ホラ貝が時を知らせるミクロネシア最南端の島

この本を開くまで、そんな名の島があることも知らなかった「カピンガマランギ環礁」。

太平洋のミクロネシア連邦の最南端にある、33の島々からなる環礁です。

写真家・長倉洋海さんが、38年ぶりに島を再訪し、2ヶ月間島に滞在して取材したものです。

3ヶ月に1回の船

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向かったのは、環礁の中の「ウェルア島」でした。

60世帯、300人が暮らす島。周囲は1キロほどで、歩いて10分で一周できてしまうそうです。

ポンペイの本島から船で5日かかり、その船も3ヶ月から6ヶ月に1度しかないそう。

それもいつになるかわからないため、長倉さんはポンペイ在住の日本人の船をチャーターして島へ向かいました。

なんと38年ぶりに島を訪れたのに、長倉さんのことを覚えている人がいたというから驚きます。

私にも同じような経験があります。

15年ぶりにシリアのある村を訪れた時のこと。以前会った村長さんがしっかり私のことを覚えていました。

私は彼に会ったことすら、忘れていたのに。

15年でも驚きますが、なんと38年です。

たぶん、島を訪れる外国人は長倉さんくらい、なのかもしれません。

ホラガイが時を知らせる

島の暮らしは、38年前とほとんど変わっていなかったそうです。

日の出とともに起き、日が沈むと眠る。

朝5時と夜9時に村民が自転車で島をまわりながらホラガイをふき、起床と就寝の時刻を知らせるそうです。

時計がない家が多いのでしょうか。

森でイモや木の実、海で魚などがとれるため、あまりお金が必要ないそうです。

日本の文化

ミクロネシア連邦は、第一次世界大戦で日本の委任統治領になり、たくさんの日本人が入植、日本文化が広がりました。

島ではベントウ、ドンブリ、サシミなどの言葉がそのまま使われています。

ケイコ、マサコなど日本語の名前が付いている人もいるそう。

そこで「ヒロミっていう名前の人はいないの?」と長倉さんがきくと、「実はいたんだけど、20歳くらいの時に殺されてしまって」と島の人。

彼の気持ちを傷つけまいと、島の人がわざとその話題を避けていたそうです。

心の優しい島の人の気遣いからでした。

沈んでいく島

島は38年前と比べて10メートルほど小さくなってしまいました。

塩の満ち引きが激しく、砂が波に持って行かれてしまうためです。

サンゴも人間が作る洗剤などで死んでしまい、魚も遠くへ行ってしまったとのこと。

以前環礁には36の島がありましたが、1つ沈んでしまい、今は35に。

このままいけば、20年後には人が住めなくなるかもしれないそうです。

ホラガイが時を知らせるのどかな島の暮らしが、いつまでも続いてほしいものです。

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