4月に発売された『日本 (現地取材!世界のくらし) 』をご紹介します。
これは小学校高学年向けに日本を紹介する写真絵本です。
さっそく中をご紹介します。
【自然と気候ー南北のちがいと四季の変化】
日本は南北の長さが約3,000kmもあるため、北と南で気候がかなり違います。
そのため森林も、それぞれの気候にあった植物で構成されています。北ではエゾマツなどの寒さに強い植物が、南ではマングローブなどの亜熱帯の植物が見られます。
日本は温帯モンスーン気候区に属しているため、気候は全体的に温和で、たくさんの雨が降ります。
さらに春、夏、秋、冬の四季の変化がはっきりしています。春は桜などの色とりどりの花が咲き、秋は紅葉が見られ、冬は雪が降り積もります。こうして四季折々に移り変わる風景が楽しめます。
【住居と習慣ー都市部に暮らす4人家族】
小学校6年生の京香ちゃんの家族です。東京の都心部にある木造一軒家です。京香ちゃんとお父さんとお母さん、お兄さんの4人家族です。周囲は、同じような2階建ての家いえがならぶ静かな住宅街です。
1階には寝室や物置、お風呂などがあり、2階にはリビングとキッチン、和室、子供部屋などがあります。和室の上にはロフト(屋根裏部屋)があります。ここはお兄さんの寝室として使われています。
【食と習慣ーごはんとお味噌汁が基本】
日本の食事の基本はごはんと汁物、おかずです。「一汁三菜」です。汁物1種類と、おかず3種です。汁物はだしや味噌で味付けしたお味噌汁です。
汁三菜をはじめとする日本の家庭料理「和食」が、2013年に無形文化遺産に登録されました。食材や料理、食べから、マナーなどに伝統的な文化が見られるからです。
【学校生活ー公立小学校をたずねてみよう】
埼玉県日高市にある公立の高萩小学校を訪れました。日高市は埼玉県中南部にある町で、東京から40kmの場所にあります。今年で131年目をむかえる伝統のある学校です。
高萩小学校では、約人の子600供たちが学んでいます。全部で6学年で、1学年は2クラスまたは3クラスあります。
朝8時過ぎると、子供たちが近所の子とつれだって登校しはじめます。この学校では子供たちだけで歩いて登下校します。8時20分になると、朝会や朝授業がはじまります。
この日の社会の授業では、日本の世界遺産である法隆寺と、それを建てた聖徳太子について勉強していました。法隆寺は世界最古の木造建築で、日本で最初に世界文化遺産に登録されています。
先生の説明のあと、資料集などを使った調べ学習の時間があります。そこで子供たちは、聖徳太子が行った政治について調べました。
【暮らしの多様性ー雪深い地方のくらし】
日本海側は冬にたくさんの雪が降り、世界でも有数の豪雪地帯になっています。北陸地方がもっとも多く、その次が東北・北海道の日本海側、山陰地方です。多い年には3メートルくらいの積雪があります。
雪国では、一冬に何度も雪下ろしをしなければなりません。雪の重さで家がつぶれてしまう心配があるからです。家の前を除雪する作業も必要です。多い時で一晩に50センチくらい積もることがあり、除雪しないと外出できないからです。
<夜はろうそくが灯される雪だるま祭り>
石川県の白山のふもとにある白峰地区は、日本有数の豪雪地帯です。ここでは2月上旬にゆきだるま祭りが開かれます。
各家庭で、家の前に思い思いの雪だるまをつくります。夜には雪だるまの中にろうそくが灯され、あたりは幻想的な雰囲気につつまれます。
各家庭でつくる雪だるまは、毎年違います。しかしそれぞれの家のカラーがあり、見れば「ああこの家らしいな」というのがわかるそうです。
【暮らしの多様性ー伝統的な産業】
畳は稲からお米をとった後のワラからつくられます。ワラでつくる「ワラ床」に、い草でつくったござを貼ったものが畳です。お米は世界各国で食べられていますが、畳をつくるのは日本だけです。
畳は1つ1つ手作業でつくられます。かつて大工さんが建てていた日本の家は、住宅メーカーでつくることも多くなりましたが、それでも真四角な部屋を作ることは不可能です。
畳屋が部屋の寸法をはかり、それに合うように畳をつくります。同じ部屋に入れる畳でも微妙に形や大きさが違います。そのために大量生産ができないのです。
近年は畳の素材をつくる人が減ったため、材料や道具が手に入りにくくなっています。畳に使うワラは天日に干す必要がありますが、今は天日干しせずに脱穀して乾燥機にかけることが多くなりました。
い草をつくる地域もどんどん減り、今は熊本県の八代地区だけとなっています。
【SDGsー子ども食堂】
東京・八王子の「ほっこり食堂」という子ども食堂の紹介。
日本は世界のなかでは経済的に豊かな国といわれます。
そのような家庭の支援をするために、
「子ども食堂」は、
【海外との関係ー日本と海外とのつながり】
日本には外国人が多く暮らす町が各地にあります。ブラジルタウンと呼ばれる群馬県大泉町は、日系ブラジル人が多く暮らしています。
この町には戦前は飛行機工場が、戦後は機械の組み立て工場が多く集まっていましたが、日本経済が急激な成長を続けてる中で人手不足が深刻になり、日系ブラジル人が多く雇用されるようになったのです。
また近年日本のビザが緩和されたために、多くの外国人が観光や仕事で日本を訪れるようになりました。とくに増加が著しいのが、インドネシアやマレーシアなどアジアのイスラム教国からの旅行者です。
そのため最近では、公共の施設などでも礼拝場所を設置するところが増えています。
あとがき
まだ肌寒さが残る3月下旬。家庭の取材で京香さんの家を訪れました。ご両親ともお医者さんときいていたので、ややこわばった気持ちで玄関の前に立ちました。
ところがドアを開けた瞬間、その緊張は一気にゆるんだのです。玄関で出迎えてくださったのは、やさしそうなお母さんと作務衣姿のお父さんだったからです。お医者さんと作務衣。そのギャップに言葉を失うとともに、張っていた肩の力がゆるゆるとほぐれていきました。
その日の取材でもっとも印象に残ったのは、本文にも書きましたが、お子さんたちの未来についてお父さんが語った言葉です。「子どもたちには、いつもごきげんさんの人間に育ってほしい」。
いつも「ごきげんさん」でいるためには、どうしたらいいのでしょう? その秘密はお父さんの作務衣姿にあると思いました。好きなものを貫く。他人からなんと言われようと、自分が好きならば良い。好きなものを身につけ、好きなスタイルを貫いて生きることで、ごきげんな気分になる。そしてそれが周囲を幸せにするのです。
お父さんは作務衣姿で電車に乗ってしまうそうです。「だからちょっとはずかしい」と、杏香さんは照れ臭そうに話していましたが、お父さんは横でそれを聞きながら、ニコニコしています。
私を含めて日本人は「他人からどう見られるか」を気にしすぎます。職場に作務衣姿で行くのは問題ですが、電車に乗るくらいなら誰に迷惑をかけているわけではありません。迷惑をかけなければ、どんな生き方をしてもいいし、TPOをわきまえれば、どんな服装をするのも自由です。みなさんもこれからの人生で、自分にとって居心地の良いスタイル、居心地の良い生き方をぜひ探していってください。
ぜひお手にとってご覧ください!