青森県の稲刈り

より良い人生

子供がいないのは不幸?老後が心配?

「子供がいないと、将来寂しいよ」
「年とったとき、困るよ」
よく言われますね。

「面倒を見てくれる人がいなくて困る、心配」ということですが、果たしてそうでしょうか?

ここ最近、私は日本の田舎でたくさんの老人と話してきて、上記のような意見は必ずしも当たらないな、と実感しています。

田舎には実に元気な、一人暮らしのお年寄りが多いのです。80歳代、90歳代の。

子供はいても、都会に出て行ったきり、帰ってこない。
都会で結婚し、すでに家を持ち、子供も都会の学校に通っているし、田舎に帰っても、仕事はありません。

そこで老親は田舎で一人暮らし、というわけです。
だから子供がいてもいなくても、老後の生活はたいして変わらないとも言えます。

じゃ、そんな老親は、田舎で一人で暮らして、不幸なのか?困っているのか?
全くそんなことはありません。

息子と都会で暮らすより、田舎で一人の方が良いらしいです。

まず、住みなれた広い家で暮らせます。
息子夫婦と一緒では、色々と気を使います。
嫁にいびられる恐れもある。
それより一人暮らしの方がよっぽど気楽です。

こうして80歳、90歳になっても、自分で料理をし、洗濯をする。
逆に一人暮らしで何でも自分でやるから、かえって元気なのかも、と思うくらいです。

それが証拠に、新潟の84歳の女性(ご主人と2人暮らし)が言っていました。
「お母さんから台所仕事とりあげちゃ、だめよ。早くボケるから」

彼女のいとこの女性は、息子夫婦が心配して台所仕事をやらせなかったから、早くボケてしまったそうです。

田舎で一人暮らしだと買い物に困るのではないか?
これも杞憂です。
近所の人と車に乗りあって町のスーパーに買い物に行きます。
村に食材を売りにくる人もいる。週1回とか2回、時には毎日。
それに今なら通販やネットもあります。

病院通いにしても、病院の巡回バスで送り迎えしてくれるところもある。

こうして、いよいよ身の回りのことができなくなれば、施設に入るのです。

              *

青森県の稲刈り

青森県で稲刈りをする老女たち。

青森県で一人暮らしをしている85歳のAさんの日常は、とても楽しそうです。
大きな2階建の家に一人暮らし。
昼間は庭に植えた野菜の手入れなどをし、夕方になると、近所の共同浴場(温泉)へいきます。
そこには友人たちがたくさんいて、世間話に花を咲かせる。
嫁の悪口なんかが出ることもあります。

時には友達と、温泉の部屋を丸一日貸し切ることもあるそうです。
(この温泉は、宿もやっています)
そこで、日がな一日おしゃべりし、気が向いたら風呂に入り、お腹が空いたら食堂にそばを持ってきてもらう。
疲れたらゴロンと横になり、また温泉に入り‥。

温泉仲間とは「いっしょの施設に入ろうね」と話し合っているそうです。
「だから元気なうちに施設に入ろうね」と。
ボケてしまうと、自分で選択ができなくなるから。

都会の狭い家で、息子夫婦と暮らすより、ずっと楽しそうではありませんか。

だから子供がいないから老後が心配、とは言えないのです。

彼女にはもちろん息子や娘がいる。
しかし彼らのお世話になろうとは、思っていないそうです。

            *

では都会に出て行ったきり田舎に帰らず、老親の面倒を見ない息子は親不孝なのか?
一概にそうともいえません。

「育ててもらったんだから、親の面倒を見るべきだ」という考えもあるでしょう。
しかし子供は、頼んで生まれてきたわけではありません。
産んだのは、親の勝手です。
だから産んだからには、ちゃんと独り立ちするまで育てる。
それで責任完了。

その後、子が親の面倒を見るか見ないかは、子の自由です。
親だって大人なんだから、自分が年をとった時のことは自分で責任を持つ必要があります。
子供だから自分の面倒を見るべきだ、と期待するのは間違いではないか?

もちろん子が親の面倒を見れればいいですが、日本にはそうできない現状があります。
第一次産業が主流の時代は、地方の産業も活気があって、地方で生計を立てていく道がありました。

今は仕事といえば会社勤めが主。会社は都会に集中していますから、仕事のために都会に出る必要があります。
働き世代の子供と老親は、離れて暮らさざるをえないのです。

             *

一人暮らしが長い私から言わせると、一人暮らしほど気楽なものはありません。
「それはお前がまだ元気だからだろう?年とったらどうするのだ?」と言われるかもしれませんね。

しかし、そんな先のことは、その時になって考えましょう。

それに東京では、とっくの昔に、高齢者世帯の半分が一人暮らしだという統計もあります。

もちろん子供がいるからこそできる、幸せな体験もあるでしょう。
年老いた時、子供がそばにいてくれたら心強い面も確かにあります。

しかし子供がいても、グレてしまったり、引きこもりになったり、暴力を振るったり、というケースも多々あります。

必ずしも「子供がいたら幸福」ではありません。

子供がいないからこそ、できることもあります。
趣味や好きなことにも存分に時間やお金を使えます。

一番いけないのは、「自分は子供がいないから不幸だ」、「老後が心配だ」と悩むことです。
将来なんてどうなるかわからない。
だいいち、その年まで生きるかどうかなんて、わかりません。

要は現実をどうとらえるか?です。
子供をいないことを、ただただ不幸と思うのか、将来が不安だ、と思うのか。

老後なんてどうにかなる、一人の方が気楽、と思うのか。

自分の考え方次第で、目の前の現実はどうにでも変わるのです。

【関連記事】

鹿児島県の山奥の集落で、田舎暮らし体験をしてきました。

 

 

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