中東アラブの結婚事情 |まず婚約・ぼう大な持参品・いとこ婚
(↑結婚をひかえたチュニジアの女性の家。1部屋がまるまる「持参品」置き場となっている)
中東・アラブの恋愛・結婚事情はどうなっているのでしょう?モロッコ、チュニジア、エジプト、シリア‥などの経験をもとに、日本との文化的ちがいをご紹介します。
①まずは婚約
中東アラブ世界では、基本、男女の「お付き合い」という概念はありません。異性関係はすべて結婚が前提です。イスラムでは婚外の男女関係が認められていないからです。(→イスラムはなぜ男女関係に厳しいのか?
そこで男性は気に入った女性がいたら、まずはプロポーズ。具体的には女性の父親に結婚を申込みをし、OKをもらって初めて2人だけで会うことができるのです。
相手のことをよく知らずに婚約してしまっていいの?日本人なら当然そう思います。
が、それは婚約してから知ればいい。それがアラブの考え方です。だから婚約破棄はよくあります。
衝撃的なケース
エジプトの友人から聞いた話です。最近彼の同僚が結婚しましたが、その出会いが衝撃的でした。
彼がお母さんと町を歩いている時、路上で見かけた女性をお母さんが「ナンパ」したそうです。「あなた、うちの息子のお嫁さんにどう?」
日本人なら「頭おかしいんじゃない?」となりそうですが、その女性はナンパに応じ、2人はスムーズに婚約→結婚となったのでした。
彼女の写真を見せてもらいましたが、確かにすごい美人。お母さんが声をかけたのも、うなづけます。
このようにアラブのお付き合いはすべて結婚前提。だから互いが気に入れば結婚までのスピードはとても早いです。
②いとこ同士の結婚
アラブでは見合い結婚が主流ですが(→イスラムの見合い結婚は愛のない結婚? )、これには伝統的に「いとこ婚」が好まれてきました。財産が外へ流れないなどの理由からです。
中でも理想的な相手とされてきたのが、「男性&彼の父方のおじの娘」。女性本人にとっても「よく知っている相手だから安心」と意外に好評だそう。
(いとこが相手なんて、恋心なんてあったものじゃない?)これが意外にそうでもないようです。
エジプトのある村の女性は、いとこの男性と結婚しました。2人は長年「同じ家」で暮らした仲。(村の家は広いので、毎日顔を合わせるという感じではないのです)。
年頃になってお互いに好意を持つようになったが、彼は18歳でクウェートに出稼ぎに行ってしまいます。それでも文通を続け、めでたく婚約。
いとこ婚はアラブ以外のイスラム圏では、それほど一般的ではありません。また最近都市部などで女性の高学歴化が進むにつれて、「遺伝的に問題がある」などの理由で避けられることも多くはなっています。
③ぼう大な持参品
アラブでは結婚前に家具が「すべて」そろっていなければいけません。「結婚してから少しずつ揃えていこう」という発想はありません。
そこで両親は娘が思春期を迎える頃から、少しずつ持参品を用意し始めます。今月はお皿、来月は冷蔵庫‥‥。
こうして結婚をひかえた花嫁の家では、まるまる1室が持参品を保管する部屋になります。
結婚時に持参品を新居に持ち込むのですが、その量がものすごい。式の直前にそれらを「トラックで」新居に運び込みます。
ちなみに花嫁が持参した品はすべて彼女の個人財産とされ、離婚した場合はそっくりそのまま実家に持ち帰ります。
この新生活に用意するものの男女の分担は、国によって様々。エジプトでは女性側が台所用品や調理器具を用意し、男性側は新居と大型家具(応接間のソファ、寝室のベッドなど)を用意します。ヨルダンなどでは、家も家具もすべて男性が用意します。
【参考図書】
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるイスラム入門書。なぜ世界中でイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。
20年間にわたり取材したイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。恋愛、結婚、歌と踊り、デート。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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