば、離婚の正当な理由になります。

妻の義務は性交だけ

結婚内における妻の義務は「求めに応じることだけ」です。家事も出産も本来の義務ではありません。

家事は義務ではないので、経済的に余裕があればメイドさんを雇うことも多い。妻が外で働き、家でも家事をしなければならない、疲れ切って夫婦生活どころではない。こんなときは、夫も家事を手伝うか、お手伝いさんを雇います。

インドネシアでもパキスタンでもモロッコでも、中流以上の家庭にはメイドさんがいるのが一般的。パキスタンに嫁いだ私の友人は、「メイドさんが雇えるから、日本で奥さんやってるより楽」と言っていました。

(*パキスタン男性と結婚しパキスタンに暮らして20年【ベイグめぐみさん:インタビュー】

ジェンダー差

性交は義務でありとともに権利でもあると思うのですが、妻の場合それが「義務」とされている点が興味深いです。その根底には「求めるのは男、応じるのは女性」というジェンダー差があるのでしょうか。

男性と女性は違い、男性の方が性的魅力に弱い」というのがイスラムの男女観。とはいえ、イスラムでは同時に妻が性的に満足を得る権利も認めています。

性は尊いものである

イスラム圏の男性は結婚までセックスはおろか女性の手すら握ることは難しい。しかし結婚したら非常に強い性交の権利を得る。妻が応じるのが難しい場合、第二夫人を娶ることも認められている。

一方で、結婚に際して男性の経済的負担はとても大きい。膨大な結婚費用やマフルを払わなければならず、結婚後も家計は夫の負担です。セックスの権利を得るには非常にお金がかかる。女性の性はこの上なく尊いものだからです。

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