イスラム国の日本人人質事殺害という痛ましい事件が起きました。いいかげん、これまでのアメリカ追随はやめるべきでしょう。
「一九九〇年内以降の日本政府の基本姿勢は、このアメリカ主導の戦争への協力・参加を可能な限り拡大していこうということができる。日本の政策決定者たち(およびその背後にある財界・産業界)は、「冷戦」後の世界はアメリカによる「ひとり勝ち」、一国支配の時代だという状況認識に基づき、そのアメリカと協力・一体化して軍事的・経済的に世界展開していくことに今後の日本の活路を見出そうとしており、中東はその最初のモデルケーストなってきたのである。」「中東革命のゆくえ」
こうして日本は湾岸戦争に130億ドルの戦費を負担。さらにアメリカがしかけたアフガニスタンやイラクの戦争に対して、小泉政権はこれを支持し、イラクに自衛隊を派遣。
日本から金を搾り取るアメリカ
さらにアメリカの戦争に協力できる態勢をつくるために、国連PKOへの参加などで自衛隊の海外派兵の実績を積み重ねてきました。
その集大成が、昨年の安倍政権による「集団的自衛権」行使容認です。この目的は、主にアメリカが中東等で行う戦争に日本が参加できる態勢を整えるためのもの。
すなわち、日本はアメリカに協力する軍国主義に突っ走っているのです。
「このように見えてくると、日本政府は過去二十数年間、一貫してアメリカの中東に対する戦争への協力拡大をめざしてきており、それが実は今日われわれが目撃している安倍政権下での急激な軍国主義化、戦後日本の平和主義を捨て去る動きにつながっていることがわかる。
「イラク戦争は誤り」が認識できない日本
なぜアメリカべったりが問題なのかといえば、アメリカが中東でしかけた戦争が、ことごとく失敗に終わったからです。イラク戦争しかり、アフガン戦争しかり・・・・。
「二〇一一革命を経て中東が大きく変わりつつあり、アメリカ主導の戦争、先進資本主義諸国による干渉を拒否する報告へと間違いなく向かいつつあることを、日本政府は認識できずにいるが、これは世界的にみてもかなり特殊なケースである。その原因は、日本の安倍政権が、先進資本主義諸国のなかで例外的に「イラク戦争を指示した政党が、にもかかわらず政権に返り咲いてしまった」政権、であることに求められるかもしれない。イラク戦争が誤りだったことが世界各国の国民に広く共有される認識となり、アメリカでもイギリスでも戦争を押し進めた勢力が政権を退く中で、日本は2012年末の選挙で自民党が政権に復帰した。このことが、現在の日本の政府がアメリカ主導の「対テロ戦争」の顛末にまったく無反省であり、また中東の民衆集がもはや先進資本主義諸国の支配に甘んじてはいないことにきづかない理由かもしれない」
反日本感情が生まれる危険
「「集団的自衛権」行使容認の閣議決定を強行した日本政府は、今後一層アメリカと共に世界的に軍事展開する「積極的平和主意義」路線を推進し、その過程で中東・アフリカに進出しようとするであろうが、日本が中東政治のダイナミズムや中東の民衆のエネルギーを見誤っていることは、やがてこの地域で手痛いしっぺ返しを食うことにつながるかもしれない。アメリカと一体化し、イスラエルに武器を売り、域内の保守・反動諸国と軍事協力を強める日本の姿勢に対する批判が強まり、中東の民衆の抵抗が爆発して、結果的に戦後の日本がこの地域で築いてきたものすべて~信頼、友好、経済的ネットワークも含めて~が失われてしまう可能性もあるだろう。」(p.240)
安倍政権とは逆の政策を
そうなる前に日本はどうしたらいいか? それには「安倍政権が現在とっているのと逆の政策を選びとれば良いとある。
「安倍政権の「積極的平和主義」ではなく、憲法の初心に立ち返り、戦争と植民地主義を否定することによってこそ、日本は現在進みつつある暗い谷間から抜けだして、中東を含む「国際社会で、名誉ある地位を占め」(憲法前文)ることができると考えられるのである。」(p.241)
< お知らせ>
旅の本屋「のまど」で新刊『女ひとり、イスラム旅』発売記念
http://www.nomad-books.co.jp/event/event.htm