タフロウト近郊に「タズカ村(Tazka)」があります。
タフロウトから南西2kmほどのところにある小さな村です。
この村は岩壁面にガゼルの彫刻が残る「タズカ遺跡(Carved Gazelle)」で知られています。
今回私が訪れた目的は、この遺跡ではなく、古い民家を改装した「トラディショナルハウス」(上の地図)でした。
「トラディショナルハウス」の入り口。築500年だそうです。
家の持ち主は別の場所に住んおり、たまたま道で声をかけた男性が、家主マフフードMahfoudさんに電話してくれました。
「入り口が小さいでしょう?。これは夏に熱い空気が入ってこないようにするためなんです」とマフフードさん。
その昔、入り口付近には家畜の部屋があったそうです。
私が訪れた時は、ツーリストが滞在する部屋を準備中でしたが、その後無事オープンしたようです。
(La Maison Berbère Traditionnelle de Tazka)
現在、この村で古い家に暮らしているのは3家族だけです。
村の新しい住宅街に10家族ほど暮らしていますが、そのほとんどは休暇のために帰ってくるだけ。
ふだんはカサブランカや海外で働いているそうです。
タフロウト周辺は綺麗な新しい家が多いのですが、そのほとんどが、こういった出稼ぎで稼いだお金で建てたようです。
というわけで、古い家に暮らす人は減少の一途をたどっています。
お茶にお呼ばれ
マフフードさんが、「ちょっと私の家によっていかない?」というので、おじゃまさせていただきました。
家族はマフフードさんのお母さん、奥さん、生まれたばかりの女の子です。
お茶を出してくれるというので、待っていたら、出てきたのは、なんとこんなご馳走!
中央の丸い容器に入った茶色いものは「アムル」です。
アルガンオイルとアーモンド、はちみつを混ぜたものです。
アムルは私の大好物。日本でも手に入らないかなあ。。。
それはともかく、モロッコではお客様に食べきれないほどのごちそうでもてなすのが流儀です。
そしてお客は、お茶だけいただいて食べ物には(あまり)手をつけないのがマナー(だと思います)。
しかし誘惑に勝てない私は、かなりたっぷりといただいてしまい、夕食後をパスするはめになってしまいました。
泉で奥さんに一目惚れ
マフフードさんと奥様の馴れ初めをお聞きできました。
彼がアトラス山中の村に行った時、泉の近くで洗濯している奥さんを見かけて、一目見て彼女の瞳に惚れ込んでしまったそう。
「泉の水を飲ませてくれ」と話しかけ、電話番号を交換しました。
けれども最初、彼女は本当の名前を教えてくれなかったそうです。
「ハフザと呼んで」と彼女。
そこで彼は毎日ハフザさんに電話しました。
本名を教えてくれたのは、会ってから半年後。
その3ヶ月後にプロポーズしたそうです。
今、マフフードさんは生まれたばかりの赤ちゃんに首ったけ。
マフフードさん、ありがとうございました!
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