2016-11-26

ホウラマン*イランの最辺境地

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

イランのクルディスタン州。イランの最辺境地で、旅人のあいだでは最も人が良いと有名です。イラン北西部、イラクとの国境沿いにあります。

ここに暮らすのはクルド人で、クルド語を話しています。クルド人は他にトルコやシリアなどにも暮らしており、長年独立を望んできました。それを各国の政府によって抑えつけられてきたという歴史があります。

ただイランのクルド人は比較的穏やかな暮らしをしているようです。クルディスタンの中の最辺境地「ホウラマン地方(Hawraman region)」を女性1人で旅した体験の紹介です。

ウラマンタクト村:ホウラマン地方の中心

 

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

ホウラマン地方のその中心はウラマンタクトUraman Takht村です。人口は約2千人。谷をはさんだ向かいの山肌に滝が流れていて、日本の山奥の温泉郷みたいな雰囲気です。

ウラマンタクトの場所↓

ホウラマン地方には、他にカラマ村(150家族)、ロードバル(150),ウィシヤン(50)、サルフィール村(25)があります。

ここの人々は、クルド語の中の「ウラマン」という言葉を話します。イランはシーア派の国ですが、ここではほとんどがスンニー派です。

 

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の男性

中年以上の男性はクルドの民族衣装を着ています。訪れたのは11月。少し肌寒く、男性達はフェルト製のチョッキ(コラバール)を着ていました。

 

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

ウラマンタクトの隣村カラマ村に行ってみました。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

ウラマンタクトから歩いて行けますが、やや距離があります。ヒッチハイクも可能。タクシーなどはなく、地元の人も皆ヒッチハイクしています。

ウラマンタクト地方の村のカフェ

村にあるカフェ。もちろん男性ばかりです。

小さな村ですが仕立て屋やスーパー、ビデオショップ、カフェ、ケバブのレストランなどもあります。村の中心にカフェ兼宿泊所がありました(下の写真の左手の建物)。

 

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

ウラマンタクトの宿

サナンダージの友人に紹介された民宿に泊まりました。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の民宿

民宿というよりホームステイ。

クルドの豆料理

朝ごはんにいただいたひよこ豆と、この地方のパン「ナン・ホウラミ」です。豆の味付けは、ほぼ塩とターメリックだけ。やさしい味がしました。

サナンダージからホウラマンへの行き方

まずバスでビヤカラへ行き、そこからヒッチハイクになります。バスを下ろされるのは、ホウラマン方面へ行く道との分岐点です。そこでホウラマンへの車をヒッチハイクするか、地元の車をチャーターします。

ここには時々ツーリストが来るらしく、それを目当にしたドライバーが待機しています。私が来た時も、バスを降りたらドライバーが「ホウラマンに行くのか?」と話しかけてきたのですが、結局値段が折り合わず、ヒッチハイクすることになりました。

ビヤカラからホウラマンまでは1時間ほどです。

ウラマンタクトからシリン村

ホウラマンタクトに宿泊した後、パーヴェーへ向かいました。途中に複数の村があります。(ボルバール、シリン、ニビンなど)。

この間は基本ヒッチハイクになります。(ただ車はあまり通らないため、かなり厳しいです)。

私はパーヴェーを経由してパランガンに行く予定でしたが、途中うまく車が見つからず、シリン村に一泊しました。このシリン村が本当に良い村でした。ウラマンタクト以上です。イランで一番と言えるほど温かい人々の村。

まずはウラマンタクトの隣のボルバール村から。

ボルバール村

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

ウラマンタクトからパーヴェーに向かう間の最初にある村です。ボルバールまでは、ウラマンタクトの民宿のお兄さんがバイクで送ってくれました。

この間はかなりのクネクネ道。やがて眼下にボルバール村が見えてきます(上の写真)。この風景はかなり感動的です。

シリン村*温かな人たちが暮らす村

ボルバールからシリン村まで、通りかかった車をヒッチハイク。シリン村に行くというので、とりあえずそこまで送ってもらったのです。

シリン村の場所↓

(シリン村でパーべー行きの車を拾えばいいや)と軽く考えていましたが、そう簡単ではありませんでした。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

シリン村の目抜き通り。通るのは牛ばかり。

通るのは牛ばかり。ヒッチハイクする車を待って道端に立っていた私を心配し、ある家族が家に呼んでくれ、昼食を御馳走してくれました。

イランの家族 クルド人

娘さん2人ともクルドの民族衣装。黄色とオレンジが実に鮮やか。普段からこんなきれいな衣装を着ているなんてとため息がもれます。

2人とも私と目が合うと恥ずかしそうにニコニコ。私がクルド語が話せたら、もっと色々お話できたのに。。。。とても残念でした。

 

クルド人の食事

ご家族が出してくれた食事。卵とトマトの料理。左手にあるのはイラン全土で食べられている「ラヴァーシュ」というパンです。

家の人が食べないところを見ると、私のためだけにわざわざ料理してくれたらしいのです。トマトの甘ずっぱい酸味が口の中に広がりました。

その家を辞して、また同じ場所で車を待ちました。さらに待っていると、今度は別の家族が家へと招いてくださいます。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

断ったのですが、何度も強く誘われ、断りきれずにおじゃました。

クルド人の食事。ハチミツとバター。

 

パンとハチミツ、バターを出してくださいました。ハチミツのやや強い甘みがバターで良い感じに緩和され、なんとも言えない美味しさです。

そして結局、この家に泊まることになってしまいました。

シリン村の様子

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村
シリン村は、とても静かな村です。谷間の川に向けて緩やかに傾斜する斜面に家々が建っています。どれも石造りの家。人々は主に農業で生計を立てています。作っているのはザクロ、じゃがいも、いちじく、かりん、ぶどうなど。人口は約900人。牛が100頭。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

一軒の家でザクロジュースを作っていました。金属の棒でザクロをトントンとザクロを叩き割り、中の実を取り出しています。その横では直径1メートルほどの大鍋が焚き火の上におかれ、ザクロの汁が煮えていました。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

夕食にいただいたのは、ゆで卵とジャガイモをつぶしてバターを混ぜたもの、オクラのトマト煮込み。オクラはエジプトなどではよく食べられていますが、イランで食べるのは初めてです。

シリン村からパーヴェー

泊めていただいた家族の知り合いのドライバーの車で行きました。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

 

この間はものすごい悪路です。

人や車の通りも少ないため、女性1人のヒッチハイクは無謀かなと。信頼できるドライバーの車で行くことをおすすめします。

イランのクルディスタン州ホウラマン地方の村

途中で、どしゃぶりの中を羊の放牧をする男性に出会いました。

シリン村から3時間、やっとパーヴェーのタクシーターミナルにつきました。ここでパランガン行きの車を探しました。

 

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★「イランの家めし、いただきます!

ホウラマン地方の情報は、この本で詳しく紹介しています。
女ひとり20日間、イランの家庭を泊まり歩いた“出会い”と“食”の旅行記。言葉が通じなくても快く家に迎え入れてくれる、おせっかいであたたかな人々との出会いと、それぞれの家でご馳走になった“家めし”をめぐる食紀行です

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