2020-09-04

中東イスラム圏の女性一人旅で注意すべきこと

チュニジア マトマタ 私がイスラム圏を取材する理由

チュニジアの家庭の食事風景。お茶は炭火でいれる。炭をおこす火鉢は「カヌーン」という名前。

中東やイスラム圏に行きたいけど、女1人で大丈夫かな?治安とかどうなのかしら?女性は必ずセクハラにあうと聞くけど、気を付けることは?

そんな疑問に答えます。

これまで20年以上イスラム圏を旅し、数えきれないくらいイスラム圏各国に足を伸ばしてきました。いつも一人旅。危険な目にあったことは一度もありません。(モロッコで一度だけスリにあったことはありますが、これは女性だからというわけではありませんし)

気を付けるべきポイントさえおさえれば、女性一人でも問題ありません。

そのポイントとは?をわかりやすくご紹介します。(「人通りのない夜道を一人で歩かない」「知らない人に付いていかない」など当たり前のことは省略します)

イスラム圏女性一人旅で気をつけること

イスラム圏の旅で女性が気をつけることは、この4つです。

①服装に気を付ける。
②一人旅の女性は目立つ
③観光地で声をかけてくる男性は要注意
④軽い気持ちでお茶に付き合わない

①服装に気を付ける

モロッコ ティズニット

モロッコの女性たち。女性たちが着ているのはジェラバという民族衣装。

女性が中東イスラム圏を旅行する際、最も大事なことは服装です。肌を見せず、ボディラインを強調しない服を着ることです。

なぜなら地元の女性がこのような服装をしているからです。夏も長袖です。(参考:イスラム教女性の服装ルール)。男性たちは女性の肌を見慣れていません。半袖からのぞく腕さえ刺激的。私の友人は、エジプトで半袖で歩いていて触られました

ですから夏でも長袖の方がベターです。日差しを遮ってくれるために逆に涼しいです。

スカーフやアバヤもセクハラ防止に有効

外国人女性はスカーフやアバヤを着用する必要はありませんが、国によってはあった方がベターです。

特に湾岸諸国です。(→アブダビ・ドバイ女性の服装&旅にベストな服装を3分で解説)アバヤを着用すれば、痴漢はかなりの確率で防げるでしょう。

湾岸諸国にはフィリピンなどからの出稼ぎのアジア系女性がメイドさんとしてたくさん働いています。また中には売春婦として働いている人もいるようです。そういった影響から、アジア人女性は軽く見られがちです。

実際私は売春婦と疑われたことがあります。オマーンのホテルにチェックインする際、「本当に一人で泊まるのか?部屋に誰も入れてはいけないよ」とオーナーに念押しされました。

肌を露出していたわけでは全くありませんが、アジア系の女性で一人旅をしていると、そういう目で見られてしまうのです。ちゃんとしたレディとして扱われたければ、湾岸諸国ではアバヤ着用がおすすめです。

スカーフについては、現地の女性はほとんどかぶっています。男性はスカーフをかぶっている女性には「下手はことはできない」という心理が働きます。一枚あれば防寒・日除け、ホコリよけなどにもなります。

「女性一人旅」は目立つもの

女性一人旅は日本では普通の事ですが、海外ではめずらしかったり、そもそも女性が一人旅をする習慣がない国も少なくありません。特にイスラム圏ではそうです。

女性は守られてしかるべきもので、家族の男性がエスコートして旅するものと考えられています。中には一人旅する女性もいますが、きわめて少数です。

まして外国人女性が一人で旅をしていると、かなり目立ちます。たいていは心配してもらえるのですが、中には「軽い」「常識がない」「スキがある」と思う人もいないわけではありません。

もちろん一人旅ができないわけではなく、女性一人旅が悪いという意味ではありません。ただ、その社会の中では決して一般的ではないということは忘れない方がいいです。

③観光地で声をかけられたら

観光地で声をかけてくる男性は、たいてい何らかの良くない下心があるものです。たいした用もなく話しかけられても、さらりとかわすことです。

そもそも地元の人が見知らぬ外国人に声をかけてくることは、滅多にありません。ただイスラム圏では親切な人が多いため、本当にこちらのことを心配して声をかけてくださる方もいます。観光客があまり行かないような場所なら、なおさらです。

旅の楽しさは現地の人との出会い。あまり警戒しすぎるのも、せっかくの出会いのチャンスを遠ざけてしまうことにもなります。

では、信用できる人とそうでない人をどうやって見分けるか

私は『女ひとり、イスラム旅』を書きましたが、その中に現地男性に声をかけられて家に行くシーンがあります。一つはヨルダンのサルトという町で。

カフェで声をかけてきた男性がいて、結果的に彼の家に行くことになるのですが、いきなりではありません。その前に彼と長時間町を歩き、悪い人ではないとわかった上でのことです。

もう1つ、モロッコのサレという町でも、カフェで声をかけてきた若者の家に行きました。彼の友人を交えて30分くらい話をし、安心した上で行きました。

さらに大事なポイントは、それらが「観光地」ではなかったということです。このような場所では、たとえ相手から声をかけてきたとしても、悪意がないことが多いです。

逆に観光地のカフェなどで、いかにもたまたま隣り合ったという様子で声をかけてきた場合には、こちらにとっては偶然のように見えても、相手にとっては「必然」です。軽くあしらうか、それでもしつこく迫ってきたら、強くノーを言う勇気が必要です。

④軽い気持ちでお茶しない

時には知り合った男性にお茶に誘われたりといったこともあります。そんな時は1対1ではなく、他の誰かも交えて行くことです。

軽い気持ちで「お茶くらいなら、いいかな」というのはイスラム圏では間違いです。

イスラム社会では男女関係は基本、結婚が前提。自由恋愛はありません。婚約者でも二人きりで会えないことも少なくないからです。ですから外国人女性が気軽な気持ちでお茶でもしようものなら、「脈あり」と思われます。

ベッドに誘ってもいいかな、結婚してくれるかも‥男性の頭の中ではあらぬ方向へと想像はふくらみます。

恋人でもない男女がお茶するのは日本では普通のことですが、イスラム圏ではそうではありません。

(参考:アラブ人男性との結婚を考える前に知っておきたいアラブの恋愛・結婚観

女性こそイスラム圏はおすすめ

エジプト女性 ヒジャブ イスラム女性

エジプトのカップル。

ここまで読んで「女性がイスラム圏の国を旅行するって、大変じゃない?」と聞かれますが、まったくそんなことはありません。

むしろ逆です。上記の基本さえおさえておけば、女性が旅するのにイスラム圏ほど安全な場所はありません。「女性は守るべきもの」という教えがあるため、女性保護の習慣が社会にいきわたっています。

混んだバスに乗って立っていると、見るからに私より年上と思える男性が席をゆずってくれます。映画館や駅で切符を買う際なども、長蛇の列ができていても、女性なら先頭に割り込むのもOKです。

それが社会の慣習です。(どこでも、というわけではありませんが)

また男女隔離が原則なので、女性タクシー運転手がいたり、地下鉄には女性専用車両があったりします。バスやタクシーの席を女性の隣にしてくれたりもします。女性が知らない男性の隣に座らないような配慮です。

バスの移動で知らない男性の隣に座るのは、けっこう気を使うもの。その点イスラム圏では快適に旅をすることができます。

 

【関連記事】

イスラム流幸せな生き方
中学生でもわかるイスラム入門書。世界でなぜイスラム教徒が増え続けているか?がわかります。

関連記事
error: Content is protected !!