2018-09-25

イスラム女性のおしゃれ①イスラム女性のメイク術

イスラム女性のメイク アブダビ女性

「アラビアンメイク」が日本でも知られるようになって久しい。

では、現地のアラブ女子も、いつもそんなバッチリメイクをしているのでしょうか?アラブ&イスラム女性のメイクの基本は?

アラブ女性のメイク術をたっぷりご紹介します。

アラブメイクの基本

たった1人のために口紅をひく

口紅をつけるのは、家にいて夫と2人きりの時だけ」。これがイスラム女性の化粧の基本。

なぜなら「美しいところは人に見せぬよう」とコーランに書いてあるから。

外で「アラビアンメイク」などしていたら、プロと見られる恐れもあります。するのは夫の前だけです。

「バッチリ化粧してして、セクシーなランジェリー着て夫の帰りを待つの」これがアラブの妻なのです。

預言者の妻も愛したコホル

とはいっても、外出時におしゃれを楽しみたいのは女性の心理。若いアラブ女性の中には、外でも念入りに化粧している人もたくさんいます。

古来からアラブ女性たちは化粧を楽しんでもきたといいます。「預言者ムハンマドの奥さんなどは、コホルというメーキャップ用品をつけていたのよ」とアラブ女性たち。

コホルは、アンチモンという鉱物からできた黒い粉で、これを細い棒に粉をまぶし、アイライナーやマスカラとして使います。

アイメイクがポイント

アラブ女性がメイクで気合を入れるのが「目」です。くっきりアイラインをひき、アイシャドーやマスカラもばっちりと。

もともと彼女たちは目が大きい上に、濃いアイメイクをするので、クレオパトラみたいになります。

ふだんあまり化粧しないという女性も、マスカラだけはつけていたりします。

眉も大事です。毛深いアラブ女性は、ほっておくとまゆと眉がくっついてしまう。イスラム女性はむだ毛にはとても敏感なのです。

国別メイク事情

メイクに最も熱心なのは、私の経験上、アブダビやドバイなどUAE(アラブ首長国連邦)とイラン女性たちです。

エジプトやチュニジアなど北アフリカの女性たちは、この点やや控えめに感じます。

これには資金力も関係しているかもしれません。

クオリティの良いメイク用品をそろえるなら、そこそこお金がかかります。

資金力ではサウジアラビアも負けてはいませんが、そこはやはり聖地メッカのおひざもと。ばっちりと化粧をするのは、はばかられるのかもしれません。

(そもそもニカブで顔を隠しているため、化粧したところで外には見えません)。

イランや湾岸女子がメイクに熱心な理由

イランや湾岸女性は外出時、黒のチャドルアバーヤ(ロングコート)で身をつつみます。出ているのは顔と手だけ。

そこで、出ている部分を美しく見せることに集中するのです。

サウジ女性はニカブで顔を隠していますが、UAE女性はそうでない方が多い。だからメイクのしがいがあるのかもしれません。

華麗なる湾岸女子のメイクライフ

アラブ女性のメイクライフはどんな感じでしょうか?アブダビで女子大に通うファトマさんに話を聞きました。

待ち合わせしたのは、高級ショッピングモール内のスターバックスです。

メイクは自分のため

「お化粧には、毎日少なくとも30分はかけるわ。1時間かけることもある」とファトマさん。

ふだん彼女が外出するのは学校やショピングモール、友人の家など。

学校は女子大ですし、友人の家でも男性家族と顔を合わせることはありません。

女性ばかりの場でメイクして楽しいのかしら?

アラブ女子にとって、メイクは純粋に自分が楽しむためのものなのです。

お手本はユーチューバー

「夜中の12時でも、突然新しいメークのやり方をためしたくなったら化粧してみたりするの」という彼女のお手本は、有名なユーチューバーや、化粧が上手なインスタグラマー。

「ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリーのメイクも好きだわ」

目が大きく見えるように、肌が抜けるように白く、口元はマットで上品に仕上げることが基本。

口は男性を誘惑する場所なので、あまり派手な色はよろしくないそうです。

月々のメイク代

お父さんからもらう小遣いは、月6万円。そのうち7割が化粧品代に消えるそう。

メイク用品を買うのは、もっぱらインターネットにて。「お店でいろいろ試してみて、気に入ったものがあったらネットで買うことが多いわ。その方が安いもの」と、しっかりしています。

SEPHORATarteなどが定番サイト。(ちなみにSEPHORAのいちばんのお得意様はドバイ女性だそう)

「香水も大好き。香水なしには外出しないわ」という彼女は、12個くらい香水を持っています。

香水を買うのは、もっぱらnoon。化粧品だけでなく衣類、雑貨、アウトドア用品など、品ぞろえが豊富です。

進化するネイル

そんなバッチリ化粧するファトマさんですが、礼拝の時はちゃんとメイクを落とします。

いちいち落とすのは大変じゃない?と思いますが、また1から化粧するのが楽しいのだとか。

でもネイルはイスラム的によろしくないのでは?

礼拝前の浄めを行うとき、マニキュアなどがあると水が浸透しないため、浄めを行なったことにならないから

敬虔な女性はマニキュアをしないか、礼拝のたびにマニキュアを落とします。

「これは水が浸透する素材を使ったもの。だから落とさなくてもはハラーム(イスラムで許されないこと)ではないのよ」

最近は落しやすいネイル用品も出回っているそう。

「香水だって、ハディースを読めば、預言者ムハンマド様はその使用をすすめているとわかるわ」

香水にはアルコールが含まれているものもありますが、「アルコールは飲むのはダメだが、香水や薬に入っているのを身につけるのは許される」とファトマさん。

自身の美を追求しつつ、イスラムともしっかり折り合いをつけているのでした。

 

【参考図書】

イスラーム ヴェールの向こう

イスラム女性たちのリアルな日常を紹介。モロッコ、チュニジア、エジプト、イラン、パキスタン、モルディブ‥‥。歌あり踊りありデートあり。「抑圧」などメディアによって作られたイメージと違う、生き生きした女性たちの実像を紹介します。

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