2017-10-09

フンザ(パキスタン)の結婚式

パキスタン・フンザの結婚式

日本でも「長寿の里」、「桃源郷」などで知られるパキスタンのフンザ。そのフンザで結婚式に参加しました。

新郎新婦の出会いはお見合いです。フンザの人々はイスマイリ派というシーア派の一派。女性の学歴が高く、大学院まで出ている人も少なくありません。

しかし恋愛結婚する男女はほぼ皆無だとか。同行してくれた現地で長く民族調査をしている日本女性が、ぽろっと呟きました。「ここの女のひとって、親が決めた相手と淡々と結婚していくのよね。好きになった相手と大恋愛の末に結婚するとかではなく。そういうの、楽しいのかしら?」

この結論は最後に述べるとして、結婚式の流れをご紹介します。

新郎の村でのパーティ

パキスタン・フンザの結婚式
結婚式の始まりは、まず新郎の暮らす「シスーニー村」からです。

時期は夏でしたが、この日は小雨が降る肌寒い日。ダウンジャケットを着込んで村に向かいました。

パキスタン・フンザの結婚式

 

新郎の実家で、村人全体が集まってのダンスパーティが行われます。

 

パキスタン・フンザの結婚式
踊るのは主に男性。そんな中、小さな女の子も飛び入り参加。華麗な踊りに目が奪われます。右にいるのが新郎です。

新婦の村へ

新郎の自宅でのパーティが終わると、村の代表者たちが揃って花嫁の住む村パスーに向かいます。

パキスタン・フンザの結婚式

パスー村では、村の女性たちが花の首飾りを持って、シスーニー村の人たちを出迎えます。

パキスタン・フンザの結婚式

 

なんと驚いたことに、女性たちが他の村の男性たちの手にキスをしています。こういうのは戒律がゆるいフンザならでは、でしょう。フンザの人々は、イスラム教シーア派の中の一派であるイスマイリ派。女性の教育水準が高く、戒律はゆるやかなことで知られています。

 

パキスタン・フンザの結婚式

 

男性たちは村の中心部の集会所に集合。2つの村の男性たちがそろって挨拶を行います。その後、新郎と新婦は村のモスクで結婚契約の儀式を行います。(その場には、新郎新婦の肉親しか立ち会えません)

屋外のダンスパーティ

チュニジアの結婚式

 

結婚契約の儀式が終わると、村の広場でダンスパーティが行われます。踊るのは主に男性で、両方の村の男性すべてが参加します。

昼食会

パキスタン・フンザの結婚式

 

ダンスパーティの後は、花嫁の実家での昼食会です。

 

それから、村の広場でダンスパーティが行われます。

花嫁の手に描かれたヘナ(染料)。おめでたい時に描きます。

ふたたび新郎の村へ

 

昼食会が終わると、新婦の村の代表者たちが新郎の村へ向かいます。

パキスタン・フンザの結婚式

 

これから新郎の村へ移動する花嫁。親族に涙で別れを惜しみます。

 

パキスタン・フンザの結婚式

 

シスーニー村でも、同じようにダンスパーティが行われます。

パキスタン・フンザの結婚式

夕食を用意する男性たち。バターと小麦粉をまぜた「バート」という料理です。

パキスタン・フンザの結婚式

 

花婿の母親。

シスーニー村の楽団。フンザのどの村にも、必ず楽団がいるそうです。

夕食会

パキスタン・フンザの結婚式

この日の夕食です。先ほどのバートの上にパンが置かれます。

 

結婚に過剰な夢を抱かない?フンザの結婚

パキスタンフンザの結婚式

「ここの女性って、淡々と結婚していくのよね。結婚にあまり夢を抱かないみたい」。

先の女性の発言です。

フンザはイスラムの戒律が緩やかなことで知られていますが、多くの結婚は親が決めた見合い結婚です。ここで紹介したカップルもそう。

恋愛結婚が当たり前となった今の日本人からみると、(楽しいのか?)と思わないでもありません。

しかし、見合いには恋愛結婚にないメリットもあるようです。見合いは過剰な夢や期待を描かないからこそ、失望もそれほどない。淡々と結婚し、淡々と2人で幸せな慎ましい生活を築いていく。

今の日本人が忘れた素朴な幸せを、このフンザの結婚式は思い出させてくれました。

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