イスラムの女性は自転車に乗れない?サウジアラビア初の映画「少女は自転車に乗って」の映画と現実とのギャップ

サウジアラビア初の若い女性監督が撮った映画「少女は自転車に乗って」を見て来ました。

すべてサウジで撮影され、出演者も全員サウジの俳優。
でもサウジ本国では公開されていません。映画館が法律で禁じられているためです。

「少女は自転車に乗って」のストーリー

映画のストーリーはシンプルです。主人公は10歳の女の子ワジダ。女子に禁止された自転車に乗りたいと、あれこれ手を尽くしてお金をため、ついには自転車を手にする、というストーリー。

彼女が通う学校は女子校。女性の校長は「笑い声が男性に声が聞こえる」と注意する秘密警察みたいな人です。

ワジダの母親は男の子が産めず、男の子が欲しい彼女の夫は第二夫人と結婚。
壁に貼られた家系図には全く女性の名前がない。

女性のひとり歩きや車の運転が禁じられているため、彼女のお母さんは毎日共同タクシーで、3時間かけて職場に通う……

そんな女性差別ストーリーが満載で、「ああ、なんてサウジの女性は大変なんだ」と思ってしまいますが、実際にはどうなの? 

サウジアラビアでの女性の一人歩き

映画の解説には「女性のひとり歩きや車の運転を禁ずる国サウジアラビア」とあります。

この点について、サウジ在住13年の友人に聞いたところ、確かに女性は車の運転ができないけれど、平気で一人歩きしているし、それをとがめられることもないそう。

流しのタクシーもガンガン利用してるし、昼も夜も外を歩いている。

女性が自転車に乗れないのは確かですが、自転車はサウジ社会では実用的でない。町全体が広大で、道のつくりが車社会用なので、歩道がないし、目的の場所までも非常に距離があり、自転車では距離がありすぎる。夏は50度にもなり、自転車など運転できないそうです。

実際には難しい一夫多妻

一夫多妻も、実際には多くはありません。

奥さんが2人いようと3人いようと、家族を扶養するのは男性です。お金がなければ2人も3人も奥さんを持てない。

今のサウジは失業率が急増しています。若年層の人口割合が大きく、システムの腐敗があったり、ここ数十年安い外国人労働力に頼ってきたためです。

イスラム圏では結婚時に男性が家を用意するのが慣例となっている国が多くあります。しかしサウジの場合、今どきの若い男性は、結婚資金どころか家も建てられない、家族を養う余裕すらない人が急増しているそうです。

湾岸には女性タクシー運転手も

サウジ女性が車の運転ができないのは、法律で禁止されているからではなく、国が女性に免許を発行しないからだそうです。

湾岸諸国で女性が運転できないのは、サウジアラビアだけです。オマーンなどでは、女性が4WD車を運転する姿をよく見かけましたし、UAEには女性タクシードライバーもいるそう。

欧米ウケのストーリー

イスラムが女性の運転を禁じているわけではありません。これは、サウジのワッハーブ派という、極端なイスラム解釈のせいです。

イスラムは、1400年前に書かれたコーランが元になっている。それをどう解釈、運用するかは国や地域によってさまざま。そのためで実際の生活は、国や地域によってずいぶん違ったものになります。

そして、イスラムの教えでないもの(女子の就学禁止、割礼など)が、女性差別的な解釈のもとに、あたかもイスラムの教えであるかのように行われているのが現実。

「女性差別的」なストーリーは、欧米ウケします。イスラムは差別的だと非難することで、自分たちが上に立てるからでしょう。(実際、監督のご主人はアメリカ人外交官)

マララさんの件にしても、「イスラムの因習に苦しめられている弱い立場の女性」というのは欧米の人に受け入れられやすい。

イスラム女性が世界で活躍することは素晴らしいことですが、イスラムへの偏見をますます助長するようなことにならなければいいな、と思います。

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