2022-06-16

不老不死・不老長寿は人を幸せにする?

さびないカラダ、老いない生き方‥そんなタイトルの本の広告を、最近電車の中でよく目にします。

100歳くらいまで生きられるような方法が書いてあるようです。「○万部突破!」などと売れ行きもなかなか好調な様子。

不老不死は人類の見果てぬ夢。古今東西あまたの人が望み続けてきた希望とも言える。でも果たして不老不死で人は幸せになれるのでしょうか?

不老不死を望めば不幸になる

人は100%死にます。老いない人もいない。だから不老不死を夢見る人は、結果的に不幸になるのです。どう努力しても実現不可能なことを望んでいるからです。

「人間は老いて死ぬ」とあきらめてしまった方が幸せになれます。

「誰でも皆死を味わうのである」(「コーラン」3:185)

わざわざこんなことをコーランに書いてあるのも、今から1400年前の時代にも不老不死を望む人が多かったからでしょう。

しかし今は科学万能の世の中。だから人間の努力でどんなことでも可能になると思い込んでいる人がたくさんいるようです。不老不死も病気にならないことも。

確かに平均寿命は伸び続けていて、(もしかしたら‥)と思いたくもあります。最新の医療で、ガンでも心の病でも、きっと治せると思いたくもなる。

でも現実はそうではありません。人間は必ず死ぬ。老いる。病気になる。人間の力でもっても不可能なことがある、それを受け入れれないのは、ある種の傲慢です。

宗教の存在理由があるとしたら、「神が決めたことだから受け入れるしかない」と人に悟らせることにあるかもしれません。

人生に終わりがなかったとしたら?

では仮に不老不死が実現したら、人は幸せになれるのでしょうか。

逆に不幸になります。いつまでも死ねない。これはまさに地獄です。

仲の悪い夫婦がいたとします。でも離婚するほどでもない、離婚したら世間体が悪いなどの理由で、しかたなく一緒にいる。奥さんの方は内心こう思っているかもしれない。
「こんなダンナも、きっと10年たったら死んでるにきまってるわ」。

ところが不死が実現したら、そんな大嫌いな相手と永遠に添い遂げなければなりません。

仲の良い夫婦だとしても、あるいは自分の生活に満足していても、それが永久に続くとしたら?

なんとも退屈で、いずれ絶望的な気持ちになるのではないでしょうか。

「死」は神が与えてくれた贈り物

終わりがない映画があったとして、そんな映画を私たちは見たいと思うでしょうか?

映画も本も適当なところで終わるから楽しめるのです。人生にも「死」があるからこそ、「生きている間に楽しもう」と思うのです。

そうではなく、永遠に生きなければならないとしたら‥結局人は「適当なところで終わりにしたい」と思うのではないでしょうか?でも死ぬことはできない。だとしたら、あとは自ら命を絶つ以外にありません。地獄です。

そう思うと「死」は神様があたえてくれた贈り物だと思えてきます。

そうはいっても、私だってできれば長生きしたいし、死ぬまでは元気でいたいと思います。
でも死は明日かもしれないし、1ヶ月後かもしれない。

だから不老不死などと高望みするのはやめて、やりたいことは今日のうちに、それができなければ1週間以内に、1ヶ月以内にやってしまうのが、きっと得策なのでしょう。

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