預言者ムハンマドはイスラム教徒にとってどんな存在?なぜ愛されるのか?

イスラム男性

オマーンの市場に買い物に来た老人たち。この中にもムハンマドさんがいる。イスラム世界では預言者ムハンマドにちなんで男子にムハンマドと名付ける人が多い。

フランスの週刊新聞『シャルリー・エブド』がムハンマドの風刺画を掲載したために、イスラム過激派の男らによる銃撃を受けた事件がありましたね。

そもそもムハンマドは、どんな人物でしょうか?

イエスのような聖人ですか?

イスラム教徒にとって、どんな存在なのでしょうか?

なぜムハンマドの風刺画を描いてはいけないのでしょうか?

そんな疑問に答えます。

この記事を書いている私は、これまで20年以上イスラム圏を取材し、「イスラム流幸せな生き方」など多数の本を出版しています。

この記事では、ムハンマドとは?イスラム教徒にとってムハンマドはどんな存在か?なぜ彼の風刺画を描いてはいけないのか?

などについて、わかりやすく解説します。

ムハンマドとは?

イスラムの開祖。神アッラーの言葉を預かった預言者として、布教を行った人物です。

預言者とは神アッラーの言葉を預かり、人々に伝えた人を意味します。

聖典コーランには、ムハンマド以外にも、25人の預言者が登場します。

旧約聖書に出てくるアブラハム(コーランではイブラヒーム)、モーゼ(ムーサー)などです。

これらの預言者のうち、「最後で最大の預言者」がムハンマドです。

なぜ「最後で最大」かというと、これ以上必要ない完璧な啓示をもたらしたからです。

それ以前の預言者も神の言葉を伝えましたが、人々はそれを実践せず、教えから逸脱してしまいました。

そのため神がムハンマドに完璧な啓示を残し、「これで最後だからね」とした。これがイスラムの考えなのです。

イスラム教徒にとって、ムハンマドとは?

①敬愛される人物

神の言葉を預かって伝えた人であり、人々からとても敬愛されています。

その証拠に、イスラム圏で最も多い男子の名前が「ムハンマド」です。

アラブ世界だけでなく、インドネシアなど東南アジアでも同様です。

つまりムスリムとは「ムハンマドを敬愛する人々」と言えます。

神が「崇拝」の対象であるのに対し、ムハンマドは「敬愛」の対象です。

ムハンマドの生誕祭は「マウリド 」と呼ばれ、イスラム世界各地で盛大に行われています。

②生きる手本

イスラム教徒にとって、ムハンマドの教えに従うことは、神アッラーを認めることと並ぶ大切な信仰箇条です。

彼の言動(スンナ)は「ハディース」という書物にまとめられ、今でも世界中の信者の手本にされています。(参考:ハディースとは?

イスラム教徒の男性の中にはあごひげを生やす人が多いのですが、預言者ムハンマドがそうしていたからです。

イスラム教徒の人々は、何かを行う時「それはスンナだから」と言います。

スンニ派」は、預言者ムハンマドのスンナに従う人々、の意味です。

(「シーア派」は、ムハンマドのいとこで娘婿のアリーとその子孫を預言者と同じくらい重要視し、その言行にも従っています。)

③ムハンマドは一般人

人々から愛され、言動が手本にされていますが、あくまで「一般人」です。

聖職者など特別な階級の人間ではありません。

これがキリスト教との違いです。

キリスト教ではイエスを「神の子」とし、また神と人間を仲介する聖職者という特別階級の人が素材します。

対してムハンマドはあくまで普通の人間です。

コーランではしばしばムハンマドのことを「飯を食べ、市場を歩く人」と表現しています。

イスラムでは信徒は皆平等であり、ムハンマドも例外ではありません。

つまりまとめると、ムハンマドは最後で最高の預言者として尊敬し、敬愛されるが、あくまで一般人。必要以上に神格化されるということがない、ということです。

ムハンマドの顔を描いてはいけない理由は?

イスラム教では偶像崇拝を厳しく禁じているため、神や預言者の像をつくって拝むことはありません

そのため、特にモスクや礼拝所などの宗教的な施設の中に、人や動物の像や絵画などは皆無です。

(参考:イスラム教で禁止されていることは?【偶像崇拝・多神教・自殺・他殺・豚肉・酒ほか】

特にスンニ派の地域では、ムハンマドの肖像画や彫刻はいっさい作られていません。

シーア派では、初代イマーム・アリーや第三代イマーム・フサインの肖像画などが各家庭にも飾られています。

ムハンマドのおいたち

西暦570年、アラビア半島のメッカで生まれました。

すでに父はなく、母も6歳の時になくなりました。そこで孤児として、部族の人々に育てられました。

コーランには孤児をいじめることを戒める章句が多数ありますが、ムハンマドの生い立ちと関係があるといわれています。

青年になったムハンマドは、シリアやイエメンへの隊商に加わり、アミーン(正直者)というあだ名がつくような誠実な商人でした。

結婚

25歳の時、最初の妻ハディージャ15歳年上)と結婚しました。

そして彼女との間に6人の子供が生まれ、幸せな家庭生活を送っていました。

ハディージャが亡くなった後に10人の女性と結婚しますが、彼女の生存中は他の女性と結婚しませんでした。

イスラムでは男性は4人まで妻を持つことが認められていますが、これはムハンマドだけの例外規定です。

神からの啓示

西暦610年、40歳の時です。

当時、彼は自宅近くの洞窟によくこもるようになり、物思いにふけっていました。

ある日突然「誦め」という天使ジブリールの声が聞こえます。

「神の言葉(啓示)を伝えるので、それを声に出して読め」と。

それらからは、彼が63歳で亡くなるまで、神の言葉が断続的に伝えられました。

その言葉を一冊の書物にしたのがコーランです。(参考:コーランとは?日本人が知らない真実) 

さいごに

ムハンマドは数度結婚し、子供をもうけました。

この点が西洋からは「宗教家らしくない」と批判されます。

しかしイスラムでは信仰だけではなく、ふだんの日常生活で神の教えに沿って正しく生きる事が大切だと考えます。

その意味で、彼は一般信徒の手本となるべき人物なのです。

 

★「ムハンマド イスラームの源流をたずねて

預言者ムハンマドの生涯を綴りながら、啓示が始まってからムハンマドの死までの20年間にどのように啓示が下されていったかを書いています。

とても平易な言葉で書かれていて、コーランの引用も多く、イスラム教とコーラン入門書として最適です。

 

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