イスラム女性の美容法*ハマムで肌のお手入れ
イスラム教徒の女性はふだん家族以外には素肌を見せず、「アバヤ」や「ブルカ」などの服装で肌を覆っています。出していいのは手と顔だけ。
では肌のお手入れは、どうしているのでしょう?外に見えないから無頓着?
いえいえむしろ日本人以上に気を使っているのです。ベールに包まれたアラブイスラム女性たちの美肌術をご紹介。
アラブ女性が考える美肌とは?
アラブ女性が理想とする美肌は「毛のないこと」と「一皮むけている」です。
「一皮むけている」とは、「アカスリ」した肌のこと。
その美肌を手に入れるため、長い長い時間を費やすのが「ハマム」です。ハマムは伝統的な公衆浴場(スチームバス)。
ハマムはエジプトでは廃れつつありますが、チュニジアやッコ、トルコなどでは健在です。
アラブ女性はは週に1、2回はハマムへ行き、3~4時間は滞在します。体の中から美しくなるためです。
ハマムの中は?
公衆浴場は湯船とは違います。いわば温かい蒸気が充満したサウナのような場所です。ドアを開けると、むああっと湯気が顔にかかってきます。
中はいくつかの部屋に分かれていて、たいていは一番奥の部屋が一番温度が高い。
ここでアラブ女子たちは、たっぷり時間をかけて全身をお手入れします。2~3時間かけてたっぷりと。
もちろん自分でやるのは疲れてしまうという人のために、「アカスリ」専門の女性もいます。有料です。
ちなみにイスや石鹸はありません。イスを持参する女性もいます。
ハマムでパンツは脱がない
ハマムに入るのに大事なことがあります。パンツは脱がないこと。他は裸になりますが、パンツは履いたままです。
アラブの男女は、たとえ公衆浴場でも大事な部分は見せないのです。
なぜならイスラム教徒は「恥じらい」を大切にするからです。だから同性同士でもあの部分は見せないのが決まりです。
ハマムでの美容プロセス
アラブ女子の美肌づくりのプロセスは、とにかく入念です。これから紹介するのは、モロッコ女性ヤムナさんのハマムでのお肌のお手入れ方法。
まずオリーブオイルと石鹸で
まずペースト状のオリーブ石けんとヘンナの粉とよくかき混ぜ、体全体に塗ります。こうやると体の香りが良くなるのだそう。
次は固形のオリーブ石けんを全身に塗る。これで肌の角質をやわらかくします。これによって面白いようにアカが落ちます。
しかもオリーブオイルの石けんだから肌のうるおいはそのまま。アカスリした後は肌がしっとりしているそう。
アカスリ
アカスリには専用の布を使います。この布はスーク(伝統的な市場)のハマム専門店で売られています。
こうして体全体の肌をすること2時間。面白いようにアカが出てきます。
ふだんアカスリしない私の肌からは、消しゴムのカスみたいなアカが面白いように出てくる出てくる‥。
こうして2時間近く体中をゴシゴシして、ようやくアカスリが終了。
「ガスール」でトリートメント
全身の石けんを洗い流したら、花の香りがするボディシャンプーで体全体を洗います。
その次は「ガスール」でトリートメント。これは粘土を太陽と風で乾かしたもので、泥パックみたいなものです。これで全身をトリートメントします。
仕上げに「バラ水」を全身に塗ったらおしまい。
こんな入念なプロセス。すべての女性がやるというからビックリです。
デトックス効果抜群
サウナのような中で3~4時間過ごすのですから、デトックス&ダイエット効果は抜群。
「ハマムを出た後は、ぐったりしちゃう。でもその日はぐっすり眠れるのよ」とヤムナさん嬉しそう。
アラブの美肌術は「内から美しくなる」ので、おすすめです!
とはいっても、2~3時間もゴシゴシするのは、相当根気がいりますが。
【参考図書】
20年間の取材によるイスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。
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