ラオス・消えゆく村の暮らし

ラオス南部を流れるセーコーン川のとある村の暮らし。
雑誌「まほら」に掲載されました。

この村はダムに沈む予定になっています。

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【消えゆく村で ラオス・セーコーン川流域】

 ラオス南部を流れるセーコーン川をスピードボートでさかのぼること2時間。川沿いにH村という小さな村がある。ここにカリアン族の人たち32家 族ほどが暮らしている。

 人びとは森と川の恵みを受け、ほぼ自給自足の暮らしを営んでいる。川の水を飲料水にし、魚を捕って食べ、洗濯や水浴びも川で行う。川を挟んで対 岸にある山の斜面を利用した畑で野菜や米を作っている。森で捕った鳥や動物も食料となる。

 村には、かつて日本の農村にあったような結(ゆい)の制度が残っている。家は村民が共同で建てる。ほぼ1週間くらいで建つという。屋根は昔から 藁葺だったが、近年ではトタン屋根に代わられつつある。トタンの方が簡単にでき、モダンだからだという。

 村では一年に一回水牛を屠り、山の神に供える。怠れば神が怒り、村の中で病人や死者が出たりするうだ。かつて女性は、すべて森の中で出産してい た。産気づくと、水や食料を用意して森へ出かけ、出産をはさんで3日間山にこもる。その間夫や家族が交代で見守る。食料がなくなると夫が届けにく る。村では、家の中での出産ではうまくいかないと信じられていた。

また家を建ててから3年間は、家で出産してはいけないとの言い伝えがある。それを破ると、生け贄として水牛を与えなければならないという。今では森の中で産む人はかなり減っているそうだ。

 近隣に設けられる予定のダムのため、村は立ち退きしなければならないことが決まっている。移転先の村には近くに小さな川があるが、森はない。これまで続けてきた焼き畑は禁止されるそうだ。景観を守るいう理由からだという。

 自然の神を敬い、自然に抱かれ、その恩恵を享受して暮らして来た素朴な文化が、今消えようとしている。

 

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