『ブタとおっちゃん』*まさしく最高の写真集!
写真の魅力とは「被写体」の魅力。写真集「ブタとおっちゃん」を見ていると、そんなことをつくづく感じます。
この本の魅力を徹底的に語ります!
すべてモノクロ

ブタがこんなふうに寝るなんて、、、、
写真集「ブタとおっちゃん」は、香川県の小さな町で養豚場を営むおっちゃんと1200頭のブタの日々の記録です。
すべてモノクロ写真。写っているのは、おっちゃんとブタだけ。だからとてつもなく地味な一方、しみじみとした味わいがあります。
おっちゃんとブタとの家族のような交わりは、まさに「ほのぼの」というつきなみな言葉以外、浮かびません。

ブタが何か語り出しそう、、、、
技術より大切なもの
撮ったのは、山地としてるさんという市役所の職員です。プロの写真家ではありません。だから失礼な言い方ですが写真の技術という意味では、高くはないのかもしれない。
しかし被写体の魅力と、ブタとおっちゃんに向ける温かいまなざしが写真1枚1枚からほとばしり、技術うんぬんなど、どうでもよくなってしまう。
おっちゃんのように魅力的な人物も、なかなかいないでしょう。

おっちゃんがビールを飲む写真は何枚かあり、色々な銘柄のビールを飲んでいる。それも面白い。
こういう被写体に出会えるというのは、写真を撮る者の幸福だと思います。
「ブタとおっちゃんとの幸せそうな姿に、気づけば10年間シャッターを切り続けていた」と山地さんは、あとがきに書いている。そんな撮る側の「思い」がたくさん詰まった写真、それこそが良い写真なんでしょう。
経済効率とは真逆な養豚
本来、赤ちゃんブタは、生まれて30日後に親から引き離すのが効率的だそうです。しかしおっちゃんは40日まで親ブタのところに置いておく。その方が子豚が安心するからだそうです。
高度経済成長のもとで宅地開発が進む中、養豚場の移転を余儀なくされたおっちゃん。その後、海と山に囲まれた小さな町で再スタートを切りました。

おっちゃん、幸せだろうなあ。愛ブタたちに囲まれて。
残念ながら、おっちゃんは体調をくずし、養豚場は閉鎖してしまいました。ブタたちは、もういません。
でも、この本の中でいつまでも生き続けています。
コメント2件
コメントありがとうございます。
ドキュメント番組でやっていたのですね!
もし知っていたら、私もその番組見たかったです。
ドキュメント番組で見ました。「限られた命だから」豚たちと向き合っていたのに悲しいです。