イスラム教徒は豚がダメって聞いたけど、あと何が食べられない?
最近よく聞く「ハラール食品」って何?
イスラム教徒の人をおもてなしするのに、どんな食事を出したらいい?
そんな疑問にわかりやすくお答えし、ハラール食品の意味、イスラム教徒が食べられないもの・食べられるもの、イスラム教徒をおもてなしする際に適した料理などをご紹介します。
ハラールフードとは?
ハラールフードとは、宗教上「食べるのを許された食」のことです。
「ハラール/ハラル(Halal)」とは、宗教上「許された」物事のこと。
イスラム法シャリーアでは、人間の行為を5つに分け、その中に「ハラール」(許された行為)と「ハラーム」(Haram)」(禁止された行為)があります。
宗教で禁じられた食以外は、食べることができます。
ムスリムが食べることのできない食

エジプトの家庭料理。チキンのグリル、肉を煮込んだスープ、野菜サラダ、ポテトチップ、漬物、ごはん。イスラムの食事というと制限が厳しそうなイメージがあるが、食のバラエティは豊かである。
豚肉と豚由来のもの
ムスリムが食べることができないのは、まず豚肉、豚由来のものです。
・豚
・豚に由来するもの
ハム、サラミ、ソーセージ、ベーコン
ラードやポークエキスが入ったもの(例:インスタントラーメン)
(参考:イスラム教徒はなぜ豚を食べないのか?)
正しく処理されていない肉
・ハラールでない肉(ハラール肉とは「正しく処理された肉」のこと)
・ハラールでない動物に由来するもの(例:ブイヨンやカレールー、ゼラチン入りのゼリーやマシュマロなどのお菓子)
豚以外の肉でも、「正しい方法」で処理されたものでなければ、食べることは許されません。
正しい方法とは、「神の御名によって、神は偉大なり」という言葉を唱えて頸動脈を切って屠殺し、体内の血液を流して処理したものです。
現地の肉は全てこういう処理がされています。
しかし日本の肉屋で売られている肉はそうではなく、基本は食べることができません。
日本在住のイスラム教徒は「ハラールミート」を「ハラールショップ」などで購入します。
ただし考え方は人によっても様々で「豚肉でなければOK」という人もいます。
正しく処理されていない肉
・酒
・酒が入ったもの(例:料理酒、しょうゆやみりんなどアルコール入り調味料、洋酒入りのお菓子など)
イスラム法によれば、「ハラール食品が見つからない場所では、豚肉や明らかにアルコールが入った食品以外は、健康を維持するためなら食べても良い」とされています。
ですから、絶対避けるべきは豚肉や「明らかにアルコールが入っている」もの。
たとえばトンカツ、豚骨ラーメン、ウイスキーボンボンやブランデーケーキなどですね。
あとは、お相手や状況次第と言えます。
ムスリムが食べられるもの
上記の「食べられないもの」以外は、基本的にほとんどOKです。
(野菜、果物、穀物、卵、乳製品、魚、豆など)
魚は、一部の宗派ではウロコのない魚を食べませんが、基本的にOKです。エビも食べます。
生魚は食べる習慣がありません。ただインドネシアなどでは寿司が人気あります。
一概に「イスラム教徒は寿司はダメ」とも言えません。意外に喜んでもらえるかもしれません。
バターはよく料理に使われますし、卵、ヨーグルト、チーズもよく食べられています。
市販のお菓子で「食べられない成分が入っていないかどうか」を気にする場合、最近ならメーカーのお客様相談室に聞くと教えてくれたりもします。
肉やお菓子などは「ハラールショップ」で買うのが間違いないでしょう。
外食では、最近はハラール認証を受けているレストランなどもあります。
なお、病気治療のためにアルコールが含まれた薬剤の処方は許可されています。
ムスリムのおもてなし
ムスリムのお客様をおもてなしする場合、どんな食事を用意したら良いのでしょう?
近くにハラールレストランなどがあればいいのですが、そうでない場合も家で用意することになります。
食べ物については、先に書いたように考え方は様々です。
同じ食卓に豚肉の料理があっても気にならない人もいれば、豚肉だけ避ける人もいます。
ハラール・マークのない食品には手を出さない人もいます。
事前に食べられるもの・食べられないものについて、聞いておくと良いでしょう。
参考までに、現地の人がどんな物を食べているかをご紹介。食事のヒントになるのではと思います。
肉料理
イスラム圏で最もポピュラーな肉はチキンです。
その次は牛、羊などです。牛はどちらかというと、野菜とトマトベースで煮込むことが多いです。
レバーもよく食べられています。
インドネシアではサテという焼き鳥が人気です。これは甘辛いピーナツソースをつけて食べます。
イスラム教徒に肉料理を出すなら、バーベキューなど喜ばれるでしょうし、焼き鳥ならタレでなく塩で味つけしたものが良いでしょう。
魚料理
魚もよく食べられています。たいていはフライやグリルにして食べます。
日本のように何もつけずに料理することは少なく、臭みをとるためにスパイス(ターメリックやコショウなど)やハーブ野菜などと一緒に調理することが多いです。
野菜料理
野菜は生でサラダとして食べるか、煮込んで食べることが多いです。
日本のように「おひたし」にして食べるのは少ないです。
最もポピュラーな野菜はトマトで、これも煮込み料理に使ったりサラダに使います。
米料理
イスラム圏の方々も米をよく食べます。
ただ主食とするのは東南アジアやバングラデシュなどだけで、パキスタンから西の国々ではパンが主食。米はどちらかというと、「おかず」の扱いです。
また日本のように何も味付けせずに米を炊くのはインドネシアやバングラデシュくらい。中東では塩を入れたり、ターメリックで色付けしたりします。
パン
アジアの人はご飯が主食ですが、中東の人はパンです。
主食だけあって、中東のパンは非常においしい。現地のパンは日本のものに比べてかなり歯応えがあります。日本の食パンはふわふわすぎて、少し物足りないかもしれません。
豆料理
豆もポピュラーな食材です。ひよこまめ、レンズ豆などです。
インドネシアにはテンペという大豆を発酵させた食品があります。
納豆のように臭みがなく、素朴でクセのない味。フライにしたり甘く煮込んだりして食べます。
*イスラム教徒の食事について詳しくは「イスラム教徒の食事」をご覧ください。
イスラム教徒のハラール食品について知りたい方の参考になったら嬉しいです。
【関連記事】
★イスラム教徒は?初心者にも100%わかるよう優しく解説します。
イスラム教とはどんな宗教?を簡単にわかりやすく解説【初心者歓迎】
★コーランの著者は神、アラビア語からの翻訳は不可など「日本人が知らない」事実をわかりやすく解説。
聖典コーランとは?日本人が知らない真実」
【イスラム教を学べる入門書】
★「イスラム流幸せな生き方」
中学生でもわかるようにやさしく書いたイスラム入門書。世界でなぜイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。