2017-11-08

『ぼくは原始人になった』*原始人が現代生活で生きる人間臭い葛藤

ぼくは原始人になった』を読みました。腰布一枚と手製のサンダルのみ身につけ、原始人さながらの暮らしを送る男性の本です。

持つのは石のナイフと木の実が入った袋だけで、時には原野の中で1人きりで半年間生活します。

それ以外はアメリカ先住民の枝編みの小屋や、電気も水もない竪穴住居で暮らす。

こうして男性は人間の限界に挑戦します。

その原始人的生活によって、彼は何を得たのでしょうか?

体の毒素が排出される

山奥で野生動物をしとめて食糧にし、ジャングルの中で木の実やバナナを食べて暮らす。

こうして自然界にあるものだけ食べて暮らしているうちに、毒素が体から排出され、体が全く新しく作り変えられるそうです

こびりついていた歯石が剥がれ落ち、口臭が消え、なんと薄くなりかけていた頭髪が元に戻ったというから驚きます

味覚も変化します。

原野にいる間、著者はアイスクリームへの執着を捨て去るのに苦労したそうですが、町に戻って食べてみると、たちまち気持ち悪くなってしまったそう。

こうしてアイスクリームの執着から解き放たれたそうです。

「地球にやさしい」の本当の意味を知る

地球にやさしい暮らしをしたいからと、動物の肉を食べない人がいます。

しかし人類は誕生した時から何万年もの間、狩猟生活を送り、動物を狩って食べてきました。

それを忘れてはなりません。

著者は原始生活の講習も行っています。

生徒の中には、頑なに肉を食べないと決めている人がいる。

原野で自給自足生活をする中で、肉を食べず、代わりに木の実ばかり食べる。

木の実は、そこで暮らす動物たちの、かけがえなのない食糧。

木の実を人間が食べ尽くしてしまうと、動物たちが困ります。そして生態系のバランスを崩す。

そういうことがわかって、生徒たちは肉を食べるようになるそうです。

原始生活と現代生活との葛藤

原野で火をおこしたり、野生の動物をしとめて料理したり・・・・

サバイバルに長けた男性は野性的で魅力的です。

しかし毎日動物の皮をなめしたりして暮らしていたりしたら、どうでしょう?

普通の女性と暮らしていけるのでしょうか?

会話もかみ合いません。

著者はバーで美人に「ハンサムね」と言われ、ちぐはぐな答えを返してしまい、女性が去ってしまったと記述しています。

「ユタ州の原始住居でガールフレンドと暮らしていたとき、一頭のピューマがぼくを気に入ったらしく毎晩やってきた。

彼女がひどく怯えたので、ピューマを脅して追い払うはめになった。

じきに彼女とは別れたが、そのピューマは二度と見かけなかった。」

原始生活の技術に長ける一方で、現代生活における常識の欠如をもたらすこともあります。

原始生活と現代生活をどう折り合いをつけていくか?その点で、葛藤を迫られます。

「ときおり空を見あげて、ぼくはどこに当てはまるのでしょうか、と創造主に尋ねる。

自分はどのくらい野性的であるべきか。

どのくらい人間的であるべきか。

両者はどの程度絡みあうのか。その答えを見つけるには一生かかるだろう

この本は、火のおこし方、弓矢などサバイバル道具の作り方が紹介されたサバイバル教科書でもあり、

そして「地球にやさしい」原始的な暮らしをしたい人が、現代生活とどうバランスをとっていくかを考えさせてくれる本でもあります。

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